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=60.絶体絶命 「なるほど、今のわたしになら少しはわかるな」 自らの術式を弾き飛ばし、四肢を貫いた銃と剣を前にヘルダンの声は穏やかだった。 「あの時”災厄”様が人間との決着にご執心されたわけがな。小賢しいだけの存在と思ったが、成る程…”面白い!”」 突如ヘルダンの体から魔素が突風のように吹き出した。それは先程の凶華片の比ではない。恐らく最大量に近い攻撃的放出!? 「ぐっ こいつ…いきなり何を!?」 「防御を!」 どんな動きを取っても対応する気でいたアッシュとレーヴァにして虚を突かれた。レーヴァの一声でKとリジルが防御魔法を展開するが、腐蝕を纏った暴風は研究室内を吹き荒れていた。 「何を?簡単な事だ。”お前達を倒したい!”我が身を裂いた怨みなど今は忘れよう。ただお前達を倒し、この力で魔界へと戻る。そして災厄様のなさろうとした仕事をわたしが完遂するのだ。それだけで良い…いや!それが良いのだ!!」 ”バキキキキィィィ!” 強化したムハヴゥが暴れても大丈夫なように強化されていた研究室の壁が腐蝕していく! 「なんてパワー… こんなの浴びたら一瞬で…」 「ぬわわわわわっ ますにゃーの防御は大丈夫ですかねー?」 Kの背後に隠れたリオとルリカが肩越しに周囲を見渡しながら目を泳がせていた。レーヴァはケリィを抱えてリジルの射程内へと滑り込み、月華陣を防御展開したリジルが狂風を何とか凌いでいる。 「すみません。撃ち込む前にやられちまいました…」 咄嗟に足下に魔弾を放ち、その反動でKの射程内まで撤退したアッシュが詫びる。 「それにしても… この暴風はいつまで…」 召喚術を身につけ簡易転移を可能にしたリュネットもKの背後へと転移して、Kの防御に魔力を上乗せしていた。 「おそらくは…」 研究室の損害に合わせて防御陣を展開させながらKが静かに話す。 「ほぼ無尽蔵に…ですかね。リオとリュネットにはわかりますかね?壊れた壁の外側が」 リオが暴風に怯えながら観察をすると、それは”黒い壁”のようであった。 「なんですか?あれ…」 「結界のようなものです。あれが”魔界”へと繋がっている場合、彼は体内に宿したエナジーを回復出来ますので…」 Kが”ルーム”と呼んでいる結界がある。上級魔族クラス以上が大体持っているこの能力は、文字通り自室のような空間を作り出す能力であり、人間の自宅のような使い方をされるのが一般的だ。争いが多い魔界において、肉体と魂を休ませる空間であるのだが、魔王レベルになるとそれは一つの都市程の広さを持ち、特性を100%引き出すなどの恩恵を享受出来るのだ。勿論エナジーの回復もある。故に― 「それって…」 「絶体絶命ってやつですねー …一緒に川を渡りましょうー」 涙目とヤンデレ目が背後からKを見つめる。 「それでも、奴を倒す算段は”あるんでしょう?”」 落ち着いた口調で話すKに勝算があると感じたアッシュが問うと、 「ええ、”このメンツ”ならほぼ間違えなく」 やっと聞いてくれた!といった表情でKは不敵に微笑んだ。
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