【ド・レイン小説外伝】『召喚術士K暗殺計画』





第一部と第二部を繋ぐ外伝的なお話しです。

元々はモブな黒服の物語を書きたいな〜と思って書き始めたんですが…
気がついたらガッチリ書いてました(^_^;

一人のスカウトが召喚術士Kを暗殺する仕事を受ける事になって…という内容です。

第一部で活躍したリオやルリカ、ティアも出ます(´^ω^`)
そして…新規参戦のキャラも!?

気楽に読んで下さいませ<(_ _)>

召喚術士K

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[30]召喚術士K


「そのアルマス家のご子息様が自ら暗殺にいらしたと?」
 黒服ルリカが先程とは打って変わって毅然とした態度で問いただす。
「その通りだよ。ルリカ嬢。ところで―」
 周りを見渡すガザ。
「僕はゲームが好きでね。特に盤上で駒を取り合うの奴が好きなのさ。強い駒や弱い駒があってさ。それらを取り合っていくっていうね」
 そしてここが!― 大きく手を広げる。発声も大きい。てか五月蠅い。
「ゲームの盤さ。そして僕の駒と」
 俺達を指さす。なるほどねぇ…俺達は駒ですか。戦争とかでも人員を駒や資源と考える事はあるだろうけど、こいつのはそのよりも低俗だ。
「敵の駒がお前達ってわけ。今回のキングは僕とK。先にキングを取った方が勝ちってわけだけどね」
 ガザがニタァ〜と笑う。
「このゲームはキングが最強なんだ。例え雑魚の駒が何個襲って来てもね♪」
 
”シュッ””ズシャアァ!”
 一瞬だった。断の姿が消えて、ガザのいる位置に移動していると俺が認識した瞬間に、別角度からの衝撃で断が吹き飛んだ。
「”ぐはっ” こいつ… 認識出来んという事じゃな」
 かろうじて俺に見えたのは、断の切っ先がガザを捕らえた瞬間。しかしそれは虚空を斬っていた。やはりこいつは”認識出来ない”。それが断であっても。
「師匠ーっ」
 ”バッ”
 飛び出したルリカはガザの直前で飛び上がると小型のナイフを周囲に投げる。見えない位置にいる…それを勘で当てようというのか?
「アウルムさん!リオ!」
 違った。既に呪文詠唱していたアウルム。そして長い杖を銃の様に変形させて術式を展開していたリオ。見事な連係攻撃だった。
「邪悪な気配を断て!”マジック・アロウ・エクスプレス”!」
「ゲイザリオン… 魔石”雷”展開… ”ライトニング・アロウ・スレイズ”!」
 数十本の魔力の集積体である矢と、雷属性の矢がガザを挟み撃ちにし、認識を錯覚させられているていで空間中を撃ち抜いていく。
 ―ありがたい事に、その攻撃は俺達を標的にはしないでくれていた。
 美しい光源が回廊を埋め尽くすように発射され尽くすと、
「どう?これなら… あ…」
「ふふふ 残念〜」
 ガザの声はアウルムの後方からした。片腕でアウルムの首を締め付けていく。
「自分達には当てないだろうからね。既に君の後ろにいたんだよ?」
”ぐぐぐぐっ” アウルムの顔から血の気が引いていく…。

「では僕のターンだね?アロウで攻撃されたから、アロウで攻撃し返さないと♪」
”キュイン!”
 それは短い魔力集積の音だった。
「カース・ライトニング・アロウ」
 無数の雷属性の”黒い矢”がガザの周囲に展開すると、一斉に放たれた!! そしてそれは… 俺達まで標的だった!!
「くっ」
 雷の矢は文字通り雷の速さ=光の速さを持つ。避けきれない。体が反射的に頭などを覆う。
”シュッ… …… ………”
 黒い光が白き光に一瞬で相殺された。断だった。
「室内なのが幸いしたかの。捉えきれる量じゃ」
 理屈はわからないが、その剣捌きで凌ぎきったようだ。俺達も含めてこの場の全員分を。
「幸い?災いの間違えじゃないの?断」
 全ての矢を相殺されたのにガザの言葉は余裕そのものだった。そしてその理由はすぐにわかった。
「ぐっ… なるほど呪い属性も付与されておったようじゃからな…」
 片膝をつく断。
「思ったよりも効果てきめんだね。通常なら武器破壊を兼ねる術式なんだけど、武器の化身たる君には全身にダメージがいくわけだ」
 武器の化身?確か資料にもそう書いてあった。俺は達人を比喩的に表現していると解釈していたのだが、これは文字通りだったようだ。希有な存在。そしてガザのいう盤上のゲームという意味で現況は、ガザ以外の全ての者には更に厄介な状態となっていった。

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[31]召喚術士K


「この場で最強の駒が戦力ダウンと。さて…やり返してきても良いけど、このゲームはカウンターもあるからね?気をつけて仕掛けておいで♪」
 余裕の表情で全員を見回すガザ。
「聖石・ダイヤモンド・シールド!!」
 無詠唱でリオがダイヤの如き輝きの防御シールドをガザの眼前に発生させた。大きさは廊下に合わせられており、完全にガザを自分達から隔離した状態だ。
「今のうちに…」
 撤退…という言葉を飲み込んだのは、ここが自分達のアジトたる館だからか?タイミングが振り返りざまだったからな。三階の主の身を案じたとしてもおかしくはない。
「三階に逃げるかい?まぁキング同士の対決でも良いけどねぇ〜」
 笑い声を孕んだガザの声はリオの真後ろからした。既に移動していやがった!
「ぐっっ ああ…」
 ガザが棒状の…ロングスピアの柄で背後からリオの首を締め付けていた。
「お前は取っておこうかと思ったけど、タイミング的に今にしておこうか?リオル」
「かはっ… あっ」
”カラン”リオがスタッフ(ゲイザリオン)を落とす。それ程の締め付けなのだろう。顔がみるみると青くなっていく…。

「リオ!」
 まるで瞬間移動かと思える速さでルリカが突進した。いつの間にか手に戻っていたドレイン・ナイフによる打突!しかし…
「ふにゃっ!?」
 その切っ先がガザの喉元を貫くビジョンのままルリカはリオと正面衝突し、その勢いのまま二人とも廊下を転げ回った。あの状態でも自身の位置を偽装していやがったのか!?
「カウンターでなくて肩透かしだったね。さて、ここらで一人射止めていこうか♪」
 ガザが床を蹴った。そして空を舞ながらロングスピアの切っ先を倒れているリオとルリカに向ける。
「これは二人ともかな?頂きっ♪」
”ガッッッ!!”
「うぐ…」
 ガザの呻き声。蹴りが入ったんだ。その頬に。そして蹴りを入れたのは…

