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㊿アウルムの妙案 「で!出発は何時だ?準備があるからさ」パーティ結成直後、大事な質問をしたのはティアである。 「それが… 先程ガリルさんからの伝達によると、マスニーは既にウツロイシティに現着したそうです」 「え?早くないか?結構な距離だし険しい地形だぞ?」驚く面々。代表質問者はティアだ。 「あの人の事ですからねー」この一言で何故か全員が納得する。 「今ある選択肢ですが、@密偵局御用達の長距離移動術で行く Aマナお姉様の送還術でいく Bラプルスさんの何かしらの発明品で行く が時短出来るかもしれない手段ですかね。あとは高速馬車を何台も乗り継いで… これだと何日かかるか…」 「は〜い、Aですけどね〜。残念ながら私はここより西側には行った事がないので、送ってあげられません〜。ごめんなさいね」万能そうな転送術だが、転送先にポートの設定が無い場合、様々な危険が伴うのである。 「いえいえ、マナお姉様。お気持ちだけでもありがたいです!そもそも勝手に当てにしてすみません…」早速選択肢が一つ減った。 「ああ、僕の方なら良い実験機がある。これなら超超高高度から一気に落ちる事で…」嬉々として画期的な発明品の説明に入るラプルス。 「却下ですー」超超高高度ってなんですかーっ…と突っ込みたいのを我慢しつつ、すみませんがと謝るルリカ。選択肢がまた一つ減った。 「まぁ…密偵局のアレも似たようなものですがね… でも!実績がありますから!」 「アレだよね?前にサナって子が来た時にルリカが舞い戻ってきたやつ… あれはルリカ以外はムリだと思うよ」大型弾丸のようなシャトルに入り、大型ボウガンで長距離を飛ぶそれはルリカ砲と呼ばれている。ちなみに密偵局でも実績を持っているのは現在に至るまでルリカだけである。 「詰んだじゃん!」リオの久々のツッコミは絶望的な結論だった。 ”ガシッ”ルリカを羽交い締めにするティア。 「さぁ捻り出すんだ!ルリカ!お前なら何か思いつく!」 「いや… 流石にそれはぁ… タン? なななな」何をするの?むにゅん♪とルリカは雨に打たれて佇む子犬のような視線でティアを見つめた。 「おまえは出来る子だろ?」優しい眼差しで返すティア。一見すると微笑ましい構図。しかし… 「目… 目が本気ですよー」ルリカ絶体絶命! 「あの… 私で良かったら妙案があるのですが」救いの主はアウルムである。 「ああ、アウルムさーん。怖かったぁーー」 ”スリスリ〜 ガッ!” どさくさ紛れにアウルムの胸に飛び込んだルリカは、二擦り程でティアによって引き離される。 「妙案って、どんなです?」妙案の妙というところに不安を感じたリオがアウルムに尋ねた。 「私も転送ポータルをいくつか所有しているのですが、その一つにリフォール王国があるのです」 「ああ、アウルムさんの実家があるんだよね」 「ええ、まず私の実家に来て頂いて…」 「でも、リフォールからだと… やはり時間がかかりますよ?国境もありますし」 「はい。ここからは私ではなく、グンナムお父さんに頼む事になるのですが」 リフォールよりその隣国、即ちパルナと隣接する国の国境近くにあるポートまで移動できる。すると− 「国境を越えて…ウツロイシティまでの距離はありますが、直線で行けますし地形も平野部です!これなら一日あれば!」ふむふむとルリカが分析する。希望が見えた。 「みなさん、カムアをよろしくお願い致します」深く頭を下げ、一人一人の手を握って感謝をするマナ。 「館の方は元々の警備システムがしっかりしてるからな。加えて僕がいるんだ。安心して行っておいで。カムアの事、よろしく頼むよ」重度のシスコンであるラプルスは、妹の子であるカムアの事も溺愛していた。救援にも自ら行こうとしたのだが、とにかく目立つ。それはKのためにならないからとマナに諭されて館へ残る事になったのだった。 「ええ、出立は明朝!バナナはおやつにはいりません!」腕を突き上げてルリカが宣言した。こうして救援パーティは無事に出発する事になったのだ。
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