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@プロローグ 聖王国パルナー その王都であるガーデヴィには大陸最大と言われる大聖堂がある。"聖神”は唯一神であるが、その派閥は多数存在しており、西の連合諸国が主に絶対神として崇めるのに対し、パルナでは博愛の神として全ての存在を愛すると教える。 ギィ… 夜更けに一人の術士風の男が大聖堂の門を開け入った。王族も参拝する大聖堂であるが、平民も含めて全ての者に開かれているため拝堂までは誰でも入れるのである。 「こんな夜更けにどうされましたか?」 聖堂を警備している聖騎士の一人が声を掛けた。言葉こそ丁寧ではあるが、こんな時間の来訪者を怪しんでいるのは明らかだった。 「…教皇様にお会いしたいのです。お取り次ぎ頂けないだろうか」 揺らめくキャンドルによって映し出される影よりも濃い黒衣を纏った術士風の男は笑みを浮かべながら用件のみを簡潔に答えた。 「教皇様に?こんな時間にですか?…失礼ですが貴方は?」 ペアで巡回をしていた聖騎士の一人は腰の剣に手をあてがっていた。 「古い友人…といったところでしょうか。忘れられていなければ…ですがね」 何が可笑しいのか、術士はヒッヒと小さく掠れた笑い声を交えながら答えるとスーッと滑るように二人の聖騎士の前に近づく。 ”チャッ!ガチャッ!” 抜剣、そして一人が威嚇を込めて切っ先を術士に向ける。その時だったー 「おや、懐かしい気配を感じて来てみれば」 緊迫した現場には不釣り合いな温厚な声。高位司祭服を纏った老人が奥にある礼拝堂からの扉を開けて拝堂へと顔を出している。 「きょ 教皇様!!」 二人の聖騎士は剣を背中に隠すように持ち帰ると、膝をついて教皇を出迎える。 「教皇様… か」 またヒッヒと笑いを交えながら術士の男も膝をついた。 「この者は同郷の友です。もう随分と古い話になりますが。さて… ”友“よ。折角の再会だ。私の部屋に招待しましょう」 敬虔な信徒でもある聖騎士に術士の身分を保証すると、教皇は術士を手招きした。 「忘れられていなくて良かったですよ」 術士の男は聖騎士達に軽く会釈をすると教皇の後を追った。 「本当に久しぶりだ。どれくらいかな?ふむ… ざっと千年くらいかな」 教皇が温厚そうな笑みを浮かべながら術士に尋ねる。 「しらを切るのかい? 四年だ。たったのな」 恨みがましい笑顔…というのだろうか、術士が吐き捨てるように言う。 「確かにおまえが"行方知れず”になったのは千年前だ。だが四年前、おまえはあろう事か人間達と一緒になって私の前に現れただろう?」 「おお友よ。誤解があるようだ。弁解させて欲しい」 教皇は手の平を顔に当てると嘆くように術士に弁解を始めた。 「かつてより神を信仰したかった私は念願叶って"信徒”となれたのだ。私は信徒の領分の中で人間達と共にいなくてはならなかった。友である君やー」 ”災厄様を裏切るつもりなどありはしないのだ”
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