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[32]召喚術士K


「なんのつもり?」
 体勢を立て直したガザが俺をギロッと睨んできた。
「それはこっちの台詞だな」
 俺は体の可動域のダメージを確認しながら答える。ああ、さっき断ししょーとやらに峰打ちされた打撲のダメージのチェックだ。幸い骨折も無く、関節も無事っと。
「…君達…特に君には目を掛けてたんだけどな。契約に違反して裏切る気なら、始末するけど?」
 さっき全体攻撃に巻き込んでおいてよく言う。幸い断が裁いてくれたが、呪い属性の雷なんて受けたら数発で死んじまうだろうが。…記憶無いのか?こいつ。
「悪いが契約ならお前のせいで失効してしまったよ。さっき俺達も巻き込む攻撃をしたろ?貴族のご子息であっても、いや公的なお仕事もするだろうお前なら契約の重大さは知っているはずだ。契約文には”お互いを害するな”ってあったんだぜ?」
「それはお前達…急造のパーティのトラブルを避けるための文面だ。僕には関係ない!」
「あのなぁ…」
 やれやれといったリアクションをしつつガザの身勝手さにツッコむ。
「引率者Xさん。お前も込みのパーティなんだよ。書いてあるんだ。小さくだがな。それにお前自身も俺達を駒に例えながら、自身をキングの駒だと認めていたじゃないか?」
「…一番の常識人が一番非常識とはな。この状況で契約どうこうなどと…。大事なのはどっちに付くかじゃないのか?僕に…”国家に”付くのか?それともこのイレギュラー達に付くのかっっ??」
 こいつ…友達少ないのかな?緊迫した状況下でこんな事が頭をよぎる俺は確かに非常識なのかも知れない。しかし身勝手な攻撃に巻き込みながら自分に付けと”国家権威”を持ち出してくるガザの言葉から、少しだけこいつの寂しさのようなものを感じたんだ。
「殺るならゲームとか言ってないで真面目に殺れ。悪いが犯罪者組の奴らだって、それについてはお前より真面目だぞ」
「僕に説教か… わかった…」
 あ… こいつの地雷を踏んじまったか? まぁ…いずれこうなっただろうがな。
「お前を殺してから、ゲームに戻るさ」
 その声は俺の真後ろからした。

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[33]召喚術士K


”ガッッ!”
「な…に??」
 そしてこの声は俺の真横からして、すぐに10フィート程離れた。俺の肘が奴の顔面に入ったからだ。
「おまえ…なぜ?」
 認識出来るのか?…そう聞きたいのもわかっていた。
「なぜって?そりゃあ、わかるからさ。俺にはな」
 俺が向いたのはガザの声の方向じゃない。その右側…
「りゃっっ!!」
 発声と共にダガーを突き出すと、何もいないはずの空間が揺らぎ、地面を蹴る音がする。
「おまえ…本当に僕を…認識出来るのか??」
 俺との間合いを更に5フィート増やすガザ。自身の絶対の術式を破られて冷静さに欠いている。だってさ、俺とこいつでは土台の技量が違う。奴の方が格上なのだ。正々堂々と正面から俺とやれば数ラウンドで決着がつくはず。なのにそれをしないのだから。
「ああ、わかるぜ?そして…宣言してやる。これをお前に突き刺す…」
 俺は重ねる。奴を追い詰める言葉を。ダガーを手に、もう片方の手で奴の胸元を指さして。
「ウォード、グラス、お前達も良いよな?やるぜ?」
 短く言ってから俺は飛び出した。奴らを一目も見ない。見る必要はないからな。これまでの奴らの挙動で充分だ。
「ウォード!」
 ガザを追撃しながら古き良き侠客の名を呼ぶ。
「グラス!」
 三度、ガザを捉えてダガーによる近接戦闘を仕掛けながら謎の風の使い手の名を呼ぶ。
「うぉぉぉ!!なんでわかるんだ?こいつ??まさか僕と同じ???」
 だからさ。冷静に俺を倒そうとすれば良いんだぜ?ガザの坊ちゃん。見抜かれている理由を追及する必要なんてないんだ。それがわからない限り、どんな技量差があってもおまえは俺にさえ勝てないのさ。

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[34]召喚術士K


「吹き飛ばしてやるっ!!」
 ガザに魔力が収束し始めた!それは先程の雷の矢の術式か…あるいはもっと凶悪な全体魔法か…
”サッッッッ”
 俺は飛び退くと同時に”ある地点”を指さした。
「ウォード!」
「うぉぉぉぉっっっっっっっ」
 巨体らしからぬ速さでウォードがその地点を貫いた!!奴の魔鉱石の腕が大きな棍棒の如くその一点を打ち抜く!!
「ぐわあああああああああ!!」
 何もない場所からの絶叫。ガザのものだった。
「グラス!」
 俺はまた違った地点を指さす。
「流儀を汚した罪を償え!」
 無詠唱で発する風の渦。それは先程の暴風より密度を集積させた真空の結界だった。
「があああああああああああああああああああ!!」
 誰もいない場所からの悲鳴。これもガザのものだ。
「く… ”鎧”がなければ死んでいた…。なんだ?なんなんだ??お前達はぁぁぁ」
「それはな…」
 ガザの声がしたところに既に俺はいた。片手で奴の喉を掴みあげると、もう片方のダガーを胸元へ…ウォードの打突とグラスの風で解れた”鎧”の一点に当てる。
「暗殺者さ」
”サッッ…”
 ダガーの切っ先をガザの心臓へと挿入していく。
「闇夜に月が出る如く…」
「かはっ…」
 それは”俺のおまじない”の言葉。それに合わせて刃が沈んでいく。血を吐くガザ。
「おまえ…ほんとうに…どうやって?」
 知りたい― 自分を捉えた術を。目がそう訴えていた。
「大したもんじゃない。色々考えたうちの一つさ」
 俺が目線で合図を送る。ガザの目がそれを追う。
 糸がガザの”鎧”の一部についている。釣り針が付いたやつだ。その糸の先が俺のダガーの柄に巻いてある。
「俺も相手の認識を奪うからな。そういう時の動き方も知っている。故にお前の動きも予測は出来た。難儀だがな。そして一度でも攻撃が当たってさえくれれば、後は糸を追えば良い」
 ガザが冷静であれば、糸の存在に気がついただろう。そしてその認識さえずらしたかもしれない。ただ認識をずらす術式は簡単ではないはずだ。視覚・聴覚…さまざまな術を複合して完成させているのだろう。故に気がつかない事象やイレギュラーへの対応は流石に出来なかったというわけだ。
「あ〜あ、残念だ…。こんなに僕をわかろうと…いや、わかってくれた人がいたなんて…。死の間際に気がついてもなぁ…」
 そしてガザは俺の腕にもたれるようにして息を引き取った。

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[35]召喚術士K


「終わったかの?」
 片膝をついたまま経緯を見守っていた断が誰かに問うように呟くのが聞こえた。
「助けて貰った事には礼を言いますが、暗殺に来たんですよね?そして仲間割れ…ですかね?」
 黒服ルリカは既に回復しており、衝突のダメージでまだ立てないでいるリオを庇うように立ちはだかっている。
「仲間割れか?んー、まぁ似たようなもんかな。聞こえてたと思うが引率者のポジションだったこいつが重大な契約違反をしたんでな。とりあえず仕置きをした感じだ」
 そう、契約違反者への仕置き― この館にとって現時点では俺達はまだ招かれぬ客なのだ。
「えー、まだ襲ってくるの?もうやめておかない?」
 落とした杖(ゲイザリオン)を掴みなおしてリオが面倒くさそうに言う。

