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=11.実験体= 「ほぉ、なるほどなるほど。これは上々です」 消沈するリオ達を眺め、黒衣の男が嬉しそうな声を上げる。 「僕の可愛い魔物達が、主人たる僕の匂いを辿ってここまで来たと言うわけですね。ねぇリオ?スキャンティア?そして…餌と誤解した一人はルリカでしたか。…残りは…村人の生き残りと」 嬉しそうに笑いながら一歩ずつ階段を降りるK 「笑えませんね… その冗談」 神速とも言える速さでルリカがKに迫る! ”ガキィィィ!” 「ルリカ!」 Kの首に手がかかる寸前で見えない壁に阻まれ、跳ね返されたルリカをティアがキャッチする。 「契約魔物と違って、人間は向かってくるんだ。油断するな」 Kの傍らには血の気のない男が立っている。 「お前は…エルゼ!」 ルリカが吐き捨てた。 「そう”死霊術士(ネクロマンサー)のエルゼ。僕と同じ一二聖王騎将の一人。僕は魔物の、彼は死人の担当をしています。偉大なる実験のためにね」 「カムアよ。どうするのだ?計画が佳境に入ろうとしている時に面倒事はごめんなのだがな」 手配書で見たままの姿のエルゼがKを窘める。 「”ネクロマンサー”のエルゼさん。あの”メスガキ”は元気ですかね?わたし今度合ったら泣かすって決めてたんですがねー」 二人の会話にルリカが割って入る。いつもは止めに入るティアは唇を噛みしめてKを凝視したままだった。 「どの死人の事を言っているかは知らんが、おまえ達の決め事など私には関係ない。カムアよ。戦闘に耐えそうなのが3人なら丁度良い。出来上がった実験体の実践演習に使おう」 「僕の可愛い魔物を“アレ”の餌食にすると?」 「かまわんだろう?魔物など、また召喚すれば良いではないか」 「フフフ… 偉大な実験には犠牲がつきもの…ですか 仕方ありませんね。リオ?スキャンティア?そしてルリカ!君達には実験に付き合って貰います。そうですねぇ…。生き残ったら、可愛がってあげますから、せいぜい頑張りなさい」 耳を覆いたくなるKの言葉。リオとティアの意識がその拒絶に傾いていた時、鋭い声が走った。 「飛んで!ティア!リオ!」 唯一Kとエルゼを注視していたルリカの一声がなかったら、その一瞬で終わっていたかも知れない。 ”ドガガガガ!!” Kの放った”大火球”の呪文が3人の間で炸裂した!それぞれが飛び退き、パッシブで展開していた魔法障壁で難を逃れたが、火球でホールの床が抜け自然落下に任せる事となった。 「さて、僕は三階の召喚部屋で待ちましょう。何人たどり着けるでしょうかね?」 「なんだかんだと楽しんでいませんか?”私”は…、君と君の主の実験が上手くいきさえすればいいんですからね。済んだら呼んで下さい」 一人称と口調が変わったエルゼはそう言うと煙のように消えた。 「ふん… おまえ如きに僕や主の何が分かるというのだ。…まぁ良い。利用しているのはこちらも同じだ。より質の高い素材を主に送れるならな」 そう吐き捨てるように言うと、Kは黒衣を翻した。
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