【怪奇譚D】『吸血鬼』
黒服団が出会う奇妙な事件や、伝承にまつわる事件。
闇夜に溶け込みむ不死の存在。
力に溺れた吸血鬼と黒服団が出会い・・・そして・・・
世界各地にある吸血鬼伝承の中で、世界観と話にマッチするように、設定を削ったり強めたりした作品になりますよー
ルリカ
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[6]第5話『抵抗』
更に1時間後
ドライゼはシーズから解放されるが、グラやローランに見下ろされ笑われながらも・・・・・何の抵抗も出来ずに・・・・
【ワン】
「顔や体は合格点かと思いましたが・・・1時間で6回の射精とは少し多すぎましたね」
ワンはシーズの髪に櫛を通しながら、ドライゼをどうするかを尋ねてみる。
【シーズ】
「性を覚えたばかりの初心な少年・・・・・私の好みじゃないわね」
ワンが手を止めると、2人はグラとローランの元に歩いていくと、シーズはドライゼの足元へとしゃがみ込む。
【シーズ】
「坊やには刺激が強すぎたかしら?」
艶やかに笑うシーズに息も絶え絶え・・・何もできずに倒れているドライゼ・・・それを嘲笑するグラとローラン・・・
【シーズ】
「さぁ、後は3人で自由にしなさい」
そういって立ち上がろうとした瞬間・・・ドライゼは力を振り絞り立ち上がろうとしたシーズに蹴りを入れシーズを地面に転ばせる。
ダメージは・・・・ほぼ0だろう・・・しかし、ここまでやってなお、心が折れないドライゼにシーズは少しぽかーんと目を丸めていて。
【ドライゼ】
「ざまぁ・・・みろ・・・・」
ドライゼのこの言葉にキレた様子を見せたローランが爪を硬質化させ、伸ばし、腕を振り上げると。
【ローラン】
「こら・・・・あんまり調子に乗るなよ!!」
ローランが無造作に両手を振るうと、ドライゼの右腕は肘から綺麗に切断され、肩から腹にかけて内臓が見えるぐらいにざっくりと切り裂かれる。
静かな夜の森にはドライゼの悲痛な割れんばかりの悲鳴が響き渡る。
【ワン】
「ローラン、やりすぎ、冷静になるべきよ。」
更に爪を振り下ろそうとするローランの肩にワンが手を置くと。
【ワン】
「シーズ様に土をつけたのよ、もっと苦しませて苦しませて苦しませないと」
そういわれると、ローランはしぶしぶ爪を引っ込め、上げた手を降ろす。
【ワン】
「ローラン、グラ、先ずは止血して拷問をしましょう。得意でしょう?そういうのは」
ローランはこれからの楽しい拷問を考えながら、グラは落ちたドライゼの右手をボリボリと骨ごと齧りながら、ドライゼに手を伸ばそうと・・
〜〜〜続く〜〜〜
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[7]第6話『断』
血だまりの中にうつろな目で、少し痙攣しながら横たわるドライゼにローランとグラは手を伸ばすが・・・・
【ワン】
「!?ローラン!!グラ!!」
ワンが2人の首根っこを掴むと素早く後ろに引き倒す。
その直後、2人がそのまま進んでいたら首があったであろう場所には、鈍く月明かりを照り返す一閃の太刀筋が・・・・
【断】
「ふむ・・・避けられたか。敏感なものがおるの」
【アリス】
「あんたが殺気を出し過ぎなだけじゃないの?」
現れたのは白髪で和装の女性と金髪の少女・・・・・・断とアリス。
断とアリスはすぐさまドライゼの近くに寄ると。
【断】
「アリス、アタッシュケースを開けい・・・・すぐに止血じゃ」
【アリス】
「言われなくてもすぐやるわよ!!」
断のアタッシュケースを開け、すぐさまドライゼの止血に取り掛かるアリス。
【グラ】
「・・・ちょっと、何を勝手してるの〜」
グラは拳を固めて2人に殴りかかろうと飛びこむが・・・
【グラ】
「っうがぁ!!!」
断は素早く数歩前に出て、拳に”気”を固めると、グラの腹部をアッパーで殴りつける。
バキバキと音を鳴らし肋骨を砕くと、グラは耐えきれずに肉片の混じる吐瀉物と胃酸を吐き出して。
【断】
「おやおや?汚らしい女じゃの・・・・」
すぐさま断はグラの頭を鷲掴みにし・・・