(まぁ、俺は別に良いんだがな)
 自由選択が出来る依頼であったなら、引き受けなかった案件だ。依頼者がKだけでなくサキュバス達もターゲットにしたから…という事ではないぞ? 必要なら受けるさ、その程度ならな。大切なのは必要かどうか。きちんと下調べもやって、初めて仕事に成り得るんだ。こういうのは冒険者としてのクエストとあまり変わらない。なのに―
 見知らぬ場所で、暗殺術士を名乗るNと引率者Xを自称したガザ、規格外の二人と底が見えぬ奴らのバックボーンに威圧された中で即時契約を迫られた。NOと言ったら始末される状況下での意志決定にどんな意味がある?
 暗殺を美化するつもりはないが、少なくとも心に従って選びたい。それが出来なかったんでクサクサしてたわけだが、街でウォードとグラス(この時はパーティと知らなかったがな)と遭遇して、なんか吹っ切れた俺は限られた時間で出来る限りの”やるべき事”をやった。
(どうやら功を奏したようだが… 問題はウォードとグラスか)
 ガザの契約違反を持ち上げて、契約そのものを破棄させてしまおうと思ったのだが、先程廊下で聞いたウォードのKへの怨み、グラスも彼女の流儀とやらは途中棄権的な解釈を快しとするだろうか?
(ガザに対しては共闘してくれたからな。明らかなNOではないのだろうが)

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[36]召喚術士K


「何を考えているのさ?」
 杖を…文字通り歩行補助の杖にしてリオが俺に近づいてきた。護衛にルリカをつけながら。…近くで見ると可愛いよな。ん…この娘でもロリコンになるのか? …まぁ良いけどさ…
「どうしたんです?リオリオ。足が痛いなら無理はしない方が…」
 心配そうにリオを見守るルリカ。こちらをキッと見やるリオの視線は、自身のロリコン疑惑を妄想する俺ではなく、俺がかかえているガザの死体に注がれていた。
「いや… 気のせいだと思うんだけどさ。このガザって人、さっき僕を”リオル”って呼んだんだ。それもフルネームで」
 ん… そういえばそうだったか。貰った資料にはリオと書かれていた。俺には気にならないレベルの話だが、リオとルリカには大事だったらしい。リオのフルネームを知っている=危機のような焦燥感さえ察しられた。
「まさか… だって”滅んだ”じゃないですか?」
「うん… もう済んだんだよね?でもだったらどうして…」
カジノの時よりも真剣な表情のルリカ、そしてガザの首に指を当てて死を確認しているリオの顔は、ガザよりも蒼白であった。そして彼女達の問いに答える者がいた―

=『まだ済んでないぜ?』=

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[37]召喚術士K


”ガッッッ”
…。
……。
………なにが…起こった?

「リオ!下がって!」
「そんな… だってこいつはっ」
「暗殺者さんが!」
「ちっ!」
”バリィィィィ!”
「「きゃああっっ!!」」

 鳥瞰図― 鳥が空から眺めるような… そう俺は空中から見ていたんだ。ルリカとリオが恐怖の表情を浮かべ、アウルムが俺の方を見て悲鳴をあげて…、断が突っ込んで来たと思ったらまばゆい光と共に吹き飛ばされて…。

「うおぉぉ!!」
「なんだよ、こいつは!きゃあぁ!!」
 ウォードとグラス…か? 突っ込んで来て…やっぱり光と共に吹っ飛んだ。…って俺は一体どうなってるんだ?

『やれやれだ。俺が力を貸してやったっていうのに、こいつら如きにやられるとはな!こんな奴ら”呪雷”を使えば簡単だろうに』
「あなたの事はマスターから聞いた。でも死んだはずだ。マスターにやられて…」
「そうですよ!お前はますにゃーが!それ以外の諸々は主にわたしが!倒したはず!」

 =魔石将(ジュエルズ)”トパーズ”のショハム!=

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[38]召喚術士K


 ん… 真下に誰かいる。ガザ?…いやあいつは死んだはずだし、あんな”鎧”を着てはいなか… ああ、そうか”偽装”してたのか。グラスの風でダメージを負った時に鎧がなければって言ってた。しかしなんだ?あれは…尻尾?それに顔も…猫っぽいというか…獣?あいつ…ワーキャットか何かだったのか?

「その鎧は”魔鎧”(デビルプレート)ですね? そうか!黒王には魔王が加担してたけど、まさか身内…いや同一人物… いやいや…同一魔王とみた!m9( ゚Д゚) ドーン!」
 ルリカが何かしら決めている…。元気な奴だなぁ…。俺の方は凄く疲れているのによ…。

『五月蠅ぇよっ!!』
”バリィィィィィィィィィィ!!!!”
 ガザ…いやショハムの咆哮と共にリオもルリカも吹っ飛ぶ。全身を燃やされて。
「ヒール・オール・エクスプレス!」
 既に後方へと下がり、大きく距離を取りながら”全回復”魔法をマジックミサイルのように圧縮して放つアウルム。器用だなぁ…。う…。その矢の一本は俺に向かっており、撃ち抜かれると回復と同時に腹に激痛が走った。これは…尻尾??
 俺の腹をショハムから伸びた尻尾が貫いていた。それで浮いているのか?俺は。そして誰もショハムに近寄れずにいる。俺の鮮血が奴の尻尾を伝わっているのが見える。結構な量だ…。
『とりあえずお前らを抹殺してから、術士を嬲り殺す!』
 宣言し、必殺の術に集中するショハム。恐ろしいまでの魔素が奴に収束していくのが俺でもわかる。
「誰がお前なんかにっ ボクがなんとかしなくちゃ!」
「リオ下がって、私が飛び込みますから!リオは援護を!」
「ダメだよルリカ。ボクのせいなんだから…」
 リオの言葉を聞かずに突貫するルリカ。無謀だ。あんな直線の動きでは撃ってくれといっているような…。
 俺は気づいた。とてつもなく低い姿勢で断がショハムに迫っている事を。そして奴の死角からウォードも迫っており、アウルムとグラスは必殺の術のためのタメを行っていた。…ここまで分かるのって、死気が近いからか? 何故かそんな事まで思考出来ていたんだ。そして重大な事にも気がついた!
「だめだ!こいつは!」

 =認識を偽装しているぞ!!=

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[39]召喚術士K


 ルリカの打突、断の超低姿勢からの抜刀、ウォードの拳撃がショハムを捕らえた瞬間、その全てが空を切った。

『”呪雷陣”牙烈光!!』
 ルリカ達の必殺の近距離攻撃をガザの如き”認識の偽装”で紙一重に躱し、すぐさま必殺の術式を放ちやがった!!
”キィィィィィィィィィィィィン!!!”
その衝撃波は全方位に放たれたが、俺はといえば奴の尻尾が刺さっているためか無ダメージである。…いや…腹からの出血がやばいから大丈夫では無い。そして―
『ほぉ、召喚術士以外にもこれ程の防御が出来る奴がいたとはな』
 ショハムが感嘆の声を上げる。
「仲間の事を忘れたの?僕には”ダイアモンド”の聖石があるんだよ?」
 リオは元から突貫するルリカをサポートする目的で”絶対防御”のシールドを三枚展開していた。そして―
「嫌な予感がしたんだ。ガザに力を貸したって事はさ。その逆もあるかもだろう?」
「私は攻防一体を考えたのです。貴方は一筋縄では行かないでしょうから」
 後方から支援魔法を展開するはずだったアウルムとグラス。グラスは実戦の感で、そしてアウルムは繊細且つ合理的な考えで、咄嗟に展開した防御結界が前衛の三人の命を救っていたのだった。その時だった―

