コピー
=70.契約術 契約術― 人間と悪魔の契約がイメージされるかもしれない。しかし術の事象の大小や内容に関わらず、全ての術式は契約によって成り立っているとも言える。例えば小さな”炎の矢”であっても、精霊魔法ならサラマンダーの力を借りているし、ルーン魔法であっても神の理(ことわり)の範囲で事象化されているのだ。大いなる軌跡である”神への願い(WISH)”も契約の一種と言えるだろう。 即ちヘルダンが自らに有利に設定した”ルーム”の制約術より、原理原則に則った契約術の方が強いのである。 「馬鹿な事を!仮に強制契約だとして、どうやって?それにいつ施行出来た??魔王化したわたしに契約を強制的に刻めるとでも言うのか???」 ヘルダンが慌てるのも無理は無かった。Kの言う事が本当で”契約”に縛られているとしたら、飛ばされる事などは生易しい。契約の程度にもよるが、最悪な罰則(ペナルティ)が発動した場合、魂も含めてのロストの可能性もあるからだ。 「魔王に強制的に契約を刻むなんて、おそらくは大魔王様達でも容易ではありません。僕が行ったのは”書き換え”です」 「あ…」 Kの言葉を聞いてヘルダンは青ざめるしか無かった。書き換えだって? Kが誰の契約を書き換えたのか?答えは簡単だ。 「ええ、貴方が乗っ取ったムハブゥの体に宿りし霊獣や神獣達ですよ。彼らの多くは災厄戦で保護するために僕と契約を結んでいました。貴方がムハブゥの体を自らに取り込んだ時、契約はまだ生きていたんです」 「まさか…使われたのは体の一部のはず…」 「貴方だって”再生”するじゃないですか?ムハブゥの合成魔獣化に使われた霊獣・神獣達の一部にも魂を含むものがあった。それがムハブゥを苦しめたわけですが…」 その苦しみの波動を感知した事も、Kがレイエン家に来訪した理由であった。 「肉体も魂も喰らえば自分の物になるなんていう傲慢は身を滅ぼすという事です。彼らとの契約も貴方の物となり、そして―」 あの全員での連携攻撃の時、ヘルダンの霊体を”離魂送”で肉体から引きずり出したKは、同時に”契約術”の書き換えも行っていたのだった。 「でも安心して下さい。僕への危害のペナルティは”ここへの転送”のみです。別にロストにはなりません」 「なに!?」 再度の驚愕。普通だったら― いや、この術士に普通は通用しないのかもしれない。何故そんな緩い契約にするのか? いや確か… 「フリッツとの…部下との同調で知ったが、お前は使役する魔物達に大した罰則もかけていないようだな?そういう事か?」 「? ああ、どこかで僕の”契約内容”を聞いたんですねぇ?ええ、ただ緩いと思わないで頂きたい。契約違反した魔物をここに転送するのは”理(ことわり)”を知って貰うためですので」 Kが涼やかに答える。ヘルダンが自らの浅慮と”理”を知るのはすぐの事であった。
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