【断】
「仕置きをしてやらねばならぬな」
そのまま持ち上げる。
【ローラン】
「らぁぁ!!」
続けざまにローランが爪を伸ばし、断に襲い掛かろうとするが・・・
【断】
「それっ」
飛び込んでくるローランにグラを投げつけ、2人纏めて吹き飛ばす。
【アリス】
「できたわよ!!」
一旦の止血を終え、意識を完全になくしたドライゼをアリスは担ぐと、一旦引く準備を整えて。
断は3人の奥にいる吸血鬼に、脇差を向けて。
【断】
「妾は断という・・・・・・主は?」
【シーズ】
「シーズよ」
ちらっとアリスに担がれるドライゼを見ると、視線をシーズに戻し、殺意を込め、目を少し細めると。
【断】
「ふむ・・・また会おうぞ・・・・絶対にな」
そう言い残すと、断とアリスはドライゼを回収し、暗い森の中へと素早く姿を消して。
〜〜〜続く〜〜〜
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[8]第7話『感情』
ドライゼ回収後
街の黒服戦闘班の臨時作戦施設にて
運び込まれたドライゼはダネルの黒い渦へとゆっくり吸い込まれる。
【断】
「して、助かる見込みはどうじゃ?」
断の言葉に全員が反応し、ダネルがどう返すかを息をのんで戦闘班の全員が見守る。
【ダネル】
「とりあえず〜私の中で〜再生魔法をかけて〜修復しながら〜」
ダネルののんびりとした喋りに痺れを切らしてアキュラが立ち上がり、ダネルに詰め寄ってくるが・・・・
【断】
「座って聞いておれ」
断が脇差を抜き、アキュラの首元に近づけて、アキュラを制止する。
【ルリカ】
「再生魔法で身体を再生するが・・・・生き残れるかは本人次第・・・といったところですか?」
机の上に行儀悪く座るルリカに、ダネルはコクコクと頷く。
【マウザー】
「・・・私が行ってれば・・・・」
そう一言つぶやくとマウザーは立ち上がり、ルリカの静止も無視してフラフラと外へ出ていく。
他のメンバーは黙って下を向いていると・・・・グローザが拳を固めて、ルリカの座る机をぶち破る。
ルリカが急いで立ち上がると。
【グローザ】
「黙って聞いてたらさー、まだ死んだわけでもないのに辛気臭くねーか?」
【断】
「そうじゃ、その通りであるぞ」
断は静かに煙管に葉を詰め火をつけると、ゆっくりと煙を吸って。
【断】
「ダネルが動けん以上、最低2,3人はここに残る必要があろう・・・・・じゃがそれ以外は・・・」
ふ〜〜っと煙を吐くとギラッとした眼光を向けて。
【断】
「凡庸な指し手が言うように冷静になる必要はなかろうて・・・・怒りをグールなり眷属なり吸血鬼にぶつけてこい、まぁ今晩はこぬであろうが・・・」
断の言葉を聞くなり、メンバーたちは戦闘するために街へと繰り出す準備を始める。
断はふらっと外へと出ると、肩にガリルを止めてアリスへの文をしたためる。
ガリルを放す直前にガリルが耳元へ寄ってくると。
【断】
「なんであるか?・・・・・・ふむ・・・・主も出ると・・・・・妾の出番も残しておきたまえよ」
そういうと、アリスの元へ文を送る様に指示して、ガリルを闇夜へと放つ。
〜〜〜続く〜〜〜
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[9]第8話『ガリルVSグラ@ 鳩と眷属』
ドライゼ回収後翌晩
街はずれにて
【グラ】
「う〜〜ん・・・・もうちょっと・・・・もうちょっとだけ食べたいな〜」
既に今晩だけでも5人を食したグラは、献上用の生き物を探す前にもう何匹か自分用の餌を探して街を徘徊する。
【グラ】
「それにしてもあの女・・・・あれだけやってくれたくせに姿見せないな〜」
【ガリル】
「少しいいかな・・・・そこのお嬢さん」
断を警戒しながらも夜の街を徘徊するグラに急に声がかかる。
【グラ】
「忙しいんだけど〜・・・・って・・・鳩・・・?」
グラの目に映るのは鳩の群れ・・・・そしてその中心にいる鳩が確かにこちらにしゃべりかけてきている。
ガリルは少しグラの様子を観察すると。
【ガリル】
「君が吸血鬼の眷属で間違いはないね?」