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[40]召喚術士K


「騒がしいですねぇ… 何かありましたか?」
 間延びした言い回し。戦場と化しているSALON二階の現在地とは無縁そうな空気が三階に続く階段から漂ってきた。
『おお!おおお!召喚術士のおでましか!これはこれは♪』
 ショハムが凄まじい笑顔で振り向く。その隙を狙った断とルリカの一閃を”偽装”と二本目の尾で弾くと、怨敵の登場を喉を鳴らして歓喜し始めた。…猫かよ。
 廊下を魔法衣を纏った術士が歩いてくるのが見えた。
「おや?ハーフリングのお嬢さんとは珍しいね。お客様だったかな?」
 下がっていたグラスと遭遇したらしい。朗らかに挨拶をしている。そのくらいになると暗くても視認出来るようになる。黒衣を纏いし長身の… おじさま?
『…誰だ?』
 聞いたのはショハムだった。

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[41]召喚術士K


「おや… これは… 修羅場だったかい? タイミングが良いのか悪いのか?」
 長身の…一応術士だろうな、初老の男が誰かに問いかけるように現状を分析していた。
『誰かと聞いたんだがな。まぁ、良い… 関係者は始末するだけだ』
 先程の歓喜はどこへやら、さして興味のない対象に変わったと判断したショハムは、無詠唱の術式を放った。それでも当たれば並の術士は消し炭にされるであろう呪いを込めた雷撃を。
”バリィィィ!”
”……”
 ん… 雷撃が術士に到達する前に何かにぶつかって消えた。
『ラプルス様、危険ですのでお下がり下さい』
 いつの間にか術士…ラプルスの前に立っているのは、貴族服の少年?だった。
『…お前…』
 ショハムの機嫌が悪いのが手に取るように分かるのは、尻尾で繋がっているからか?それとも俺の死期が迫っているからか? 奴にとっては無詠唱で放った初歩的な攻撃であったろうが、それでも無傷で消されるのは意外だったのだろう。
「ふむ。そうだな。カムアに無用な心配をかけたくないからなぁ」
 ラプルスは優しげな視線を三階へと続く階段の方へ送り、そして少年に命じた。
「ではリューク。迅速に… そして静かに終わらせなさい。ああ、ついでに死にかけのお客様もお助けするように」
 …ありがたい。…が、剣の達人を翻弄し、実戦経験豊かな面々を歯牙にも掛けないこいつにどうやって?
「かしこまりました。ラプルス様」
 恭しく頭を垂れる少年。一方ショハムの怒気は痛いほど伝わってきていた。いや…駄洒落じゃないんだ。むしろ腹の傷の痛みを忘れさせられる程の怒気さ。しかし俺の心配などは全く必要なかった。

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[42]召喚術士K


『な…に?』
 声をあげたのはショハムだ。奴の前にリュークと呼ばれた少年がいた。…いつの間に?しかもそれはショハムがいた場所の一歩窓よりであった。位置を偽装した先…、その場所でリュークはショハムの眼前に立っていた。
『くっ!!』
 咄嗟に槍で応戦しようとするショハム。しかしその槍は微動だにしない。
『近距離で長い得物は感心しません』
 ショハムが両手で槍を握っているのに対し、リュークは片手を優しく添えているだけ…のように見えた。夢でないなら、どれだけの筋力差だ??
『こいつっ!! あ…』
 ショハムの次行動は予測出来た。…尻尾で繋がっているからではないぞ? 戦士としてだ。リュークを難敵と認め、自身の最大戦力で挑む!…はずだったんだろう。
『闇夜に月が出る如く』
 なっ 俺のおまじないを!? なんでこいつまで?? いや、そんな事はどうでも良い。 俺は…いやここにいる全員が理解出来ないものを見ていた。
『か… はっ…』
 リュークの手刀がショハムの鎧のエンブレムを貫き… いや、その前に添えていた手で槍を握りつぶしやがった。真っ二つに折れた槍が地面に落ちるまでの時間― その僅かな時間でリュークの手刀が鎧の結合部を裁断し、そして最後にエンブレムを斬り落としたのである。その間、ショハムの抵抗である呪いの籠もった雷撃…”呪雷”を受けながら!

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[43]召喚術士K


『止血はしました。あとは安静になさって下さい』
 ん… あれ? リュークの顔がやけに近いと思ったら、既に俺まで救出済みだと!? ああ…確かに手刀でショハムの尾を断っていく残像が見え… …って残像かよっ!?
「ああ、ありがとうな。助かった…」
 リュークに礼を言うと、彼は軽く会釈をして返した。そして胸に手を置くようにラプルスに礼をする。
『これで宜しいでしょうか?ラプルス様』
「うんうん。良い子だ。ちゃんと出来たね」
 笑顔のラプルスはリュークに斬られて散乱しているショハムが纏っていた”魔鎧”の残骸をながめると、
「さて、核(コア)は取ったけどね。どうだい?まだ”動けるかい?”」
 謎な事を言う。しかしその意図はすぐにわかった。

『五月蠅ぇぜっ この爺ぃがぁぁぁ!!』
 ”魔鎧”のヘルムから歪みの強いリュートのような奇声が上がった!ヘルムだけではない。ガントレット、レッグアーマー、ブレスト… 鎧の各部が浮き上がる。さながらリビング・アーマーだ。そしてそれらはラプルスへ向かう!
『てめぇを撃ち抜いて、そのまま召喚術士も殺してやるううううう!!』
 やばい!このままではラプルスという術士は…。ん…ラプルス? どこかで聞いたな。大量の出血で脳みそに酸素が行き届いていない俺は、不覚にもKと同じ聖王騎将に数えられている英雄の名とその恐ろしい特性をど忘れしていたのだ。

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[44]召喚術士K


”キリ… キリキリキリ… キリィ…”
 止まっていた。ショハムの全てが。ラプルスの眼前で。
『な…なんだ? なんなんだ?? なんで動けない???』
「よく囀る子だね。粗暴な言葉遣い…。僕の”チャイルド”達と違って、まず気品がない」
 何かがショハムの…鎧を止めている? 目を凝らしても見えにくい何か…
「糸か!」
 先程ガザに仕掛けた俺の釣り糸なんかとは比べものにならない細さと強度をもった糸がラプルスの前に張り巡らされていたんだ。
「うちは代々”人形使い”の家系でね。…まぁ…君に言っても仕方の無いことか」
 そうラプルスというのは人形を操る家系に生まれた天才。操るだけでは飽き足らず、自律行動をする人形を研究する過程で、ゴーレムやホムンクルスなどに通じ、錬金術師として大成した。災厄戦では、自身の作品達と参戦して…。
(たしか…他の聖王騎将よりも多く魔爵を屠ったんだよな…)
 役者が違った。ラプルスを葬り、Kまで殺りにいこうとしたショハムよ。資料をちゃんと読んでおけ。親類筋の事も書いてあっただろう?そんだけ動けるなら逃げ帰れたじゃないか?
『き…き…きさまぁ!』
「もう良いよ。絡繰りと動力源は分かった。”ただのマイナーアップ”のようだね? では…ごきげんよう」
”キリキリキリ…”
ラプルスの糸が深く食い込んでいき、そして―
”パァァァァァァン!”
 ショハムだったものを撒き散らして、戦いは真に決着した。

