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=28. レイエン家= 「僕の本名はケリィ・レイエンと言います。」 幸いケリィにダメージはほぼ無く、偽K=エリファスに支えられて立ち上がると、リオ達に向かい頭を下げた。 「レイエンって何処かで聞いたような…」 「まさか あのレイエン家か!」 諸国を渡り歩いてきたアイシャと、人間社会に溶け込んで生活をしてきたティアにはピンとくる家名と同じ姓である。たまたま?いや、エルファスの実力とケリィの見事な擬態を考えたら、その家筋の者達である事は明白だった。 「レイエン家… 四大公(マグナート)のひとつ。魔導公と呼ばれる建国からの名家ですね?」 「その名家の人がマスターに何の恨みがあるんでしょうかねー?」 リュネットが家名を確認したのは、知識の披露ではなかった。Kが乗り込んだ先が魔導公として名高い名門のレイエン家となると、事は一刻を争うのだ。 「僕の私怨だ…」 エルファスが力なく話す。 「あの”災厄の魔王討伐戦”において、初期の強襲を防ぎ、多大な犠牲を出しながらも領民を国家を守ったのは紛れもない四大公達だった。聖騎公・精霊公・銀竜公、そして我が主の魔導公。なのにだ… 戦後喝采を浴び、国王の覚えが良かったのは一二聖王騎将などとふざけた称号を得た者達だった…」 エルファスが拳を握りしめる。 「七賢者と呼ばれる”8人”だって、諸侯の子息や親衛隊の一兵士に過ぎない。個人芸で目立ったに過ぎないくせに…。今では王都で厚遇されている…。特にお前らのマスターやエルゼ、魔竜使いの女や人形を使う錬金術士など… 戦後何をした?野に下ったり好きな研究だけしたり… 挙げ句の果てには淫魔のサロンだと?戦後の民への救済だって、やっていたのは四大公なんだぞ…」 「ご高説はごもっともですがねー、その四大公の縁者のあなたが、領民に魔物をけしかけたのはどう言い訳するんですかね?」 「そうだよ…しかも実験体だなんて…。貴方の主が貴方の言うとおりの人だったら… 逆に悲しむんじゃないの? ケリィのように…」 ルリカの当たり前の指摘、そしてリオの言葉にエルファスは反論しようとしたが、ケリィの悲しい眼差しを見て、一旦言葉を止めた。 「わかっている。でも、止まれないんだ…。主に目的を遂げさせて差し上げるためには…」 「ああ もうそれ以上話さないで良いですよ。エルファス」 声を絞り出しているエルファスを制したのは、リオ達ではなかった。 「やっとお出ましですか? エルゼ…っぽい人!」 振り向きざまにナイフを投げるルリカ。そのナイフをわざと体で受け、それをポケットから出したハンカチでくるんでから引き抜いて見せたのは、礼服のような黒衣の男だった。
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