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=5.ケリー= 「そういえば、君の名前は?」 "暗がりの森”の中、共に歩く少年に微笑みながら問う。 「ケリー…」 「そっか。ケリーだね。ボクはリオ。宜しくね」 (女の子みたいな名前だな)恥ずかしがっている少年に微笑みながら、歩みを進める。 「ケリーの村は…こっちか」 森を抜けるまではルブルへの道と一緒なのは幸いだった。何しろ迷いやすい森なのだ。"暗がりの森”が魔性と言われる由縁かもしれない。 ”ガサガサ!” 突然、多数の気配が生じた。 「誰?」 ゲイザリオンを構えてリオが鋭く問う。 『ケケケ いたぜ 賭けは俺の勝ちだな』 『ちぇっ 腸を逃したか』 『いや、もう一人いる… おれそっちがいい…』 現れたのは、盗賊団風… 死臭漂う”死人”の兵士だった。 (!! ボク…こういうの苦手なんだよぉ…)死臭に鼻を押さえるリオ。しかも数が多い。(8人? 部隊で行動しているというの?)危険とはいえ、村への偵察だけだと思っていた自分の甘さを後悔した。敵は追っ手を出していたのか? 「舐めないでよね!ボクだって!」 ゲイザリオンを使って、”聖結界”を張る。既に聖石を充填しているため、敵が不死者であればその効力は絶大である。 「聖石・流水破!」 そして全方位に水系の魔法を放出する。聖石の力を宿した水は、聖水のごとく不死者の兵士を薙ぎ払った! 『ぐげぇ』 『なんだ!?こいつ…神官なのか!?』 『きょ 距離を取れ!いずれにしても術士の類いだ。射貫けば良い!』 ゾンビなどのアンデッドと違い、ほんの少しの理性と、割と多めに知性を残しているのが”不死者”のいやらしいところである。すぐさま距離を取り、弓に装備を切り替えると続けざまにリオ達を射撃してきた。 「う… あ アサルトモード!」 ゲイザリオンを銃形態に変形させて応戦するリオ。しかし、歴戦の兵士達は木に隠れ、リオの死角から射撃してくる。 ”ガキッ” 矢にかなり強い魔力が付与されているのか、普通なら貫けない聖結界に矢が突き刺さっていく。このまま撃ち込まれたら、結界が維持できなくなってしまう。 (どうすれば… どうすれば…) 兵士達が距離を詰めてくる。死角から矢だけでなく剣も使って結界を崩しにかかられる。 (壊れた瞬間に、移動魔法で館に戻るしか… でも一緒は無理だから、まずはこの子を…) リオの決意とほぼ同時だった。 ”ドゴォ!” 分厚い重低音が轟いた。リオの目の前の兵士が1人飛ばされた。 『げぇっ』 そのヒキガエルを轢いたような…という形容がぴったりな声は、頭蓋骨が陥没したために起こったものであると直ちにリオ達は理解した。美しく長い脚が目の前にニュッと伸びていたからである。 「この私が来たからには、もう安心ですよ!リオちゃん!」 「私達だろう?アイシャ。俺の打撃の方が速かったんだからな?」 SALONのキャストにして、踊りと料理の達人アイシャと、その親衛隊長…いや有望な武闘家レアニウスだった。 「ありがとう。アイシャさん。でも…何故ここに?」 「同伴出勤です!」 ビシッとポーズを決めるアイシャ。 (いや、アイシャさんは館住みでは?同伴って…) 目をぱちくりしているリオの考えを察したのか、すぐさま補足が続く 。 「アフター&同伴です!!」 (ああ、なるほど 一泊してきたと…) ”ガシッ””ドゴォ””バキッ!” そのやり取りの合間にも、攻め寄せてくる不死者の兵士をレアニウスが流水のような華麗な動きで仕留めている。 「関節を砕いてからの、頭部破壊が基本だ」 たまに振り返りレクチャーをするレアニウス。彼にとっては"模範武闘”のようなものなのかもしれない。 「フッ 淫聖衣(エロス)を纏うまでもないようね。」 敵の残りが2名になった時、アイシャが飛んだ。いや”舞った” 「炎舞 紅鞭犀崩!」 アイシャが炎の帯を纏い、それが紅の軌跡を描く。兵士の攻撃を華麗にくぐり抜けた時、同時に兵士の合間を抜けた帯が兵士に巻き付くと、延焼し且つ裁断された! 「放っておくと匂いますからね。火葬が一番です!」 ビシッと決めるアイシャ。 「いや、火事になるからな。アイシャ」 「うわあ 水!水!」 燃えている兵士の遺体に土をかけて火を消そうとするレアニウス。水魔法で延焼を阻止するリオ。 「ところで、リオちゃん。その子は?」 不死者の兵士を撃退し、火も落ち着いたところでアイシャが問うた。 「ああ、実は…」 経緯を話すリオ。 「そうだったの。行ってあげたいのだけど…」 アイシャが天を仰ぐ。 「ああ、大丈夫。慎重に行くから。魔法で気配も消すし…」 突然の複数の敵に慌てて対応を間違えた。初めから敵がいる体でいれば…。自らも強大な敵を持つリオは、いつもなら対処できる相手のはずだった。 「いや、リオさん。そういう意味じゃないよ。アイシャも誤解されるような言い方をするからな。俺もそうだけど、行きたくないわけではないんだ。行く必要がないんだよ。ほら」 レアニウスがリオの背後の木を指さす。するとそこから…。 「どうせなら、そのまま黙っていて欲しかったですよー」 「それに関しては同意だな」 頭上からルリカが、木陰からティアが姿を現した。
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