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=17.NIGHTMARE= 「その程度か?」 宣言通り、魔力での攪乱も通用せず、拳を痛める事を承知での乱打も弾かれた。 「万事休すかよ…」 破けたポケットに手を入れると、蒼い宝石が一つ。 「なんだこりゃ?いつの間に… うわっっ」 パワー・アームの一撃!四つん這いになって躱したティアは、思わず宝石を落とした。魔力が籠もったラピスラズリを。 ”もわぁん!” 「全く君は… デリカシーが欠如していると思ってはいたが、この僕をこんな無粋なステージにあげる気か? ティア」 派手なスモッグと共に蒼を基調とした衣装のサキュバスが現れた!そして芝居がかった言い回し、辛辣な言葉をまるで呪文のように淀みなく言い放つ。 「なんでおまえが… ナイトメア!」 「何でもなにも… 僕はこのラピスラズリで…」 ティアを驚かすために、SALONで顔を合わせた時にティアのポケットに仕掛けておいたのだった。そして… (寝てしまった…とは言えないムマ) メアが一瞬目をそらしたのを、ティアは見逃さなかった。 「寝てたな…」 「ムマ… 違う。僕は手品として… ハッ!?」 ”ガキィィ!”パワーアームの突進をかろうじて躱す二人。 「なんだ…それは? 仲間か?新しい武器か?魔法なら効かぬとわかっているだろう?いずれにしても悪あがきだが…良いぞ?見せてみても」 相変わらずの余裕。フルヘルムであっても笑っているのがわかる。 「な… 僕が武器に見えるのか? 宣言しても良い!僕はその辺のゴブリンより弱い!一瞬で霞となって消える事が出来る!」 凄く弱気な事を凄く強気に言い放つメア。そしてティアに蒼い宝石のような瞳を向ける。 (ん?ティア…その傷は…。そうか、こいつにやられたのか。) 自分には関係のない事だ。スキャンティアがどうなったって。ティアの手が血で滲んでいる? 痛いのだろうか…。ナイトメアの中に何かが渦巻いていた。 「だけどね!客が望めばステージに立つのがマジシャンだ。このナイトメアの悪夢のステージを観たいというなら見せなくてはならない!」 ティアにウインク。そして一転しパワーアームと向き合うナイトメア。 =それがステージに立つと言う事だろう?= 言い放つと同時に、ナイトメアの体が霧散した!パワー・アームの周りに煌めく霧が立ちこめる! 「これは… なんだ? 消えないぞ!?」 魔法の霧ならば”アンチマジック”で消えるはず… なのにこの霧は… 何故存在できるのだ?? 「やあ、君はパワー・アームと言うんだね?僕はナイトメア。マジシャンさ。どうだい?驚いたかい?」 霧の中にデフォルメされたナイトメアが何人も現れる。ロリナイトメア…子供向けに考えた演出。実際のところ、この霧も無数のロリメアも全てナイトメア本体。元々不定形のナイトメアが体を張っているに過ぎなかった。しかし魔法の産物と思ってしまえば見抜けない。マジシャンズセレクト(幻想)である。 「くそ…どこだ!どこにいる! あが…!?」 今までになく慌てるパワー・アーム。その視界が光を失った! 「ふふふ 真っ暗だね? どうだい? 僕の”マジック”は?」 ティアは見た。パワー・アームの背後に現れたナイトメアが”ただフルヘルムの視界を遮っているだけ”なのを。ただの目隠しである事を。マジック=魔法…この先入観もナイトメアが仕掛ける幻想なのだ。 「ぐわああああああ!!!」 自分に魔法が通じるはずがない!なのに!…混乱したパワー・アームが全ての腕を全方向に突き上げた! 「くっ…」 そのうちの一本がナイトメアを貫く…。 「ざまあみろっ これで…」 「ふっ 急かすなよ。フィニッシュはこれからなのに…」 腹を貫かれながらも、腕を大きく振って”笑顔”を観客へ向けるメア。あくまで営業スマイルだ。だって彼女は…”笑えない”のだから。しかしSALONに来て、Kやティア達と出会って、深い闇のような彼女の心にも何かが芽吹いたのかもしれない。だからステージの度に問いかけるのだ。自分自身に。観客に。心の中で。 =今、僕は笑えているかい?= 「!?」 パワー・アームの眼前には自身に迫ってくる”ロリメア”がいた。いや…それは… 「すげえマジックだったぜ。流石はナイトメアだ!」 肉体変化でロリメア化したティアだった!そしてパワー・アームとのゼロ距離で肉体を”戦闘特化”させると、必殺の一撃を放った! 「グランド・インパクト・”NIGHTMARE”!!」 ”どがあああああっっっ!” 魔力を一点に集中させ気合いも込めたティア最強の打突で、強靱な肉体を誇ったパワー・アームのボディは爆散した。同時にナイトメアの霧も力を失うように消えていった…。 「ナイトメア… おまえの死は無駄にしないぜ…」 形見であるラピスラズリを拾い上げ、ほろりと涙を流すティア。 「勝手に殺さないでくれ。それと… センスがないと思っていたが、なんだ!今の技の名前は!さりげなく僕の名前まで入れて!」 落ちていたラピスラズリから、頭をひょいと出しているミニミニナイトメアが烈火のごとくティアに文句を言う。 「良いじゃないか。それにしてもおまえは凄いな。そんなところが可愛くもある♪そうだ!チューしてやろうな♪」 「ムマ… やめてくれ… 僕は君が嫌いだ…ムマ」 赤面するナイトメア。その小さい頭を撫でると、ティアは扉へと進んでいった。 「しかし… あれだな。仕方なかったとはいえ、あの姿はルリカには見せられないな…」 「…ああ、ロリ化か… それについては同意する。見られたら何と言われるか…考えただけでも恐ろしい」 ルリカのスイッチ押すべからず!で同意した二人が階段を上がっていくのを見つめる目があった…。 『わたしは見た… ロリティアたん… ロリメアたん…』 助けに来たものの既にクライマックスだったために入り損ね、何故か天井に張り付いていたルリカだった…。
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