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㉑ 呪戒虫 ”ブシュッ ブシュウウウウウウウウウウウッッッ!” 「きゃあああああああーー マスターっっっ」 ”それ”はKの胸から飛び出て来た。 「こ こいつは!?」 かつてこれを見たのはリオとルリカ。 「でも、間に合うように治療をしていたはずじゃ…」 《キシャァァァァァ〜》 ドス黒い、まるで腐った血の固まりのような外骨格を持つそれは、百足のような多関節の体を持っていた。驚いて身じろぎ一つ出来ないアウルム達を体をよじりながら観察している眼は昆虫然とした複眼ではない。まして動物の持つ目でもなかった。眼窩にあるのは暗闇そのもの、それが視力を有しているかもわからない。 しかし”それ”は禍々しい奇声を上げて楽しそうにKの体に再び入り、そして今度は腹から顔を出す。そうする事で戸惑う観客を嘲るかのように。 呪戒虫− Kの曾祖母であるマナがそう呼んでいた。出生後すぐのKに掛けられた呪いの一種だという。 「引きちぎってやる!」 この異常事態に対処すべく動いた者がいた。ダークエルフのような褐色の肌を持つ淫魔ティアである。彼女は呪戒虫の関節の隙間に手刀を繰り出した! 「あ だめです!タン!こいつは!!!!」 ”ブシュウウゥゥウゥ!” ”ブシュウウゥゥウゥ!” 簡単に攻撃を受けるそれは楽しそうに身をよじりながら体液を撒き散らした。そして同じ現象がその直下、Kの体にも起こっていた! 「あ なんで…」 「こいつへのダメージは全部マスニーにいくんです!」 「くっっ」 ルリカの制止で二撃目を強引に止めるティア。そのティアの体を締め付けるように呪戒虫は蠢く。それはダメージを与えるためではなかった。それ程に緩い束縛。奇怪な顔がティアに迫る。 「くそっ 離せよっ」 引きちぎってみろと”それ”は言っているようだった。しかし引きちぎったら? それはKの体を引きちぎる事に近しい。ティアは蹂躙を許すしか無かった。 「どうすれば”こいつ”を倒せるのです? リオさん!ルリカさん!知っている事を教えて下さい!」 「それは”死神の”…」 呪戒虫の動きを目で追いながらKの傷口にヒーリングをかけるアウルム。周りにいたサキュバス達を待避させつつ答えようとするルリカ。 発現してしまった呪戒虫を沈静化するためには、神族の巫女たるマナの"死神の鎌”による一撃が必要だったが、リオ達がその経緯を説明している時間などない。 「ああ、マスター!!」 所有する聖石の何かしらが呪戒虫に効くかもしれないとゲイザリオンで結界を張りつつ思考を巡らせていたリオが”それ”の動きに気づく。 ”ゆら〜〜〜” ティアを締め付けていることも意中にないような動きでそれは、体を天井まで大きく伸ばすと、そのまま顔をKに向ける。何かを計るように。 「まさかこいつ… もうトドメを指そうとしているんじゃ…」 虫の形をしていても”それ”は虫ではない。ましてや魔物でさえない。紛うこと無き”呪い”それが正体。故に発動条件さえ揃えば”それ”は執行する。即ち”呪殺”を! ”キシャアアアアアアアアアァァアアアアアアアアアァアァアァアアアア!!!!” 耳を覆いたくなるような悲鳴のような攻撃音!ドス黒い静脈血を材料にしたようなスモッグを撒き散らしながら”それ”はK目掛けて突っ込んでいった!!
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