【ド・レイン小説】『リオと魔石の黒き王《K vs トパーズ!》』





リオ編のロル外であった戦闘の記録です。

掲示板が移転した時に引っ越し忘れていたので、再掲載します。

リオを狙う黒き王の精鋭部隊”ジュエルズ”

館を強襲するトパーズは、魔物達の主たるKの命を狙う事に!

仕事に忙殺されてショボショボである事が多いKの珍しい戦闘場面です。

召喚術士K

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[1]召喚術士K


 サキュバス=魔族の中でも性的魅力に溢れ、人間と容姿が近しく、夢と現の両方で人間を誘惑し、そしてそのエナジーをドレイン(吸収)する魔族。
 なんと!そのサキュバスと比較的安全に交流を持てるSALONが存在した。
 それは”暗がりの森”と言われる魔素の濃い特有地にあった。その特性故に魔物も多く出るため、結果として熟練の冒険者がお客となる事が多い。

 その魔性の森の一角に”それ”は現れた。

 黒々とした炎を内包した拳大の石から、炎の陣が描かれると、黒炎柱が湧き上がった。そしてそれが消えた後には、4人の甲冑纏った”戦士”が現れた。

「まさか本当に我々が出張る事になるとはな」
「タルシュシュとオデムだけでも充分すぎると思っていたんだけどね」
「存外の難敵であるという事だな。タルシュシュにして”役割”を果たすのが精一杯だったという事だろう?」
 白き鎧を纏った巨躯の男の呟きに、紅き鎧の戦士が答えると、鋭い眼光の騎士がその分析を口にする。

「では、計画通りに。俺はここを防衛しつつ迷い込んだ鼠を仕留めるとしよう」
「俺は我らの宿願の邪魔となると占いに出た…この館の主の抹殺だな」
「僕達は遊撃で良かったね?そこそこの魔力反応を感知できるから… まぁ遊んでくるよ♪」
 陣を出た彼らは自らの任務を確認し終えると散開した。

 この会話の数十分前、タルシュシュという彼らの同胞が配下の兵と共にこの森に入った。それは主の欲する魔導具の入手と、それを所有する人間の捕縛が目的である。占いに出たという修道院で道案内を頼み、そして森に入って早々に”銀髪の淫魔”と遭遇した。その淫魔が所持していたロッドに見覚えがあったタルシュシュは戦闘を開始したが…。増援に現れたお化けの如き再生能力の魔術師に配下の尽くをやられ、そして逃亡を謀った淫魔を間違えなく仕留めようと“解放”状態となって追撃。占いを良い意味で外れさせる選択をするも、淫魔を守護するべく現れた規格外のローパーに敗北を期した。

『俺は…俺の役目を果たすとしよう…』
 敗北直前に、館へ向かって転移用の魔石を投擲したタルシュシュ。
 占い師の予言は的確であり、これによって攻撃特化された同胞が役目を果たすだろう。タルシュシュは死の直前にそう確信していた。

 魔石将=ジュエルズと彼らは呼ばれている。十二個の魔石を核にした魔石器(ジュエル・オーブ)を纏い、主たる黒き王のためにあらゆる任務を請け負う精鋭部隊。戦団を指揮する軍団長とは違い、任務に応じて部隊レベルや単騎で任務地に赴き、その任務を全うする。

 数ヶ月前、占いによって露見した七つめの道具の持ち主を特務部隊が強襲するも、道具の奪取も所持者の拉致も叶わなかった。そして占いでは、更に入手も拉致も困難な状況となったと出たため彼らの出陣となったのである。
 その中でも、単騎での戦闘力に優れた攻撃特化の彼らはまさに拠点強襲にうってつけの人材であった。更にその中の2人は、ジュエルズでも上位とされる”騎士(ナイト)クラス”である。

 ダイヤモンドのノーフェクは騎士であり、ジュエルズ最強防御力と怪力を駆使した攻撃力で移動魔法陣の防衛を担当した。
 騎士ではないが、ルビーとサファイアの二人は双子故の連携によって特記戦力に数えられており、今回は遊撃・陽動によって抵抗勢力を間引く事を担当している。そして…
 トパーズのショハムは、”呪雷”を操り、その素早さと合わさった最強の矛にして、ジュエルズ最強の騎士であった。その彼の役割は、館の主…即ち”召喚術士K”の抹殺だった。

