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「ロケットガール・玲」、救出編その後というか蛇足です。結局お正月休みにもコメントのお返事書けないままSS書いたりしててマジごめんなさい、なのです。 --- 「ロケットガール・玲(蛇足編)」 (ねえ優。……しようよ) 玲(あきら)はレギュレーターをはずし、そう心でつぶやきながら、優の耳たぶを甘噛みする。きゅりりりりぃっ。敏感な箇所を刺激されて、思わずイルカめいた甲高い声で啼いてしまう。 ヘルメットは割れたバイザーを上げたままで、レギュをくわえるには丁度良かったと言えるけれど、それが裏目に出たと言うべきか。優はエアタンクと玲の腰とを抱え、浮上速度に気を遣いつつドルフィンキックしていたのを、いきなりそんなことをされて脚は止まり、BC(浮力調整ベスト)すら着けてないがために、2メートルほど、がくんと沈んでしまう。 (何言ってんの? さっきまで君は溺れそうに、いや、溺れてたんだよ?) (だ・か・ら! 「しようよ」って言ってるんじゃない) レギュレーターをくわえ直し、ごぼごぼ、ブーイングめいて大きく気泡を吐き出す玲。立ち泳ぎのように深度を保つだけのキックを続けながら、優は天を(この場合は水面を)仰ぎ、深く息を(水を)吐く。あんなしんどい目にあって、どこをどうしたらそういう発言になるんだろうか。海を住処とする彼にとって、彼女が水に焦がれる気持ちは解らなくもないが、アクアフィリアの恋人ってのは度し難い。 (玲が発情してるのは分かってたよ。だけど) 海の生きものは〈匂い〉に敏感だと、シャチの〈スカーフェイス〉の一件(※)で言ったとおり、嗅覚を直撃するフェロモンならぬ雌の匂い。それだけでなく、極薄の(2ミリ厚だという)真っ白な生地で仕立てたスキンタイトスーツに包まれた、スレンダーな(高校生並みに発育不足な)身体から発する妙な色っぽさ。 水中で暮らす種族として基本的に服を着る習慣はなく、ゆえに服飾文化にも疎い優ではあったが、テンションと艶とを持ったスーツにぴっちりと覆われ包まれた玲の肉体、その描くタイトな曲線とスーツに詰め込まれた量感が、なんだかいつもより色っぽ、いや、はっきり言ってエロいことを、感覚と本能とで思い知っていた。視覚のみならず、3Dスキャナ並みの精度を誇る反響定位(エコロケーション)を持つ若い雄人魚である彼が、あれこれ我慢して必死に(素数とか数えながら)キックしていたことを知ってのうえで甘噛みなんかしたのなら、たちが悪いとしか言い様がない。 (なんか、ヤな予感がするんだよね) (何それ? 優のバカ! おさかな! カタブツ人魚!) 意味不明な罵倒とともに、グローブをはめた手で優の両頬をむにゅ〜っとやる玲。 (それにさ、上じゃみんなして君を助けようとしてるんだから、無事ならさっさと上がったほうがいいんじゃないかな?) 懸命な説得も正論も、ハリセンボンみたいに頬をふくらませて不機嫌になった玲には通用しない。 ……ああ、もう。 この状況で一定深度を保ち、玲が減圧症にかからないように注意しながら(しかも速攻で!)愛を営むなど、海の住人にとっても難事業きわまりない。けれど、この不条理で一途で訳がわからない、それでいてこのうえなく愛おしい陸人の娘に、優は逆らえた試しがなかった。 そして。 予知能力と言うのでもなかろうが、優の「イヤな予感」は当たってしまったようで。着水の衝撃と水没の試練を経て奇跡的に動作を続けていたバイタルモニタとGPSに、玲の発情と行為は、しっかり記録されていたという。それを知った彼女がどんな顔をしたのか、海中でいったい〈誰〉と〈そんなこと〉をしていたのかSSA(勤務先)にバレたあげく、優の身柄がどうなったのかは―― ここでは語るまい。 (おしまい) ※ 「スカーフェイスの件」は渦潮さんのイラスト http://uzusio04.h.fc2.com/mixnuts_adultclub/mermaid/diver_mermaid_lskindiver_orca_titiyasusan.htm を参照。 ※※ 「耳をハミハミ」の元ネタはこちらのSSです。 http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3504035 「宇宙編」はスピンオフというかパラレル設定扱いかなと思ってるので、こちらの世界線での出来事としてリライトしました。イラストに合わせてのシチュを書くのに時間がかかりまくり、なんだかんだで10ヶ月近くも公開延期させちまったのは全部オレのせいです。渦潮さま、kitさま、そしてご覧の皆様。カナブンよりもゴメンナサイ! *2015年1月(書きおろし)
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