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[45]召喚術士K


「大丈夫か?」
 止血されたとはいえ、かなりの血液を失って倒れている俺を抱き起こしてくれたのはウォードだ。ショハムの呪雷を浴びたこいつの方も全身火傷で酷い有様だったが。
「まずいな。生命エナジーが戻ってない…」
 心配そうに覗き込むのはツンデレハーフリングのグラスだ。小声で精霊魔法を詠唱してピクシーを召喚し、俺へのエナジー供給を命令してくれていた。
「…ほら、これ」
 リオが石とポーションをウォードに渡す。俺達の方は凝視せずに視線を反らせ気味に。
「エナジーを蓄えた魔晶石とエリクサー。…助ける義理なんてないんだけどさ」
 …この娘もツンデレなのか?いや…ありがたい。この後、衛兵に引き渡されるとしても…。
「さて、回復させておいてアレじゃが、どう処断しようかの?」
 ショハムに突貫した三人の中では一番軽傷で済ませていた断が笑みを浮かべていた。
「じたばたする気は無い。好きにすると良い。…ただこいつらは…」
 どんな経緯であれ、暗殺失敗のけじめはつける。俺はそれで良い。だがKに怨みがあるウォードと、生真面目そうな流儀を持つグラスが応じるかどうか…。
「ごーもんだったら、わたしが!」
 良い姿勢で右手をビュッとあげているのは黒服ルリカだ。…楽しそうでいいよなぁ…。
「ふむ… そうそう瑠璃の字よ。今夜はお前とグローザを配置したと思ったのだがの?お前は遅刻、そしてグローザは姿を見せん。あれに妾を振るわせようと思うたのに叶わんかった。グローザの居所を知らぬかえ?」
 目を細める断、そして良い姿勢のまま大量の汗をかき始めるルリカ。
「あ… いや…それはですね、ししょー。グローザさんはわたしに代わって皿洗いを…」
”ビュッ バシッ シュシュッ ダダダンっ!”
 全く見えない太刀筋。数え切れない衝撃音。宙に舞うルリカ。
「ひぃひぃあうぅ… ひぃひぃ…ふうううぅ…」
 ヒクつきながら出産時の妊婦の息づかいのように必死に呼吸をするルリカ。無惨な…。
「はしゃいでるんじゃない!お仕置きは追って沙汰する!!」
「わ…わたしがいつ はしゃぎましたかぁぁ?」
 ガチギレの断。そして今までで最大のダメージを受けているルリカを、リオがやれやれ顔で抱き起こす。

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[46]召喚術士K


「あ それよりあれだ!ガザが別働隊を陽動に出したと聞いた。内容まではわからないが…」
 回復して来た俺の頭を最悪がよぎる。ガザにショハムという最悪な展開に翻弄されていたが、館への害意はまだ存在し続けている可能性があったんだ!
「ああ、それだったら大丈夫だと思うよ」
 答えたのはラプルスだった。「ほら」と彼が示した窓に少年の姿が―
「ここ二階ですがっ」
 …ツッコミは俺一人らしい。入ってきたのはリュークよりやや背が高い少年だった。
『ラプルス様、殲滅を完了しました』
 右手を胸に当てて恭しく頭を垂れる少年にラプルスは優しげに微笑みかける。
「ご苦労だったね。ギルツ。んー、ジーコはどうしたのかな?」
『はい。ジーコは気が乗らないと言いまして…。事後に黒服の方とカード遊びに興じております』
 ニコリともせずに、そして別段恨みがましくもない淡々とした口調でギルツが報告すると、
「あの子が一番ムラがあるかなぁ…。まぁ三者三様だね。皆無事ならそれで良しだ♪」
 ご機嫌のラプルス。ガザが放った別働隊は黒服のナンバーズと言われる特記戦力を想定していたと考えられる。それをこの子が一人で?それとも黒服との共闘で? いずれにせよ、ショハムを瞬殺したリュークと同レベルと考えたら”ありえる”結果だろう。
 これにて召喚術士Kを暗殺する任務は、無事に失敗となった。
 そして話は俺達の”始末”へと戻る―

「俺は… ここの主に会えさえすれば良い。頼めないか?」
 俺を抱きかかえながらウォードが断に懇願する。誇り高き男がここまでするとは…。こいつの想いはここまで強いのか?
「私も… K… 主殿に会えれば…」
 グラスもウォードの願いに重ねる。しかし暗殺に来た者を主に会わせるセキュリティはないと思うぜ?
「わかった。案内しよう」
 ほらダメ… って良いのか?? まだ動けるぜ? そりゃあ断の腕なら瞬殺かもしれないが。涙目でリオに甘えながら回復魔法をかけて貰っているルリカが歩けるくらいに回復した後、俺達はこの館の主たる召喚術士Kと面会する事になったんだ。

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[47]召喚術士K


”ギィィィィ”
 館三階の召喚部屋の扉が重々しく開くと、そこはかなりの広さがあった。大型の魔物を呼び込める仕様なのだろう。その広さ故に、キャスト室を兼ねているという話は本当らしく,簡単なパーティーションで仕切られた先は妖艶なサキュバス達の残り香が立ちこめていた。…召喚に集中出来るのか?ここの主。

「やぁ… いらっしゃい」
 細々とした声がした。奥に配置されたベッドからだ。そこには黒衣を纏った術士がいて、その傍らには先程”お勉強の本”を持ってやってきていたリリーが一生懸命に本を読みつつ…主にクッキーを食べている。
(随分とやつれて… 体でも悪いのか?)
 サキュバスに搾られて…という羨ましい妄想もあった。が―
「ナンデヤツレテルンダロウネ?」
 何故か片言のリオ。
「また…盛りましたね?リオリオ」
 何故かジト目のルリカ。
「主殿。来訪者じゃ。闇夜のなんとかじゃったな?特に希望のあった三人を連れてきた」
「ありがとう。断。ええっと…闇夜の月さんは、どちら様でしょう?」
 Kの視線が俺とウォード、そしてグラスを行き来する。

「あ ああ多分俺です。その言葉は俺の…まぁ口癖のようなものですが。”懺悔”の時に、 目印くらいの気持ちで話したんですが、何か引っかかりますか?」
「ああ 貴方でしたか?いえ…」
 Kは黒衣を整えてベッドからおり、ハッと気づいたリリーの助けを受けて椅子に座る。
「懐かしい言葉だったので。子供時代に曾祖父が集中する術式の時に言っていたんです。何かしらの詩編の一部らしいですが、同じ言葉をキーワードにされた方がいらっしゃったので興味を持ちました」
 ほぉ、それは奇遇な。俺も子供時代の”先生”の口癖を貰っただけなんだが。確か先生も黒髪だった。もしかしたら出生などの境遇が似ているのかもしれない。

