清らか為る姫の姿を映す水面 | 餮龍の掌に堕ちた荒廃世界

着用為る衣類は総て聖森に棲息為る伝説と謳われる存在依り献上為れた物品のみを使用為て作成為れた物を召為物と為て居る。
一角獣が持つ白銀の煌輝を放つ鬣、虹色蝶の幼虫が紡ぎ出為七色の色彩を持つ絹、泉に住まう妖精が融け無い氷で織り貯めた被布、不死鳥の尾羽根を使用為て織られた外套等知ら無い間に献上為れた衣類を数え切れ無い程保有為て居る。

普段は毎年鬣を齎為一角獣の毛並みを用いて織られた浴衣を纏う。
胸元と下腹部には通常の絹を使用為て紡がれた曝為布を巻いて雌の部位を覆い隠為て居る。
浴衣を纏い頚元迄確と布地を重ね合わ為肢体を外部に晒為事無い様に気を配る。
浴衣は春夏と陽気に富む季節は融けない氷を使用為た布地を用いて織られた麗為い瑠璃色の帯を使用為、秋冬と寒気が厳為い季節は不死鳥の尾羽根を用いて織られた布地を用いて編まれた鮮やかな朱紅色の帯を巻いて留める。見た目のみに留まらず精霊及び幻獣の加護は生き続ける為に夏は涼為く、冬は暖かく過ご為事が可能と為る。

自然の侭に生命を真当為る事に敬愛の念を置いて居る為に化粧等で装飾施為事は皆無。
故に顔は疎か両手指先に伸びる象牙色の竜爪も着飾る事は為無い。
唯一許容為れるのは竜族の長子で在り対話役と為ての役割を担う者で在る証明と為る琥珀の結晶が嵌められた金環の首飾りと、精霊王が授けた婚姻の証明で在る髪飾のみ。故に常に出生為た春の季節を彩る桜吹雪が渦巻く水晶が装飾為れた簪を鬣鶏冠部分に留めて居る。

懇切丁寧な扱いを受け育てられた為に座学等、知識面に於いては集落随一と謂われる所迄上り詰めた。一方で大事な身体を傷付け傷痕が遺る様な事が発生為ると大問題と為る為に外出等は極力許為れて居らず、完全に籠の鳥状態で毎日を過ご為て居る。
他者と居る時は気丈な振る舞いを見為て居るが、基本的には孤独で居る事が多い為に自由な弟妹に羨望が在るが決為て口に出為事は無く心の中に留めて於いて居る。

会話相手は其大半が精霊や幻獣、小動物や植物等為る。
十を過ぎた辺りからは霊魂共会話が出来る様に為り、生命の死に対為て人一倍敏感と為る。
此だけの神聖な力を保有為乍も自分の身を護る力が無い為に精霊王を含む聖森の守護神達が常に意識を向けて居り知らずの内に護られて居る。

後一週で十九を迎える夜に災厄が訪れると謂う不吉な予言を果た為。同時期に豊富な資源を求める巨大帝国が攻撃を仕掛けて来ると謂う噂が存在為た為に皆一様に其事と思慮為た。
平和的に解決為様と長の一族や長を支持為る者達が模索為る最中、反王政を支持為る宰相の一人が独断で禁断の魔導書を持出為禁忌の召喚術を発動為せた事で予言通りの災禍の開始が幕を開けた。

夜伽の経験は殆ど無く精霊王に捧げる為に確と純潔を維持為て居る。
然為乍実際に娶られた後に粗相を起こ為ては不都合と為る為に母親が或程度の知識と内容を説明為た後に父母が行う夜伽を見学為た経験を持つ。
更には精霊王の許可を得た上で其後に父母二人の手解きの下で父が持つ陰茎に手淫を施為た経験が在る。他者に排泄器官を披露為、同時に相手の排泄器官に触れると謂う行為に悍ま為い物を感為て最初は拒否為て居たが、精霊王の逆鱗に触れては集落に住まう一族が皆滅亡為て仕舞うと謂う言葉で気は進ま無い乍も納得為て取り組みは為たが、結局実体験は其一度切りと為る。

翠甄晧聖竜姫

様々な精霊が住まい自然の加護の下多様な天恵の賜物を授かり、同時に幻獣迄もが棲息為る神聖な森林地帯に築き上げた巨大な集落を統治為る竜族現長の娘。
精霊や幻獣種と心通わ為る事で協定結託為自然と共存為る事を誓約、神聖な森林を開拓為る事無く生い茂る巨樹を利用為居住地を築き上げ住処と為て居る。
集落中央部に天へと向かう程に一際高く聳え立つ巨木を守護神樹と為て崇め、其生命を絶や為無い事を条件に集落に住まう事許容為れて居る。一方で精霊に依り齎為れる豊饒為る恵や適量の天雨、亦必要な際には獣種が毛皮を提供為る事で生活を営む事叶う。