グラは目を細めると、不敵な笑みを浮かべて。
【グラ】
「ははぁ〜ん・・・・あんたはあの女や少年の仲間って訳ね〜」
グラが不敵に笑うさなか、グラの周りの地面が一瞬青白く光を放つ。
【グラ】
「・・・・・何をしたの?」
【ガリル】
「さてね、勇気をもって踏み込めばわかるさ」
挑発するような発言に、グラは拳を握りしめて。
【グラ】
「ふざけんなぁ!!・・・・・っ!!」
グラが踏み込んだ瞬間に足元が光り、魔力が爆散し、グラの小さな体を吹き飛ばす。
【ガリル】
「設置型魔方陣・・・吸血鬼や眷属、グールに反応するように私が構築して周囲に仕掛けて置いた」
ガリルは鳩の群れを周囲に飛ばしながら説明を続ける。
【ガリル】
「一撃の威力は弱いが連続で食らえばどうかな?・・・・・そして、鳩たちにも仕掛けて置いた」
吹き飛び素早く体勢を立てなおすグラの眼前には無数の鳩が迫ってくる。
〜〜〜続く〜〜〜
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[10]第9話『ガリルVSグラA 戦術』
迫りくる鳩を持ち前の動体視力と運動能力で回避していくが・・・・すぐにすべてを回避するのは無理とさとる。
【グラ】
「くっそ!!」
グラは腕を上げて、ガードを固める・・・・鳩はガードに向かって一直線に飛んでいき命中・・・・・ただ命中するだけ・・・・
【グラ】
「・・・・・はぁっ?」
【ガリル】
「はっはっは♪これは傑作だ」
状況が飲み込めずに唖然としているグラを見ると、ガリルは大声で笑い始める。
【ガリル】
「何もない鳩を本当に魔法と信じて、ひたすらに避けて避けてガードして・・・・最後にはその表情」
笑い続けるガリルに頭に血が上り切ったグラは、瞬時にガリルに飛び掛かる・・・・・しかし、それは同時に設置型魔方陣を踏むことを意味する。
【ガリル】
「頭に血が上りすぎたのか?それとも、脳の記憶容量が少なすぎるのか?」
後方へ吹き飛ぶグラに嘲笑と馬鹿にする言葉をプレゼントしてやると。
【ガリル】
「さて、時間稼ぎは十分かな・・・・・・眷属の少女よ”後ろに”気を付けたまえ・・・・次は腹痛ではすまんぞ」
ガリルの言葉に断から受けた腹部への攻撃の痛みを思い返しながら、とっさに後ろを振り向くと。
【グラ】
「・・・・・・誰も・・・・・いない?」
グラの後ろに広がるのはただの闇・・・・・・だまされた、そう思って振り返ろうと思ったその時・・・・・
【ガリル】
「簡単に騙されるものだ、戦闘経験が浅い」
ガリルは雷球を作り出すと、グラの背中目掛けて投げ飛ばす。
【グラ】
「っがぁぁぁぁ!!!」
先ほどまでの設置型魔方陣とは比べ物にならない威力に、グラの背中は真っ黒に焦げ、血を吹き出し、地面に倒れこむ。
【ガリル】
「ふむ・・・・焼き尽くすつもりだったが・・・・案外頑丈だ・・・」
背中を焦がされながらゆっくりと立ち上がるグラに、ガリルは言葉をかける。
【ガリル】
「さてと、愉快な眷属の少女よ。次はどう動く」
立ち上がりこちらをにらむグラに、ガリルは羽根で指差しし。
【ガリル】
「”後ろに”気を付けたまえ」
〜〜〜続く〜〜〜
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[11]第10話『ガリルVSグラB 送り火』
グラにもはや思考を巡らせる余裕も能力もない。
【グラ】
「くそがぁぁぁ!!てめぇはぁぁぁ!!生きたまま丸焼きにしてやらぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
【ガリル】
「馬鹿だ、気品も何もない」
ガリルの言葉を無視して、直線で向かってくる・・・・・・それは三度、設置型魔方陣を踏むことを意味することも忘れて。
【グラ】
「がぁぁぁっ!!」
後方へ吹き飛ぶグラ・・・・・
【グラ】
「・・・・・・・っっっぁ!!!!!!!!!」
その瞬間、後ろへ回らせた2羽の鳩が魔力で空間を捻じり、グラの右手と右足を吹き飛ばす。
仰向けに倒れ込み、千切れた切断面から大量の出血をしながらも、グラの本能か、千切れた手足がガリルへ向かって飛んでいく。