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[2]召喚術士K


「フン!微弱な結界だな!」
 散開後、館へと近づくにつれ、自らを拒む結界が強くなる事を感じたショハムは、それを一笑に伏した。恐らくは”道具の所持者”が張った聖石での結界であろう。それを張れば闇の魔力に属する自分達を弱体化出来ると考えているのだ。しかし、魔石器の加護のある魔石将には、その効果は微々たるものだった。

「さて、大きな反応がいくつかあるが…」
 館が視認出来ると同時に魔力感知を行う。魔物のSALONというだけあって、中からいくつもの魔力反応があるが、その殆どは気にするほどでもない。
「恐らくは最上階だな… 魔力の流れがそこに向いている」
 元はDと呼ばれた伯爵位の召喚術士が魔物の召喚に特化して建てた館である。魔素の多い森の、更に魔素が湧き上がる位置に建てられた館は、その最上階に魔素が集中する要素を持っていた。
 それを魔力感知で見破ったショハムの頭に二つのプランが浮かんだ。一つは正面扉から入り、魔物達を打ち倒しながら術士に迫る案。もう一つは…
「頭を潰してからの残党狩りが確実!」
 手足たる魔物達をむしっている間に、頭たる術士に逃げられたでは笑い話だ。
 なんと!ショハムは跳躍により3階まで飛び上がると、防御結界の掛かっている召喚部屋唯一の明かり窓に向けて”呪雷”を放った。

バリッッッ!
 呪いの属性を纏った雷光は、防御結界なぞ無きに等しいとばかりに突き破り、窓を破壊する。そこからショハムは飛び込んでいった。
「さて!術士の首を頂こうか… ん?」
 そこは、真っ暗な空間だった。
 いや、光蘚が放つほんのりとした灯りと発光オーブによる照明はある。だがその光は儚くて。空間そのものがぼんやりとしており、虚無の如き空虚さが漂っていた。

「ここは…」
 広さからいって、館の三階とは思えなかった。一体、ここは…??
「ここは特別室《魔》を実装している空間です。館を壊されるのは困りますし、うちの子に怪我人が出るのはもっと困りますので、こちらへ案内させて頂きました」
「!?」
 ショハムが振り返ると、そこには漆黒の衣を纏った術士がいた。

「初めまして。異国の戦士…ですかね?僕がここの主のKです」
 常闇の衣のフードを取り、涼しげに挨拶をするK。
「ほぉ…大した魔力だ。しかし相手が悪かったな!」
 ショハムの体が発光した。
 一瞬− その一瞬で、その空間中に禍々しい陣が敷かれていた。

「呪雷陣− 雷光の速さで、この空間全てに陣を敷いた。これでお前は召喚陣を展開できない。俺は黒王陛下の騎士にして”トパーズ”を守護石に持つ魔石将のショハムだ。お前の首、貰うぞ?」
 呪雷陣はその名にあるように、呪いの属性をもって相手の魔法を封じる。故に術士たるKの能力の殆どを封じたとの宣言であった。

「…名乗りより早くに術式の展開ですか?」
 あきれ顔でKがこぼす。
「生憎だが、俺は決闘に来たわけではない。術士の始末に来ただけだ。しかし…」
 周りを見渡す。どこにも魔力反応がない。
「配下の魔物も0か…。張り合いがないにも程があるな。だったら…」
ショハムの周りにいくつかの陣が発生した。その中から、ショハムと類似の鎧(魔石器)を纏った兵士が浮き上がってくる。その数四人。
「殺れ!」
 ショハムの命を受け、四人の魔石兵がKを取り囲んだ。そしてその凶刃がKに向かって振り上げられた時である。

”バタッ バタバタバタッ”
 声もなく、魔石兵が倒れた。
「な!?」
 魔力反応はなかった。召喚陣も展開されていない。一体…何が起こった??

「ショハムと言いましたね?騎士を名乗るのであれば、もう少し思慮と分別を持った方が良い…」
「!!!」
 Kが言葉を言い終わる前に、ショハムは動いていた。全身に”呪雷”を纏っての突進!ランスの切っ先はKの心臓に向かっている。
「呪雷槍! 呪雷を纏った俺に魔法攻撃は効かん!どんな絡繰りであろうと無意味!」
 その切っ先がKの胸元に!