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[48]召喚術士K


「悪いが…良いか?」
 俺を支えてくれていたウォードが手を離して一歩前に出た。
(おい!まさかここで殺る気じゃ…)
 断も回復したルリカもいる。いやラプルスとリュークもいるんだぞ?
「召喚術士K… あんたに言わなきゃならない事がある。オンス村の一件だ。わかるだろう?」
 いつにも増して凄みのあるウォード。そりゃあ親父と慕った男の遺言かもしれないが、うくらなんでも!そしてウォードの啖呵は続く。
「そして災厄の魔王討伐の時、”傀儡”と二つ名の魔爵との戦いで貴方は俺達のいる前線ではなく、近くの城を優先した…。間違えないか?」
 俺はどう止めようか、脳みそに血が巡りきらない状態で思考を繰り返していた。でも間に合わない!
”ガッッッッ!!”
 ウォードの両手が地面に叩きつけられ… ん… 両手?
「ありがとうございました!マスタ―K!!この恩は決して忘れない!!!」
 はっっっっっっっっっっっっ??? なんだ?? ど 土下座ぁぁぁ??
「ええっと… オンス村はわかりますが、そのぉ…貴方の土下座の意味はわかりかねます…」
 流石に引いているK。いや…それが正常だと思う。

「ああ、そうでした。実は…」
 オンス村― それはウォードの言うとおり、彼のファミリーが守ってきた村だ。そこを魔物が襲った。噂ではKが魔物と襲った事になっていたが、実際はKを貶める連中の罠である事が判明した。その初動において、ギルドも衛兵も動かなかった時にいち早く事態を収束させたのがK自身だったというのだ。
「ああ、それは… 確かに一助になったとは思いますが、初動についてはそこにいる…」
 リオとルリカを紹介して、Kはオンス村での一連の話を簡単にした。ティアと艶姫、そしてガリル。村の魔物を早期に退治した直接の英雄達の事を。
「そうだったんですか」
 Kの話を聞き、ウォードがリオとルリカに向き合い、膝をつくと
「ありがとう。本当に…感謝します」
 強面の男が涙目で少女二人に頭を下げている。いや…本当におまえって…。真っ直ぐな良い奴だったんだな…。もしかしたらウォードは暗殺を受けつつ、実のところK達を体を張って守るつもりだったのかもしれない。
 そして災厄戦の話も誤解満載だった。Kが前線でなく向かったという城というのは”傀儡”の魔爵の守りし結界塔の事だったらしく、魔爵はそのエナジーを用いてほぼ無限に強力な傀儡兵を生み出していた。そのため大型の魔物(恐らくグレーターデーモンと思われる)によってウォード達のいる前線へ向かう傀儡兵を牽制しつつ、Kがいるギルド部隊の本隊が結界塔を奇襲した…というのが真相だった。いや…ウォードよ、お前は良い奴だが、説明は下手か?あの言い方じゃ恨んでるとしか思えなかったぞっっ

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[49]召喚術士K


「わ わ わたしも 良いか?いや 良いですか?」
 あ もう一人いた。グラスか。この状況に緊張しているのか、少し声が上ずっている。断と相対した時でも凄みが効いていたこいつとしては珍しいと、短い付き合いでもそう思う。
「ええ、ハーフリングの方ですね?えっと…どのような?」
 ウォードのいきなりの土下座の後だ。グラスが何を言い出すのか、Kは警戒しているのだろう。俺もヒヤヒヤだ。まさか決闘を申し込んだりしないだろうなぁ?
”バッ!”
 懐からスクロールを取り出すグラス。ぐっ 断は?ルリカは?いやリューク?思わず規格外の奴らの動向を目で追う。
「これにサインを下さいっっっ!!!」
 赤面で頭を下げるグラス。
 はぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ??? なんだってっっっっ?????
「…サイン?」
 反復するK。いや正常です。それが正常な反応です。
「はい!以前…」
 災厄戦の少し前、精霊公領にKが立ち寄った際に発生していた事件があった。邪霊に関する事件の終息のために出撃したのは”炎”のフェレスと”風”のクーマという二人の精霊騎(エレメンタル)であった。かつての”呪海”の魔王の加護を受けた邪霊騎達との戦いは熾烈を極め…、Kもまた冒険者として戦いに加わったのだそうだ。
「そのご活躍を拝見して… その…感動しまして…」
 いやグラス… お前ツンデレを通り越しているぞ? 赤面しながらKを恋する乙女の視線で見つめるグラス。そして… 気のせいか殺気立つリオ。
「モテルンデスネー サスガマスター」
「リオリオ〜 目つきがヘルダンですよー」
 グラスもまた暗殺を受けておいてK達を守るつもりだったのかもしれない…。
(なんだよ… 似たようなもんだったのか。俺達は)
 最後の緊張の糸が切れた俺は… 情けなくもその場で失神してしまった。

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[50]召喚術士K


 数日後―
「う… あっ」
 目を覚まして周りを見渡すと… そこは大きな部屋だった。意匠からして貴族の…となると、ここはKの館か。どのくらい眠っていた? あの後どうなった??
「痛っ そうか…腹の傷か」
 着せられていた寝間着を脱いでみると、腹にケロイド状の痕が残っていた。回復呪文でもこれはすぐに治らないのだ。
”カチャ”
「あ お目覚めになったのですね」
 入ってきたのはゴスロリ衣装の… アウルムだった。
「あ 君は…」
 …気まずい。何しろ最初に遭遇して…狙わなくてはならなかった相手だ。光と音も奪って… ああ…きっと怖がられているか恨まれているか…。
「回復のためには栄養が一番です。すぐにご飯の用意をしますね」
 笑顔でキッチンへと戻るアウルム。そして数ラウンド―
「怪我の時に体が欲するのはタンパク質です。私の住んでいた国で飼育されてい特別な鶏卵と…」
 凄まじい知識量。サキュバスだよなぁ…妙に人間っぽいというか、個性的な娘だ。

「ありがとう。ええっと…アウルムさんだよな。その…あれだ。すまなかった」
 なんと言って良いかわからないが、謝らなくてはと思った。
「ふぇ? ああ… 気にしていませんよ。”闇夜の月”さん」
「そう言って貰えると助かります。怖かったと思うから…」
「え?ああ、だって貴方は…私を殺す気は無かったのでしょう?」
 微笑むアウルム。…いや…魅了されるって…。
「マスターから聞いていたのです。その晩には危険な来訪者が来ると。しかし”闇夜に月が出る如く”と話す御仁は私達をその害から救おうとされているのかもと」
 消化に良いのですよ― ととてつもなく上手そうな”おじや”をスプーンで俺の口へと運んでくる。いや… 恥ずかしいです…。
「貴方がその気だったら、私は瞬殺されていたでしょう。わざわざおまじないを仰って、更にゆ〜っくりダガーを振り上げて」
 その後も首を折ったりしないなんて― それでKから聞いた言葉が確信へと変わったのだとアウルムは言った。