【ガリル】
「うんっ?」
千切れた手足はガリルへ命中し、ガリルは粉々に砕け散る。
【グラ】
「ざまぁ・・・・・みろ・・・・・くそ・・・・」
もはや動くことすらできず仰向けに倒れたグラが放った一撃は確かにガリルを撃ち抜いたが・・・・
【ガリル】
「・・・・本能的に魔術を使ったか、眷属の少女よ」
鳩の群れの1羽が喋り始める。
驚いた表情のグラを無視して話を続ける。
【ガリル】
「あれは本体ではない、むろんこれも・・・・・ここにいるすべての鳩は私の分身だ」
鳩たちは、グラの周りに、魔方陣を描くように規則正しく着地しながら。
【ガリル】
「私の本体は、美味いワインをいただきながら、愉快な眷属の少女のコメディを見させてもらっているよ」
グラに喋りかける鳩がグラの背中に着地すると。
【ガリル】
「そして、コメディにはオチが必要だろう?眷属の少女よ?」
すべての鳩が魔力を放出し始めると、グラを中心に巨大な魔方陣が出現し辺りを煌々と照らし出す。
【グラ】
「・・・・ぁぁ・・・・ぅ・・・・・くそ・・・・・・・」
【ガリル】
「他の生き物を・・・魔術師を・・・・そして我が仲間を・・・・傷つけ舐めた代償は大きすぎたな」
中央の鳩が起動の魔術を発動すると、天まで上るような巨大な火柱が上がり、グラの体を焼き払い、犠牲になった魂を浄化する。
〜〜〜続く〜〜〜
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[12]第11話『マウザーVSローラン@ 処刑準備』
ドライゼ回収後、翌晩
街の中心部付近にて
ローランは断を探し街を徘徊していた。
献上用の餌は集め終わり、後は自由行動・・・・・ならば目標は断・・・・・あの女をヒーヒー言わせてやりたい。
【マウザー】
「ねぇ・・・・少しいいかしら?」
闇の中から女が現れた、一見すると美しく女性らしい女性・・・・しかし、格好に女性らしさはない、黒服にパンツルック。
【ローラン】
「あら?お嬢さん・・・・娼婦?そんなふうには見えないけど?」
断が見つからなければこの女で遊んでも文句はない・・・・そう思っていると・・・・
【マウザー】
「貴方は吸血鬼かしら?私、茶髪の少年の右手を切り落とした吸血鬼を探してるのだけど?」
よく見てみると、女の目は氷の様に冷たい目をしている・・・そんなさなか口から出た言葉に。
【ローラン】
「もしかして・・・・あの子の仲間?・・・・あはは♪かたき討ちに来たって訳?」
笑い始めるローランに、マウザーはジャケットを脱いでその辺に投げ捨てる。
【ローラン】
「そう、私がその吸血鬼の眷属・・・・私が切り落としてあげたの」
ニヤニヤと笑いながら、マウザーを挑発するように胸に手を当ててローランは語り始める。
【ローラン】
「仲間?恋人?・・・なんだか知らないけど・・・捕まえて遊ばせてもらおうかな〜♪」
笑い交じりに喋るローランをよそに、マウザーは無表情でポケットから5つのビー玉サイズの緑の球を取り出すと順番に口にいれ飲み込んでいく。
【ローラン】
「何それ?決闘前のおまじないかなにか?」
ローランの言葉を無視して、マウザーはバキバキと音を立てながら2メートルほどの黒曜石の竜へと変化していく。
【ローラン】
「無口な子・・・・・いいわ、ちゃっちゃと戦って後でヒーヒー言わせてあげる」
ローランが爪を硬質化し伸ばすと、黒曜石の竜に変化したマウザーが口を開く。
【マウザー】
「決闘・・・戦い・・・普段なら付き合ってあげてもいいけど・・・」
マウザーはぐっと体勢を低くし、ローランは手を上げて、いつでも爪を振り下ろせる体勢に・・・・
【マウザー】
「これは処刑だから」
ローランの視界からマウザーが消えた瞬間・・・・・ローランの右腕も消滅する・・・・・
〜〜〜続く〜〜〜
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[13]第12話『マウザーVSローランA 処刑実行』
ローランは襲ってくる痛みと暑さに耐えながら、切断面を左手で押さえつけゆっくりと後ろを振り向く。
