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E旅は道連れ 「キィ〜」 名残惜しそうにしながら空へと帰って行ったのはカシム君の友達になったワイバーンのバウ君。…ネーミングセンスについては個人の自由だと私は思うの。 「これ以上近づくと街の人に誤解されるかもですからね」 まだ街が小さく見えているうちに別れたから、そこから街までは結構な道のりを歩くことになった。そして道中、カシム君の謎がもう一つ増えた。 「僕の職業(クラス)って何だと思います?」 はっっっ?? 顔は穏やかな笑顔を保ったまま(だと思う)心の中で盛大に私は突っ込んでいた。途中襲ってくるワンダリングモンスター(彷徨う魔物達)を割と撃退する私とカシム君。…ほぼカシム君が敵を倒しているけど。 そして私の気のせいかもしれないんだけど、その何割かは起き上がって名残惜しそうに見つめてくるの。まるで仲間にしてくれって感じで。いや…ないよね。野生のキラーラビット(凶暴)やスラッグデストロイ(超凶暴)(てかナメクジだよ?)が仲間にしてくれ〜なんて。ごめん、忘れて。 そして私は改めて彼を分析してみた。 装備:旅人の服?と黒いマント 武器:スタッフ?(主に殴る) 魔法:初歩的な炎や氷の魔法をぶつけている その他:たまに蹴る 「…荒くれ者?」 「ハハハ リーマさんはジョークがお上手ですねぇ」 …爽やかな笑顔に殺意を覚えたわ。 でも本当に、なんの職業だろう? 「ふむ… 街に着くまでに考えないとですね」 「なんで?」 「だってギルドで登録しないとでしょう?」 「あ! そうか! じゃあ私もだ…」 「一緒に荒くれ者で登録しましょうか?」 私の一睨みで黙るカシム君。素直で宜しい。 「あ そうだ!」 ポケットをまさぐるカシム君は先程のカードを出して目を凝らしている。…目が悪いのかしら? 「決まりました♪」 にやりと笑うカシム君。えーなんかズルイー。そんな心の声が聞こえたのかな。 「リーマさんは僧侶とか僧侶戦士で良いと思いますよ。修道女の経験があって初級の神聖魔法が使えるのですから。それらの上位クラスが目指している聖騎士なのでしょう?」 「な なんで私が聖騎士を目指しているって!?」 自己紹介の時に修道女だった事しか言っていなかったのに… なんでわかるの?? 「だってリーマさんが担いでいる剣は聖騎士のものでしょう?柄の所に聖騎公の紋章が入っています。由緒ある剣なんですねぇ」 あ そうか。何度か戦って抜剣もしていたから、見る人が見ればわかっちゃうんだ。 「これは父の形見なのよ。私を守ってくれる…」 だから私も聖騎士を目指す。恥ずかしかったけどカシム君に私はそう宣言していた。 「もう私ばかり… で、カシム君の職業はなんなのよ?」 「僕は”道士で登録します”」 聞き慣れない職業だった。 「道士は父が冒険者をやっている時に登録していた職業のようなのでね」 カシム君もまた父親を亡くしているのだろうか? それは聞かなかった。大事なのはこれからだから。ウツロイシティに着けば目標に向かって邁進するだけ!私は私の、カシム君はカシム君の。それだけで良いんだ。 「おっ 街が見えてきましたね」 話ながらの行軍で気がつかなかったけど、少し大きな岩群を乗り越えるとそこには城壁を思わせる巨大な岩壁に守られた古代の修練場がもう間近にあった。見上げてみると− 「凄い… まるで”夜空”ね」 「ええ、ナイトタワーと呼ばれているそうです」 巨大な岩壁よりも更に巨大な建造物が天にそびえ立っていた。恐らくは街の中央部に位置しているであろうそれは、昼だと言うのにまるで夜のように漆黒で、ところどころに星のような煌めきを発している。 「かつてはホーリィタワーと呼ばれた修練場最後の難関だったそうですが、文献にも建物の色彩の記載はないそうで、僕らの見ているのが古代のままの姿なのか?異変によるものなのかは不明なようですよ」 …カシム君詳しい。私が知らなすぎるだけなのだけれど、なんか知識のギャップが悔しかった。そんな視線を感じたのか、自分も詳しい人に教えて貰ったのだと困った顔で頭を掻くカシム君。いや、気にしなくて良いよ。 そこから街に至るまでは彷徨う怪物達は現れなかった。聖騎士達がその威信に賭けて街を守っていることや、冒険者ギルドが哨戒任務を設定しているためだとカシム君が言う。 「さて…参りましょうか」 辿り着いた正門には聖騎士の門番が詰めていた。カシム君がワイバーンを街が視認出来るくらいの距離で帰したのは正しかったと思う。 「まぁ… がんばって」 あまり仕事がないのか、眠そうな門番に激励の言葉を貰って私たちはウツロイシティへと入ったのである!
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