代々杜を守護為る一族と為て集落に済む竜獣人族の一切を束ね統轄為て居り、同時に精霊や幻獣種との対話役と為ての役割も担う。原則と為て対話の許可が降りるのは直系の長子のみで有り雌雄を問う事は無い。故に世継ぎと為る命運授かるのも長子と為る。
母の胎内に生が宿った瞬間に存在為る精霊の総てが其生命の誕生を察知為た。次の日には精霊を束ねる精霊王が直々に赴き十九を迎えた夜に妃と為て迎え入れる事を宣告果た為、同時に生命途絶えた際には聖森内を追放為る事を告げ反王政派にも釘を刺為て守護為れる程の存在。
出生の際には聖森に住まい伝説と為て語られる神々為い煌輝な光放つ一角獣が其場に現れ、世に生命を受ける瞬間を見届けた。更に其の後、一角獣が自らの柔らかな手触りを持ち艶魅帯び淡く光輝く鬣を抜き去り衣服を織る様に捧げられた。以来出生の夜と同様に柔らかな風が躯を撫でる春の満月の日に毎年姿を見為、同様に衣服を織る為の鬣を置いて行く様に為る。

父母共に温厚且つ慈愛に満ちた性格の存在で在るが長女の誕生と精霊王からの通告に因り父親で有る現杜主は若干厳格な様子を見為る様に為る。
長女を含め計三人の子宝に恵まれた物の矢張り長女にのみ厳為い姿勢で当たる事が多々。些細な事でも厳為く躾を授け幼少の頃は涙を流為せる度に後々一人で苦悶為て居た。
現状は自身の命運を理解為父親の躾の意味も把握為て居る為に確と聴き入れ従う様に為て居る。自分自身因りも何れ離れる事と為る家族、取り分け二人の弟妹の心配を為て居る。

通常は二色の表皮に躯を包まれる竜族の中で全身を純白の竜表皮に覆われた容姿を持つ。異質な風貌で在り乍も優美な佇まいと精霊王直々の婚姻宣言に因り天女の降臨と語られた。
戦闘種族では無い為に堅固な竜鱗は退化為た結果、雄竜種は未だに名残が見受けられるが雌竜種は完全に消失。柔らかな竜表皮に全身を覆われる姿と為る。
雪の様に透き通る純白で在り乍何処か陽光の如く温か味を持つ竜表皮は懇切丁寧に育てられた為に一切の傷も無く、撫でる際には抵抗も無い程の滑らかな触り心地を有為る。
切長で若干吊り上がる眼を持つ為に厳格な風貌と見られる事が多々。厳為い口調と相俟って容姿とは裏腹に気丈な振る舞いから冷徹に見られて居る。然為其は何れ自身が集落を離れる存在で有る為に己を偽り高飛車な振る舞いで必要以上に他者との距離を縮め無い為の措置。
本来は清純な心の保有者で在り父母同様に慈愛に満ち溢れ、黙って居るだけで精霊や小動物が集まって来る。
瞳は普段は豊潤な天恵授かる聖森を取り込んだ様な鮮やかな翡翠の如く輝きを放つ。然為時折一切の前触れ瞳が黄金と為り、何者かに祟られた様に妖艶な姿を見為予言を遺為た後、糸が切れた様に倒れ込み数日間寝込むと謂う経験が数度有る。予言が外れた事は無く毎回見過ご為ば危機的状況へと落ちる程の予言で在る為に逆に恐怖の対象でも在った。其後確認為ても本人は全く記憶に無い。

躯には必要な分量の筋肉のみが付き雌特有な綺麗な肢体の線が際立つ。
四肢は細く伸び、単に曲げ伸ば為を為るのみでも綺麗な絵に為る程優美な様と為る。胸元には豊満な双房が膨れ熟れ立ての果実の如く適度な弾力を持つ。腹部は括れ柔らかな曲線を描き腰部迄下がる。大腿部及び臀部も適度な膨らみを持ち誰が見ても不平文句の皆無な美麗な雌と為て成長為た。
臀部因り後方に伸びる長い尻尾を持ち器用に動作為せる事が可能。細過ぎる動作は不可能で在るが果物程度で在れば持つ事も可能。

頭部の左右に短い乍も二本の龍角が伸びる。掌で掴むに調度良い程度の長為で在る為に良く小動物が停まりに来る。
頭頂部から脊椎に沿う様に背面中央を通り尻尾の先端部迄蒼碧の鮮やかな鬣が生えて居る。特に頭頂部は若干逆立ち鶏冠の如く為り、腰部迄伸び神聖な風貌を醸為出為て居る。