コピー
=69.制約より重いもの 「マスター!」 「ますにぃ…にゃはは♪」 魔素酔いで頬を紅潮させたリオとルリカが見上げた先には、”飛行”(フライト)で急降下してくるKの姿があった。 「ああ、案の定…でしたね。少し待って下さい?」 Kが素早く衣を脱いで放ると、”常闇の衣”は大きく膨れ上がってリオ達を包んだ。外を覗ける程度の隙間を残して球体化する。 「これで酔いも軽減するでしょう。心配はいらないので、ゆっくりお休みなさい」 「あのマスター、ここは? それに…そう!ヘルダン!ヘルダンがいるんだから、ボクだって…うう目が回るぅ…」 「リオリオ〜♪ テントと言えば遭難ごっこですよー♪」 「ルリカ…人間がこの魔素を吸ったら意識がないと思うんですが…」 魔素に酔ってリオに抱きついているルリカを見て苦笑するK。 (ルリカの里は色々あったようですから…)人であっても魔物のように”酔う”要素がルリカの体にはあるのだろうと推察する。 「マスターだって人間じゃん!衣を脱いだら…」 ああ、それなら― ”チェンジング・リング”を装着するK、一瞬でその姿が少年となった。 「大丈夫ですよ。リオ。この姿は衣を脱いでもこの地に適応するためです。前にも見ているでしょう?ヘルダンと最後の…話し合いをしますので、安心して…」 穏やかに告げて落ち着くようにとリオの頭を撫でる。 「マスターは…なんだかんだ死なないから…」 頭に置かれた手をギュッと掴む。その手はいつもより少し小ぶりで…、そう自分と同じくらいの年齢の男の子の手だ。Kのこの姿は、曾祖母マナの神族の血の特性を強化したものである。この地で生きなくてはならなかった子供時代の姿。その姿をKは同窓会に行く前にリオに見つかっていたのだ。 「信じて良いんだよね?」 「ええ、信じて… ルリカと仲良く寝てて下さいね」 ”ちゅ”リオの頬にキスをして、Kは姿勢を正してヘルダンへと向き合った。 「おまたせしました。さて…多分聞きたい事があると思いますが、聞きます?」 「ありすぎだな。そして拍子も抜ける。お前を抹殺してからのわたしの計画が滑稽にも思えてくる展開だ」 大きく息を吸いながらため息のように吐き出すヘルダン。しかし目に宿った殺気が衰える事はなかった。しかし目の前の術士の即座の抹殺よりも、脱出不可能な自分の領域からの全員を転送という非常識な手の内を明かすというなら、知っておいて損はない。 それに八大魔王の中でも最古参であり、深淵の魔神へと最も近しい存在と言われる虚無の大魔王の国土へ来たのであれば、これもまた情報があった方が良いのも事実であった。 「空間転移をアンチ化していたわたしの空間からどうやってここに来た?それも自分達だけで逃げれば良いものを何故わたしも連れてきたのだ?」 「僕の転移術ではありません。行使されたのは、貴方の空間のルールよりも重いもの、我々の根源のルールです」 「…!? まさか…」 「ええ、僕との契約に重大な違反があったために、貴方が罰(ペナルティ)を受けたんですよ」 驚愕するヘルダンに告げられたのは、あろう事かKとの契約についてだった。
スレッドに戻る
エンタメ情報 @ 神楽
掲示板カテゴリ検索
写メ/待ち受け
動画/ムービー
音楽/エンタメ
雑談/その他
趣味/スポーツ
無料レンタル動画まとめ
e-Movie
無料レンタルBBS
ebbs.jp