”カッ”
 ショハムの神速の突きがKの胸に迫った時、その切っ先をKはロッドの柄で受け…いや受け流した。体を反転させ、同時にショハムに足をかける。ロッドの先端部でショハムの後頭部を殴打すると、足をかけられた状態のショハムはそこにお辞儀をするような姿勢で座らされていた。
「”ガハッ” な…なん…だと!?」
「動かないように。動けば…首が落ちますよ?」
 ショハムの喉元に刃があった。死神の鎌(デスサイズ)の漆黒の刃が。
 Kが持っていたのは、魔法発動用のロッドにあらず。前衛で戦う時に用いる”死神の大鎌”であったのだ。

「貴様… 召喚術士ではないのか?」
「召喚術士ですよ?ショハム。貴方は思慮と分別を持つ事と…あと思い込みは止めた方が良い。」
 退魔師の曾祖父と死神の特性を持つ神族の巫女たる曾祖母を持つKは、その曾祖父母が開いた独特な召喚術=煌仙術を受け継いでいる。そのため、前衛で魔と渡り合うための体術も会得しているのだ。
 煌仙術では戦闘術式は主に対人用・対獣用・対妖用に分類される。先程のは対人戦闘術”空蝉”から”断頭”への連携混合技である。

「さて不本意ではありますが、”強制契約”をさせて貰います」
 すぐに断首をせずにいるのは、このショハムから黒き王やその組織について聞き出すためである。勿論、簡単に口を割らないだろうと予測できるので、強制契約によってそれを成そうというわけだ。Kはそもそもは魔物相手にも強制契約を強いる事はない。しかし…
 リオから聞いたクリスタルパレスとその一族の話。そして感知し得た今回の襲撃。
 ルリカ達黒服団の働きと、事前に配備・配分していた”友達”の活躍によって事なきを得ていたが、一歩間違えたら…。そのために容赦はなかった。

「こ…いつぅぅ!!」
 ショハムが怒気を含む発声をするや、魔力が大きく膨れ上がった!
”ビュッッッ!!”
「くっっ!」
 Kが仰け反るように飛び退いた。ショハムの背部より鞭状のものが呪雷を帯びて襲いかかってきたのだ。”飛行(フライト)”で空中で踏ん張るK。ショハムは前屈みの体勢のまま上目でKを睨むと、
「お前は許さん!灰すら残さん!!焼き尽くしてやるっっ!!!!」
=解放だ!!=

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[3]召喚術士K


 魔石将(ジュエルズ)は魔石器(ジュエル・オーブ)の加護を得て戦う。その能力を解放する事でその全能力を扱えるわけだが、解放すると魔石が持つ魔物の特性が全身を侵し、肉体もそれに応えるように変異してしまう。そして元の姿に戻れなくなる可能性が出るため、彼らにとって”解放”は事実上の奥の手なのである。それを計算ではなく、我を忘れる程の怒りでショハムは発現させた。

『うおおおっっっっっっっっっっっっっ!!』
 ショハムの体が変異していく。それは四足獣であり、縞の模様の尻尾が生えて…。一件はネコ科であるが、それは虎や豹とは違っていた。
「なるほど…”雷獣”ですか。それで呪いも扱えるというわけですね」
 Kが雷獣と呼ぶそれは、主に東の国で祀られる神獣の一種である。神と言ってもあらゆる点で生物を超越した存在の神ではなく、超常的な力を行使するために人から畏れ敬われる存在という意味での神である。故に、益であれば”祝い”と称され、害であれば”呪い”と称されるわけだ。

『呪雷砲! この空間ごと消し炭と化せ!術士!!』
 ショハムが構えるランスに尻尾が巻き付くと、凄まじい放電反応が見られた。”呪雷”がランスへと、砲身へと集約されていく。
「…かまいませんよ。貴方は”何も知らないようだから”」
 涼しげにKが話す。先程の接触で何かを感知したのか?しかしその話し様は、当てが外れたという失望感もあるようだった。
「となると…次に優先すべきは魔石の回収ですかねぇ」
 目の前の超攻撃態勢のショハムを見据えたまま、Kは次なる行動を思案していく。

『舐めやがって!!死ねぇぇぇぇ術士ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!』
 そして“それ”は放たれた。直線上ではなく放射状に! 空間ごとというのは、はったりでは無かったのである!
 呪いが込められた怒りの雷光がKに迫っていく!!しかし…

