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㉝記憶のダウンロード 「さて…と、心してかかろうかな!」 そう言って二体のガーゴイル君と向かい合うK。かなり気合いが入った様子であった。 《ガガガ?》 「さて、ガーゴイル君!そしてMarkU!リンク(同調)をするよ」 《期間は?》 「魔界からの旅立ちから−」 ”今日までだ!”そう告げるKにすぐさまエラー信号を発するガーゴイル君。 《危険です!危険です!容量が多すぎます。それに…》 「そんな事をしたら、心が壊れてしまいます。お止しになって下さい…」 それは思念波でない少年の声。 「ああ、クレイ君。ごめんね、起こしちゃった?」 「そりゃあ起きるよ。友達が自殺行為をしようとしているのだから」 「大丈夫。基本戦術を再学習したからね。既に”心も固めてある”」 ”心を固める”それは退魔師がアヤカシから受ける恐怖心などのプレッシャーで怯まないため編み出された術式の一つ。先程のリオの超接近に対して動じなかったのも、この術式のためであった。そしてこの術式は膨大な過去のデータを新たに脳に刻む際の副作用の軽減にも役立つはずであった。 「それでもきついって。既にデータを知っている僕が言うんだ。止めた方が良い」 無機質なガーゴイル君の中からの声、それは心配を通り越した悲痛にも似た響きだった。 「私も… 反対です」 MarkUから聞こえるのは少女の声。 「プラスちゃんも… 起こしちゃったね。でもね、責任がある。仲間にした者達へのね。それに…後付けでも記憶が無いと僕は助からないんだ。頼むよ」 Kの原動力は仲間への想い。そして自身の命というワードを持ち出したのは、心配する二人の友人の許可を貰うため。 「…わかった… 但し無理だと判断したら止めるよ」 「時間もかけてください。せめて一週間…いえ十日はかけて。そうでないなら許可しません!」 プラスの声は…泣いていた。 「ありがとう。では十日でやろう。併せて十七日か… ギリギリだけどね」 ”記憶の再ダウンロード”それは治療ではない。死神の特性と術式を応用した記憶の上塗りである。しかしそれは”自分だった者”の記憶を本で読むのと近しい。 理解は出来ても実感しているのとは異なるし、あくまで記録だから、前後の経験などから思考していく過程が省略されてしまうのだ。故に誤解や曲解をしてしまう事もある。 「それでも!この難局を乗り越えるためには必須の”知識”というわけさ」 「だったら… 優先順位を付けてくれ。あるんだろう?理解をするなら時系列だろうけど、君が知りたい事項が含まれていそうな時期というのが」 クレイと呼ばれた少年の声は、Kにダウンロードする記録を重要性の高い順にするようにと要望した。 「そうだね… 時間の短縮になるのなら」 答えながらKは思考する。父母の失踪にも関連するのであれば… それこそ自身の記憶でも足りない。しかし今回の呪いは… (人間界に来てからのだろうな…) 何かの目的でというよりも私怨、高度な呪具を用いる辺りもそれを裏付けているように感じた。となると− 「ねぇ、クレイ君とプラスちゃん的にはお勧めってないかな?」 「…」 「こっちに来てからさ。僕を普通に殺すんじゃ飽き足らないってなるような何かがあったりしなかった?」 「どういう意味だい?君はそんな怨みを買う奴じゃ無い。…けど…」 「けど?」 「くそっ なんでこういう時は察しが良いんだよっ」 毒づくクレイ、そして無言のままのプラス。 「じゃあ、そこらへんの記憶から始めようか」 Kは俯く二体のガーゴイル君を優しく撫でて頭を差し出す。 「心を…もっと強く固めてくれ。そうでないと…知らないからな!」 ”カプッ!”ガーゴイル君がKの頭を噛んだ! …東に伝わる獅子舞の様に。 《ダウンロードを開始します!時系列…確認。記録時期…セット。》 《災厄戦… 魔儡の結界塔攻略… ダウンロードを開始しました…》
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