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=43.リジルの実験= 「そして本日、同じ場所に魔物の軍団による襲撃がありました。引率者は召喚術士K…僕という事になっています。」 「まさか!カムア殿ではないな。…そうかエルファスか…」 「エルファス殿とは?」 「弟リジル付きの”大魔導”(魔道士の魔法能力と戦士の素養を併せ持つレイエン家の精鋭の呼称)だ。真面目な奴でな。災厄戦時に我が父を守れなかった事をずっと悔いていた。先程の話の調査隊長に志願し、その後の治安維持にも奔走していると聞いていたのだが…」 立ち上がり謁見用の椅子越しに絵画を見上げる。そこには”レイエン家の系譜上で最強“と言われた”レーヴァの祖父の肖像画が飾られていた。 「あいつは戦後に台頭した者達を快く思っていなかったようでな。だからと言って"襲撃犯”に仕立てるといった短絡的な事をするとも思えないのだが…。しかしあいつの目を盗んで襲撃行為は出来ないだろうし、あったのであれば私に報告がないはずもない」 すなわちエルファスの犯行であるという解であった。 「現在、僕の"子"達が現地に行っているようなので、そこはわかり次第、必要な対応をして頂ければと思います。そしてここからが”今、解決しなければならない”案件となります」 ここまでは公式に対応出来る話であった。Kがリュネットにも行き先を言わず、そして非公式で訪問を強行した理由はこの案件にこそあったのだ。 「ああ そうだな。」 Kに向き直り歩み寄るレーヴァ。 「カムア殿。その案件とはリジルの事。弟の"実験”の事であろう?」 「はい…」 一度視線を落とし、そして顔を上げた時、レーヴァの顔はある決意に満ちていた。 「すまぬな。カムア殿。何も言わずに私と仕合ってくれ!」 ゆっくりと抜剣するレーヴァ。Kの前で試合用の構えを取った。 「レーヴァ様は弟想い…いや貴方は家族を領民を想う素晴らしい領主です。僕はそんな貴方が好きですよ。申し訳ありませんが、僕は仕合えません。リジル様に会わないとなりませんので…」 剣を構えるレーヴァの横を通り抜けるK。 「カムア殿!」 レーヴァの剣がカムアに向かう!それは魔術師に対する不意打ちではなかった。Kが”前衛”として体術も使える事を知っての開戦の一撃。 ”ガシッ!” その一撃を受け止めたのはKではなかった。レーヴァがその一撃を大きな構えから繰り出す一瞬に間合いを詰めた”白い服”の男が持っていた銃剣でそれを受けたのだ。 「彼が貴方の相手を務めます…」 振り返らずに言い放ち、そのまま領主の間の奥へと進むK。それを追おうとするレーヴァを対峙した男が押し返して阻止する。 「邪魔をするか… カムア殿の部下よ」 「すみませんね。何があっても"守る”って決めてまして…」 銃剣を構え直す”白服”は”決闘用の構え”をすると、レーヴァを真っ直ぐに見据えた。 「アッシュと言います。いざ尋常に!」 「…良い目だな。"守る”か… 良いだろう!お前を倒してからカムア殿を追うとしよう!」 改めてレーヴァも構える。未だ謎が多い"白服“アッシュと”四大公”魔導公”現当主レーヴァの一戦の幕が切って落とされたのだった。
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