”キュイイイィィィィィィィィン”
 Kの目の前に幾多も同時展開された”魔方陣”に当たると、その全てが吸い込まれた。
『あ… な… なん…』
 言葉が出ないショハム。
 空間に、しかも何ら道具も用いずに、直に魔方陣を展開するなど常識外なのだ。
 しかも、防御魔法の類いだったら呪いの特性で蝕む事も出来る呪雷であるのに、それを無効化するのもありない事だった。
 そして余波の魔力の波動もKの周辺で消え失せる。その時にショハムは微かな魔力の揺れを感じた。
『何かいる…のか?』
 ショハムが感じた僅かな違和感。
 それほど希薄な魔力波しか出さない存在がKの側にいる!Kは既に魔物を展開していたのだ。
『では先程の…』
 配下の魔石兵が倒れた現象。あれもKの周りにいる魔物によるものだったと合点がいった。

『卑怯な…』
「いきなり配下四人に襲わせるのは宜しいと?」
 ショハムの呟きにKがあきれ顔で返す。
 魔石将は、それを纏う者自身が熟練の戦士であり、魔石器の加護と合わさったそれは一国の将軍クラスを超える。更に解放状態となれば、それは上級魔族とも渡り合える実力を備える。そのショハムの攻撃が悉く無効化されている。ショハムが動揺し発言を間違えるのも無理からぬ事であった。
「さて… 一撃は一撃ですので!」
 割と子供な理論を持ち出した後、Kは”死神の大鎌”を水平に構えた。

「対妖戦闘術 ”雷滅の大鎌”(ライトニング・クラウン)」
『か…は…』
 ショハムが固まった。やっとの思いで息を吐き出す。それはKの術式が発動したのと同時に空気が変わったからだ。
『一瞬で…魔素が…』
 消えた−
 この空間中の魔素が。そればかりではない。ショハムが張った”呪雷陣”も消え去った。いや…
『吸収…したのか?』
 Kが構えている”死神の大鎌”に強大な魔力が集積している。それが解答であるのは間違えない。
『では先程の魔法陣も…。呪雷砲を無効化したのではなく、吸収したというのか!?そんな事が出来るわけが…』

「では参ります!」
『くっ… うわあああああああ!!!』
 ショハムは咄嗟に”呪雷砲”を発動させた。それも最大出力で。それは限界まで絞り出した命の咆哮!
 攻撃時であれば、先程の魔法陣も展開できぬだろうという事と、襲ってくるKの一撃を減弱する目的である。そのため先程とは違い、一点集中型として直線上に放った!

”キィィィィィィィィィィィィン!!!”
 Kがカウンター気味に大鎌を振い、金色の雷刃が放たれる。
 その刃は呪雷砲の光線を斬り裂き、吸収し、更に大型化してショハムを魔石器ごと両断した。
『あ…がぁ…』
 雷滅の刃は、両断と共にショハムの魔素を吸い尽くし、そして体を内から焼いていく。

「悪鬼を滅する”雷術”です。邪を祓うと言われてます。この力で魔法石が浄化されると良いんですがねぇ」
 ショハムの全身を雷滅の炎が焼き付くし、そこに残ったのは”トパーズ”の魔法石のみであった。

「ふむ… まだっぽいですね。これは厄介な」
 ショハムと対峙した時よりも顔をしかめたKは、拾った魔法石を壺に収めた。”浄化壺”という曾祖母マナの持つアイテムである。
「これで浄化されると良いなぁ…」
 そう言いながら、部屋の偽装を解除する。するとSALONの特別室としての機能が復活した。サキュバスが本来の能力を行使しやすいようにと、魔素が多い魔界の一部に空間転移でくっつけたこの部屋が大立ち回りには丁度良い場となったのは皮肉な事である。

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[4]召喚術士K


”ギィ”
 扉を開けて外に出るK。

「あら?ご主人様、そのお部屋で一体何をなさっていたのかしら?」
「あ…」
 緑髪のサキュバスが背後から微笑みかけていた。Kの腕に自らの腕を潜り込ませると、妖艶な笑みを浮かべる。
「エナジーが滾っておられますね。少し頂いても?」
「いや!あのですねっ 実は外敵が来ていまして…。それは何とかしたんですが…。それに、ほら!まだ昼ですし…」
 同時に外の気配を探る。もう”外敵”は殲滅されているようだった。撫で下ろした胸を緑髪の指がなぞる。

「もう脅威がないのであれば、ゆっくり楽しめますね♪外敵を倒したカムア様にはご褒美に気持ちよくなって頂きます♪」
 そう言うと抗いきれないKを扉の中へと引きずり込んでいく。この緑髪は魔法に長けている。恐らくはKと同様の感知をしていた。その上での確信犯的な誘い。

 Kがトパーズの魔法石をリオに渡すのが、その翌々日になったのは”こういう理由”があったからだった。合掌。

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