十一戒

>>664

「サンセットガンダムが見たい！」

…いきなり何を言っている、と思われるでしょうね。
一般公開の期間中、夜間はライトアップが施されていたガンダムですが、ライトアップ直前の夕刻、シルエットになった姿もまた美しいと評判になったそうです。それが通称「サンセットガンダム」

ガンダムのすぐ近所には会社の事業所の一つがあるのですが、そこの同僚の話では夕刻～夜間帯の方が日中よりも混雑していたのだとか。

そんなに評判ならば一度は見てみたい、と思っていたのですが、公開期間に行ったのは一度きり(しかも台風の日)だし、その後も仕事の都合や天候の関係で先延ばしになっていました。

昨日(９月１０日)に会社の屋上に上がったら、ガンダムの両腕と頭部が既に外されている姿が見えました。
もう猶予は幾らもないと悟り、早速今日(９月１１日)の夕刻にお台場へ足を運んだのですが…

そこにあったのは、頭どころかＡパーツ(上半身)も外され、Ｂパーツ(下半身)だけがポツンと立っている姿でした。

夏休み期間中、フジテレビが主体となって「お台場合衆国」というイベントが開催されていました。フジ社屋を中心に、テントやプレハブの特設会場が周辺に複数建造された大々的なものでしたが、その一環としてガンダムも立っていました。

現在は特設会場群は全て撤去され、フジ社屋を飾り立てていたあれこれも全て剥ぎ取られ、イベントの名残は跡形もありません…ただ一つ、ガンダムを除いては。

夏の残党たるガンダムも遠からず姿を消し、お台場は完全に秋に染まる事でしょう。夕焼けを背景にしたＢパーツはそれを象徴するかのようでした。

夕空に秋の訪れを知り、
ガンダムに夏の終わりを知る。

風流とか何とかじゃなく、ただただ物寂しい…そんな光景でした。

緑深い公園の木々から、街中ではもう聞く事のないセミの声を耳にしました。

彼らは何の為に鳴くのだろう？

過ぎ行く夏と、短い生を散らした仲間達への鎮魂歌なのか。

それとも、迫り来る秋への抵抗の叫びなのか。