【ド・レイン七不思議】詰め所 | サキュバスSALON『ド・レイン』外伝

　ある”兵士の詰め所”の話なんですがね…。
　そこはある伯爵が管理をしていた刑務所だったそうなんです。
　その詰め所に転属になった…仮にAさんとしましょうか。

　着任して早々に”変な人形”を見つけたんです。それも何体も。
　それは、両手がなかったり、目に大きく穴が空いていたり、腹にも大穴が空いてるのもあって…。
　先輩に聞くと、刑務所時代の忌むべき話が聞けたんです。

『その時代はな、とにかく日々拷問が行われたそうなんだ。そうなると、中の罪人がどういう状態かわからないだろう？』
『はい…』
『だからさ、中の罪人の状態と”同じ状態の人形”を扉にかけたそうなんだよ』

　そうなんです。見つけた人形は、中の罪人の状態。
　手がない人形は、そのまま中の罪人が手を切り落とされた事を示していたんです。

『うわあ　着任早々、嫌な話を聞いたなぁ…』
　割り当てられた部屋も、元々は罪人を収監してた部屋なんですよ。

　その夜－

　ギィギィ…ギィギィ…
　音がする。

『なんだ…？』Aさんが目を開けた。

『わあああああああああああああ』そして思わず叫び声を上げた！
　
　Aさんの目の前には、
　両目がなく、開いた口に舌がなく、そして両手もない男が、
　体液を流しながらAさんの顔を覗き込んでいたんです。

　思わず部屋から飛び出したAさん。足に当たるものがあった。
　それ…　両目と口に穴が開けられて、両手がない”人形”でした。

　Aさん怖くて、隣の部屋の先輩を起こしに行った。

　ぎぃぃぃぃぃ…
　扉が軋みをあげる。

『先輩！でました！』先輩の返事がない…。

『先輩？』布団をめくった。

『ああああああああああああああああああああああああああああああああ』
　Aさんが絶叫を上げた。
　先輩の首がなかったそうです。そして先輩の部屋の外には…。
”首のない人形”が置かれていたそうです。

　そんな話を聞かせて貰いました…。ええ。

　え？その詰め所？今はもう建て替えられましてね。そういう恐ろしいことは起こらないそうですよ。
　あ！でも前の建物も良い造りのものでしたからね。今は”ある館”の外庭に移設されているそうですよ。ええ。

『本当にあったんだよ！おっかな～い話』（怪談術士Ｊ）より