【ローラン】
「何よ・・・・今の・・・」
振り向くと、世闇の中、月明かりに照らされたマウザーが嚙み千切ったローランを右手を吐き捨て、火球を口から飛ばし燃やし尽くす。
【ローラン】
「くぅっ・・・・・らぁぁ!!」
左手の爪を伸ばし、マウザーに襲い掛かるが、マウザーは長い尻尾を一振りして、硬質化されたローランの爪をいとも簡単に砕く。
ローランの行動はそこまで・・・・そこからはマウザーの言った通り処刑。
マウザーが尾を振るうたびに、ローランの体から肉片が飛び散り、マウザーの体は返り血に濡れ、ローランの絶叫が周囲に響き渡る。
【ローラン】
「あぁぁ・・・・ひぃ・・・・うぁっ・・・・・」
倒れまいと膝立ちで必死に耐えるローランに、マウザーは黒曜石の竜から人間の姿に戻ると、ゆっくりと近づいていく。
【マウザー】
「・・・・・・・・・・・・・・・」
無言のままローランを見下ろすと、顔を正面から蹴ってローランを仰向けに倒し、顔を何度も踏みつける。
何度かローランの顔を踏みつけると、マウザーは少し離れ、ネクタイを外し服をゆっくりと脱ぎ始める。
【ローラン】
「なに・・・・・・・・・・・やってんのよ・・・・・・・・・・・」
【マウザー】
「普通の竜に戻ると破れちゃうから」
ローランはおそらく理解できていない・・・・しかし、かまわずにローランに裸で馬乗りになると。
【マウザー】
「女の子が好きなんでしょ?・・・・なら、私の全部見せてあげる・・・」
そういうと、マウザーは本来の姿・・・・・20メートルほどの黒い巨竜へと姿を変えていく。
【ローラン】
「ま・・・まって!!つぶれちゃう!!つぶれちゃうからぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
大きな音とともにローランの体は跡形もなく潰れる。
マウザーが元に戻ると、全身は返り血に濡れ、巨大なクレーターの中でゆっくりと立ち上がる。
夜中に響いた大きな音に、野次馬や衛兵が集まっってくる。
本来であれば返り血に濡れた裸の女がクレーターに立っている状況、野次馬が騒ぎ衛兵が駆けつけるだろうが・・・・・
【マウザー】
「どいて」
マウザーの氷のような目、全身から放たれる殺気に誰も動くことも声を出すことも出来ずに・・・・ただただ道を譲るだけで。
〜〜〜続く〜〜〜
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[14]第13話『ルリカ・アキュラVSワン@ 攻防』
ドライゼ回収後、翌晩
甘味処などが立ち並ぶ飲食地区にて
【ワン】
「凄い殺気ね、怖いわ」
アキュラと対峙するワンは、アキュラの身体から放たれる殺気と漏れ出す風の魔法に黒い髪をたなびかせながら、冷静にぽつりと言い放つ。
【アキュラ】
「全然、怖がっているようには見えないわね」
アキュラは槍を構えると、ワンは魔方陣がびっしりと書かれた2本の細身の剣を腰から抜いて。
【アキュラ】
「なによ?その剣?薄気味悪いわよ」
【ワン】
「鉄は私の魔力を通しやすいの、合理的だと思わない?それとも・・・挑発したつもり?下手くそね」
ワンの言葉を聞くと、熱くなったアキュラは槍を構えて飛び掛かる。
しかし、ワンが魔力を込めて剣を振るう瞬間、とっさに後ろに飛びさがると、目の前に火柱が上がる。
【ワン】
「燃やしてあげようと思ったのだけど・・・・勘が利くのね、流石だわ」
【アキュラ】
「・・・敏感なのよ、そういうのにはね・・・」
そうしている間にルリカが到着する、ナイフは一応構えてはいるが、こちらに近づこうとはせずに・・・
【ワン】
「あら?あちらのお嬢ちゃんは来ないの?・・・・じゃあ、お先にこっちを・・・」
強化魔法を両方の剣に流すと、アキュラに向かっていく。
【アキュラ】
「ちぃっ!!」
アキュラは防戦一方・・・ではあるが、槍が壊れないよう力は外へと受け流し、防御する中でもワンの動きの癖とパターンを見つけ出そうと観察する。
【ワン】
「二人とも観察してるのね・・・・戦闘部隊でも防御寄り・・・といったところかしら?」
