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[9]匿名
12/11 20:29
【続き】
目を覚ますともう夕方を過ぎており、ベッドの周りには母と父が待っていました。
あと一週間ほど入院して、経過が良好なら退院できると説明されました。
しかし、気になったのは隣のお爺さんのベッドが空いていたことでした。
病室移動かもしれないと思い、その時は『退院する日に挨拶をしに行こう』と思った程度でした。
経過は思ったより順調で、5日ほどで退院の日になりました。
僕が入院道具を整理していたら、あのお婆さんがやって来ました。
お爺さんのことを聞こうと思いましたが、お婆さんが涙目なのに気が付いて少し動揺しました。
するとお婆さんは、
「あの人が手紙を書いていたのよ。渡すのが遅れてごめんなさいね」
と僕に手紙を渡してくれました。
そこには、
「最後の夜が一人でなくて良かった。ありがとう。元気に育ってください」
というような事が乱れた字で書いてありました。
話を聞くと、お爺さんは僕が手術をしていた日の午前中に容態が急変し、そのままお亡くなりになっていたそうです。
僕は泣きながら、
「僕もあの夜はお爺さんと話せて安心できました。心細かったけれど、とても優しく話をしてくれた」
とお婆さんに言いました。
すると、お婆さんは不思議そうな顔をして説明してくれました。
説明によると、お爺さんは喉の腫瘍を切り取る手術が上手くいかず声帯を傷付けてしまったために、話す事はもちろん声を出す事は殆どできなかったらしいのです。
最後の手紙は、恐らく亡くなる前日の夜に、自分なりに死期を悟って書いたのだろうとの事でした。
今でも、あの夜にお爺さんと話した事を思い出します。
あれは何だったのでしょうか。
不思議だけれど、あの優しい声は忘れないと思います。
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