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[51]召喚術士K


”ガチャ”
「おお 目が覚めたか!それは結構!」
ノックも無しに開いたドアから顔を出したのは、ルブル唯一の司祭にして災厄戦の勇者でもあるムーア師だ。
「闇夜のなんだかんだは良い文句だったぞ。君に神の加護があらんことを!」
「あら、ムーア様?今日はSALONには?」
「うむ!マリエルよ。ではこれから同伴しようか?ほんの二階から一階への同伴だがな」
 ガハハと豪快に笑いながらムーア師は去って行った。本当にものぐさ坊主だよなぁ…。
「そういえば… ムーアさんが遊びに来た後なんですよね。私たちがマスターに招集されたのって」
「ははは」
 想定通りだったとはいえ、ここまでうまくいくとはなぁ…。

 あの時、市街部でウォードとグラスと会い、吹っ切れた俺は自分のやり方を通すことにした。怪しい暗殺を野放しにしない事と、そして巻き込まれたパーティのメンバーのできる限りの保全。
 そして俺は召喚術士Kと親交があるムーア師の教会に懺悔をしに行ったんだ。神の加護で悪しき者は立ち入れず、司祭のみが秘密を知り、そして守秘義務とやらで表に出ないはずの…な? そしてムーア師の左右の銘は”臨機応変”だそうだ。
 更に俺はギルド関連の伝手を使って依頼の洗い直しをさせた。元々ギルドの裏からの話ではあったが、稀にそれさえも偽装される事があるからだ。真面目なスカウトとしては当然の事だろう?

「あ… その… 問題なければで良いんだが」
「はい?なんでしょう?」
 俺はウォードとグラス、そして暗殺者組の顛末を聞いた。あいつらもまたKやその仲間に危害を加える気が無かった。ウォードはルリカを飛ばす時も拳を作らなかったし、グラスも俺達が倒れるまで”暴風”を使わなかったのだから。
「ああ ウォードさんなら…」
 奴は新たな暗殺者が来るかもとK達の護衛を志願したと言う。それは黒服や白服がいいると聞くと…なんとそれらに加わりたいと! 今はフリーで主にリオの警護をしているという。オンス村の救い主であり、薬草園で一人になる事が多いからという理由らしい。
 そしてグラスもまた館のセキュリティに立候補したという。あいつの場合はKと一緒にいられるといったミーハーな理由な気もしたが…。
 暗殺で来たという経緯がある以上、衛兵に突き出されたりその場で抹殺されても仕方のないところを、なんと幸せな選択肢なんだろうと俺は思った。

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[52]召喚術士K


”バタッッ”
 シュルッ!突然に、そして優雅に登場したのは手品師衣装の夢魔だった。
「あ アウルムか… 頼む!匿って!」
「あ ナイトメアさん!…ああ、わかりました。どこでもどうぞ」
 ナイトメア… ああ、リストにあったな。手品を好む夢魔って事で、特記戦力ではなかったはずだ。一体何から逃げてるんだ?館の中だぞ?
”バッタ〜ン!”
「なななな ナイトメア様ぁぁぁぁ」
 続けて現れたのは…
「グっ グリーニーか!?」
 短槍の刺殺魔グリーニーは、得物を花束に変えていた。
「ナイトメア様っ 手品っ 見たい! ナイトメア様ぁぁぁ」
 ”バッ!”花びらが舞う。手品でも何でも無い。グリーニーが持っていた花束を振りまいているだけだ。そして花が尽きると、
「じゃーーーーん!!」
 翻したマントの中には無数の花束が!?
「ナイトメア様ぁぁぁ どこぉぉぉ???」
 叫びながらグリーニーは愛しのナイトメア嬢を探しに廊下へと出て行った。
「…なんで…こんな事に…ムマムマ」
 小さなアウルムにすがりつくように怯えて震えている夢魔。なんでもSALONに来た暗殺者組への対策としてグリーニーをマジックで翻弄したらしいが、逆にグリーニーに陶酔されて信仰にも近い情熱を注がれてしまったそうで…。可哀想に…。

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[53]召喚術士K


”バタッッ”
タン!突然に入り込んできたのはバーテン姿の淫魔だった。
「あ アウルムか…頼む!匿って!」
「あ スキャンティアさん!…ああ、わかりました。どこでもどうぞ」
スキャンティア… ああ、リストにあったな。バーテンをしている淫魔って事で、こちらは特記戦力だったはずだ。…ん…デジャブなんだが??
”ばった〜〜ん!”
「うううう 麗しのティア様ぁぁぁぁ」
 続けて現れたのは…
「か カルノバか!?」
 毒使いの魔術師カルナバは、手に花束を持っていて
「麗しのティア様!貴女は私の光!貴方こそ情熱の花!!」
 ”バッ!”花びらが舞う。手品でも何でも無い。カルナバの情熱のなせる技だ。いや…お前、こんなキャラだったか??
「麗しのティア様!いずこ〜〜」
 叫びながらカルナバは愛しのティア嬢を探しに廊下へと出て行った。
「…なんで…こんな事に…タンタン」
 小さなアウルムにすがりつこうとすると、先客ナイトメアがおり、ふたりでアウルムにすがる姿は…なんか可愛いかった。なんでもKに遊んで貰えなくてクサっていたところ、パートのチェルシーに勧められた酒を飲んでから記憶がないそうだ。アウルムが小声で教えてくれたのは、なんだかんだでカルナバを殴ってKOしたという衝撃の事実。そして何故かカルナバに情熱を注がれてしまったそうで…。デジャブ…。

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[54]召喚術士K


「メア… おまえは不定形になれるんだろう?別のところに隠れてくれよ」
「な… ティア。ここは僕が先客だ。後から来た君の方こそ別のところに!とにかくパニックで不定型になれないんだ…」
 言い合う二人。…どうでもいいが、音量を下げないと…。

「「あ!みーつけた♪♪」」
 情熱の塊が二つ。俺越しにティアとメアを発見していた。

「「うわあああああああああああああああああああああ」」
 そして手品師とバーテンはあの晩でも聞かなかったような悲鳴をあげて窓から飛び出ていったのである。二階なんだが…。そして追跡する情熱の塊達―

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[55]召喚術士K


 そして残る一人、拳銃使いのラーセンは、白服アッシュとの再会で思い改めてウォードやグラスのように館のセキュリティに志願したと聞いた。
「そうか… なんだかんだで死亡者なしなら良かったよ。あ…」
 急ごしらえだった暗殺者パーティ。その半分は快楽殺人者の疑いもある。手放しで無事を喜ぶのもいけないかと思ったが、それでも理不尽な仕事に巻き込まれて死ぬ事はない。もちろんターゲットとなった館の者も含めて。そして唯一の死亡者は…引率者X、即ちガザ・アルマスだ。
「? 何か気になる事でも?」
「いや ガザが何を考えていたのかと思ったんだ。殆ど接点のない相手だし、別に良いんだけどな」
 そう、考える事じゃない。ただ考えれば”何故?”が多い。何故アルマス家の人間が暗殺?K狙いのみ?一緒にいたNって奴は?etc.
「では、本人に聞くというのは如何でしょう?」
「そりゃあ、出来ればそれが良いけどな… …え?」
 だってあいつは俺がダガーで… いやその後ショハムって奴が体を乗っ取って… いやまさか??
「ええ、ショハムが体を乗っ取った際に超回復させてます。脳死に至らぬ早さでしたし、リューク君が退治た時も”鎧”のみを裁断してましたから」
「マジ…ですか?」
 そして俺はガザと再会した。

