ジャズの聴き語り

だがブラウニーの運命を決する出会いはマックスローチというドラマー。
トランペッターにとってドラマーが生命戦とはマイルス・デイビスの言。
良ドラマーを得たブラウニーは以後ジャズ史を華やかに彩るアルバムを次々に発表していく。

『インコンポレート』
『スタディ』
『Ｑ＆Ｍ』
『ベイズンストリート』
『インコンサート』

これほど１つのコンポが意思統一され、和気と創造力に富んだ例もないだろう。
マイルスのように斜に構えたところは一切ない。
未経験な青年が持って生まれた天性だけで音を紡ぎ出し、しかもその音一つ一つが必然的である。

私が最も愛聴しているのは『ビギニングアンドエンド』。
このライブ盤を吹き終えた数時間後に神に妬まれたブラウニーは天に召還されるのである。