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=18.見えないものにこそ= ”キィィィィィィィィィィィィン!!!” 間一髪、リオが張った”聖結界”がブラック・ウイングのランスの一撃を弾いた。 「ほう、足掻くか。我がランスを止めたのは見事である。だが、いつまで持つかな?」 ”ガッ!ガガッ!ガガッ!!” ランスの連続攻撃!しかしリオの聖結界は、通常のランスであれば完全に防ぎきる事が出来る。更には正面からの単調な突きの繰り返し。リオは隙を見て攻撃に転じる事にした。 「残念だけど、君の攻撃は効かないよ。諦めてくれないかなぁ?」 あえて余裕を見せる。これで諦める事はないにしても、次の一手に繋がればと。 「諦める?最強の騎士である我が輩が?…そうか主へ捧げる生け贄の少女は、この攻撃ではご不満だというのだな?ではご希望通り、我輩の真骨頂!”絶望”と”恐怖”の世界へと案内しよう」 ブラック・ウイングが両手を大きく挙げると、マントが翻った。いや、マントではない。それは漆黒の蝙蝠の羽だった。ヘルムより伸びている禍々しい角と合わせると、その姿は高潔な騎士というより“恐怖”を振りまく悪魔のように見える。 =その姿を見た瞬間に、光は失われた= 完全な暗闇がリオを、ケリーを覆っていた。 ”ガッ! ガッ! ガガ! ガッ!” 同時に全方位から衝撃音が響き渡る!どうやっているのかわからないが、先程のランスと同程度の攻撃を、ほぼ同時に全方位から浴びせられているらしい。結界のダメージも杖を通してある程度はわかるにしても視認出来ない状況。もし少しでも結界が破られる箇所があったら?それは即座に自身かケリーの死に繋がるのだ。 「うっ はぁ… はぁ… あっ ううっ」 衝撃音が聞こえる度に、心臓の鼓動が早くなる。それはケリーも同じらしく、その小さな手が震えながらリオの服をギュッと掴んでいる。 「さぁ! サァ! SAA! さあさぁ!」 今度はブラック・ウイングの声が全方位から聞こえてくる。 (だめ… これ以上は…) リオにはこの状況を打破する攻撃手段がなかった。いや…あったにしても思考できなくなっていた。 「さぁて!チェックメイトといこうかね!」 ブラック・ウイングの大声がホールに反響した! 「マスター!!」 リオの悲鳴があがった。その時だった。 「どーーーーーーーん なのー!!」 「ぐわああっ」 その場にそぐわないかけ声が響くと、鈍い音に続いてブラック・ウイングの悲鳴が上がった。光がリオとケリーに戻る。 「あ… 君は… リアルス!」 「なのー」 赤い目そして赤髪のサイドポニテの少女がそこにいた。服装はと言えば…これもこの場にはそぐわないであろうワンピース。最近厳しい修行の末に上級クラスのマッサージを会得したリアルスだった。 「間に合って良かったのー 早速だけどリオさんは、さっさと上の階に進むのー」 リアルスはリオの腕を取ると、グイグイ引っ張って扉の方へ歩いて行く。 「いや… あの… リアルスはどうやってここに来たの?それにボク…えっとマスターが…」 突然の出来事に思考が追いつかないリオ。 「あ そうか!リアルスはマスターの送還術で来たんでしょう?やっぱりあいつは偽物で…」 「ん?違うのー リアは”あの人”の送還術で来たのー 一日10人までなのー」 「え 違うの? じゃあ…マナさん?」 「それは会ってみてのお楽しみなのー そして避けるのー」 ”ドガッ!” リアルスがリオとケリーを掴んで飛んだ。彼女たちがいたところに数本のランスが突き刺さった。 「不意打ちとは卑怯な… 成敗してくれるわ!!」 そこには、首と腕をにょろ〜と伸ばし、それをブンブンと振って憤るブラック・ウイングがいた。 (ああ これが全方位からの攻撃の真相か…) 分かってしまえば、とてもシンプルであった。 「ここはリアにお任せなのー ゆっくり10数えているうちに終わるのー そして追いつくのー だからリオさんは早く行くのー」 リオとケリーをぼぉ〜んと放る。 「うわあ〜」 二人は扉の前に落下。尻餅をつく。 「リオさん? 目に見えるものだけが全てじゃないのー 見えないものにこそ真実があるって… どこかの偉い人が言っていた気がするのー」 「気がするんだ… うん!ありがとう!リア!ボク…行くね!」 「はいなのー♪」 =そしてこれはリオが扉を開けて進み、約束通り10数えるまでの話= 「では行くのー」 リアルスが陸上選手のようにヨーイ!ドン!をスタンバる!(1〜) 「バカめ!我が”絶望の空間”で朽ちるがいいわ!」 ブラック・ウイングが再び闇を作り出す!(2〜) 「「「「「「「「「わっっ!」」」」」」」」 「なのー」 リアルスのハウリング!(咆哮)魔力が籠もったそれは、このホール内の全てのものに衝撃波となって襲いかかった!!(3〜) 「ぎりゃいえりうえっっっ」 ブラック・ウイングの鼓膜が破れ…いや体のあちこちから出血をしていた。暗闇の中で蝙蝠のように音の反射と魔力反応で相手の位置を掴んでいたブラック・ウイングは、そのセンサーの全てを失った。(4〜) 「そこなのー」 悲鳴で位置を特定したリアルスの手刀がブラック・ウイングの腹部を貫いた!(5〜) 「がっ ぐわああ…」 思わず闇の結界を解いてしまったブラック・ウイング!(6〜) 「おのれぇぇ!!」 その長い腕を鞭のようにしならせてリアルスを打とうと…(7〜) 「な… いない?? どこだぁ??」 リアルスを見失う…。(8〜) 「ここなのー でっ ちょんぎるの〜♪」 リアルスは上にいた!ブラック・ウイングの頭部を倒立の状態で掴むと… =ちょんぎった!=(9〜) 「多分1カウント余ったの〜」(10〜) 余った10カウント目でクルッと廻ると、リオの後を追いかけていった。
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