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[56]召喚術士K


「…やあ」
 別室のベッドに寝た状態で、力なく俺に微笑むガザ。いや…付き合い無いから何のコメントも出来ないんだが…。それでもなんか嬉しく思った。依頼の強制契約、無理矢理な作戦、そして乱闘…。本当に良い思い出がないのに。
「正真正銘のガザ・アルマス卿か?」
「うん。そうだよ。アルマス家の四男のね」
 自嘲気味にそういって笑う。その割には少し晴れ晴れとしたような。
「…まぁ…正直付き合いもこの前だけだし、どうでも良いんだけどな。…まぁ…生きてて良かった」
「殺しておいてかい?」
 今度は可笑しいと言った風にクスクスと笑う。こうなると年並みの少年のように思えてくる。
「いや、すまない。当然だな。殺されても。僕は兄弟の中で一番不出来でね。コンプレックスっていうのかな?そこをつけ込まれたんだ」
 一転、真面目な顔で話すガザ。
「既にマスターKには話したけどね。あの”魔鎧”は人間の負の感情を高めるんだ。戦士の家系なのにスカウトのような戦い方しか出来ない僕も、あれを纏うと戦士として戦えた。見ただろう?この館の最強戦力とも渡り合えた」
 君には通じなかったけどね。と力なく笑う。
「あれは… おまえが戦士として戦っていたら結果は違っていたさ。元のスタイルを徹底したとしても違っていた。問題はブレだな」
 よく知らない奴に適当な言葉を言っても仕方ないので、少なくとも経験者である俺からの初心者へのアドバイスに止めておいた。
「ははは。そうだね。どうも僕は”家”に拘りすぎているみたいだ。兄が凄いからね…」
 災厄戦の英雄ブリット・アルマス。アリマス家の長兄にして、今は聖王騎将の一人。そんな兄弟がいたら、まぁコンプレックスを抱かない奴はいないかもしれない。それから俺達はそういう他愛もない話をしばらくした。ガザの家の事、俺の生まれの事など…、なんでほぼ初対面の、しかもお互いを殺そうとした者同士がこんな事を話しているんだろうと、お互いに笑った。
「で… これからどうするんだ?」
俺の問いにガザはウーンと悩んだ仕草をして、
「マスターKに相談する。普通に罪人の扱いにしてくれても良いんだけど、やはり家の事も考えてしまうし…」
 そして”魔鎧”は国からの支給品であったという。そこに陰謀がある場合、正常な法が執行されるとも考えにくく、そして家を重んじるガザにとって家名を貶める事は避けたいとも思っているのだ。そして―
「君は?」
 ガザにそう返された俺は、奴のようにウーンと悩んだ仕草をして、
「俺もマスターKに相談することにしよう」
 何しろしがないスカウトなのだ。市街部に戻ってすぐに粛正される可能性もある。おまじないの文句が同じよしみで知恵を拝借しようかと考えていた。

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[57]召喚術士K


「そうですか…」
 俺の相談に気さくに乗ってくれた召喚術士K。初めて会った時よりも元気であった。
「ところで… 闇夜の月さん。お生まれは?」
「俺はずっとこの辺ですよ。でも魔族戦争の後の混乱の時代でしたからね。親の顔は知りません。戦災孤児って奴です。子供の頃は孤児院にいたと思います」
「そうですか」
 Kが優しげに笑う。そしてデスクから紙を二枚持ってきた。
「白い方が良いか、黒い方が良いか、選択肢の一つとしてお考え頂けますか?」
 そこには”白服”と”黒服”の募集要項が書かれていたんだ。
「そして… 何時までも闇夜の月さんではいけませんね?お名前をお聞きしても?」
 そういえば名乗ってなかった。名乗るタイミングがなかったんだ。
「ええ、俺の名は―」
 俺の名を聞いてKは頷き、そして自身の昔話を聞かせてくれた。

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[58]召喚術士K


=エピローグ そして始まりへ…=

「ああ〜 暗殺者達よ!失敗するとは情けない!お前達にもう一度チャンスをやろう〜」
 歌うは派手な身なりの自称・暗殺術士N。
「あら?失敗?チャンスは良いけど、どうするの?」
 艶めかしい声がNに問う。
「それがおかしいんですよね〜。死ねば強制送還で帰ってくるはずなのに…。誰も帰ってこない。だぁ〜れもですよ?」
「ふ〜ん、私には興味はないわ。あの方達の座興なのでしょう?」
 修道女の服を着ている妖艶な女性はニコリともせずに持っているロザリオは指で弄んでいく。
「まっ ぶっちゃけ私もそうなんですけどね〜。でもやるなら楽しまないと♪」
 Nはクルクル回りながら答えた。
「こちらが失敗となると、次は…あちらのターンよね?何か聞いてる?」
「ゲーム序盤は小物を送り込む〜でしたけど、本番では舞台を変えるって話ですよ。今聞いているのは…」
 Nが修道女姿の女に”ゲーム”の流れを説明する。
「まぁ…なんて手間のかかる事を!」
「まぁ〜 悠久の時間を持たれる方達ですからね〜 なんでも本気でないとな!って言ってました」
 誰かの口まねをするN。
「それにしても…Kという人間も災難よねぇ。今度癒やしてあげようかしら?」
「貴女が癒やし?ははは… はははははははははははは〜」
「あら?可笑しいことを言ったかしら?」
「いえ、すみません。貴女に癒やされるという事は、魂を喰われるって事と同義だったと思ったので♪ それって癒やし?いや災難じゃん?あ…でも魂がなくなれば、もう災難に遭わないで済むのか!ってね♪」
 Nの中の連想が繋がったとき、思わず笑ったのだと。
「まぁ、良いわ。”こちら”の魔王様からお声が掛かったら教えて頂戴」
 そう言って修道服の女は魔法陣を出して姿を消した。
「フフフ。ザヴァーは真面目さんですね〜。で・も・Kを癒やすとしたら私をおいて他にいないと思わなかったのかしらね〜?」
 クルクルっと回転すると―
 そこにはピエロの如きNの姿はなく、黒衣を纏った魔術師風の女性がいた。まだ少女のようなあどけない顔つきの女はペロッと舌なめずりをすると、
「さぁて♪ ゲーム本番ではちゃんと楽しませてあげますからね〜。パァパ♪」
 そして再びクルクルと廻ると、煙の如く姿を消したのであった。

おしまい♪
そしてウツロイシティへ…

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[59]スズキ ヒロミツ
画像サムネイル83kb


女子校生(交友OK)
綺麗になる為にお金が欲しいのでパトロンしてくれる方探してます。
動画見つけたんで貼っときます
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