ワンは魔法を撃とうと、バックステップで後ろに引くが、その瞬間にアキュラは槍を振り、距離を詰めて攻撃に転ずる。
【アキュラ】
「焦らないで、朝まで撃ち合ってあげるから」
(さーてルリカ・・・私は朝まで殺りあうつもりだから・・・・ちゃんと弱点を見つけなさいよ)
アキュラはピタリとワンの動きに付いていき、逆転の時を狙う。
〜〜〜続く〜〜〜
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[15]第14話『ルリカ・アキュラVSワンA 考察』
アキュラを追ってルリカが到着した時には、アキュラとワンは一触即発状態。
なぜ、アキュラを追いかけてきたのか・・・・それはある種の動物的直観だった。
どう援護しようか、ナイフを構えて考えていると、アキュラとワンは打ち合いを始める。
【ルリカ】
(”怒りをグールなり眷属なり吸血鬼にぶつけてこい”ですか・・・・断さんには申し訳ないですが私はそうはいかないですね。)
ルリカはワンの動きをしっかりと目に焼き付けていきながら、断の言葉を思い出す。
ナイフ、大斧、大鎌、剣・・・色々と武器を使うルリカだが、その前提にあるのは観察眼。
先ずは相手の動きや癖を観察し、それをもって有効な武器や戦い方を組み立てる・・・・・自分の戦い方はまさにそれ。
【ルリカ】
(特にあの魔術師風なのにアキュラさんを防戦に押し込む強さ・・・逆に体格の小さな”私の場合”は冷静にならないと、すぐに押し切られる・・・)
そのまま観察を続けていると、ワンが急に後ろに下がり、アキュラは迷わず距離を詰め、攻防が逆転する。
押し切れない相手に魔法を狙ったのだろうが、ルリカには1つの疑問が頭をよぎる。
【ルリカ】
(剣技では押し切れないから魔法に移行した・・・と見るのが自然でしょうが・・・・でも、なぜこのタイミングで?)
今度はワンが防御に専念しながら、魔法を撃つタイミングを伺っているが、アキュラの怒涛の攻めにそのタイミングは見つからない様子で。
【ルリカ】
(何を焦ってるんでしょうか?あの冷静な表情の下で・・・・・)
ルリカは大きく息を吸い込むと、ナイフを構えて、2人の元へと飛び込むとワンへと攻撃を仕掛ける。
【ワン】
「あら?お嬢さん・・・思っていたよりも鋭いのね?」
アキュラとルリカの攻撃に、器用に2本の剣でナイフと槍を捌きながらも、少しずつワンの身体には浅くだが傷がついていく。
【ルリカ】
「えぇ、これでも団長ですから・・・・そこっ!!」
斬り合いのさなか、ルリカはおそらくルリカにしか見えないような隙を見つけ、小さな体を2人の間に潜り込ませると、素早くナイフを斬り上げる。
【ワン】
(なるほど・・・相手が悪いわね・・・これは・・)
次の瞬間、ワンの両手が宙に舞うが・・・・ルリカが斬ったのはワンの右目・・・もちろんアキュラでもなく・・・・
宙を舞うワンの両腕が赤く光を放ち、無数の魔方陣が浮かび上がると。
【アキュラ】
「媒介っ!?ルリカ!!防御!!」
アキュラが両手をワンが自ら断ち切り、魔法用の媒介にしていることに気づくと大声でそう叫ぶ。
次の瞬間には、大きな閃光と巨大な炸裂音が辺りに響き渡る。
〜〜〜続く〜〜〜
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[16]第15話『アリスVSワン 伏兵』
閃光や音の派手さはあれど、とっさに発動された魔術はルリカやアキュラの防御を突き破るほどの威力はなかった。
しかし、2人は気を失い地面に横たわっている・・・おそらくは閃光で意識を飛ばすのを狙った魔法だったのだろ。
反対方向に吹き飛ばされたワンはゆっくりと、両手を失いバランスをとれないままに立ち上がろうとするが・・・・
【ワン】
(なるほど・・・・両足とも・・・やられちゃったわね・・・・)
ルリカとアキュラは防御に移行する寸前に、ナイフと槍をワンの足に投げつけ、右足も左足も使用不可能に追い込んでいた。
【ワン】
(誰か来る前に・・・あの2人を食べないと・・・間に合うかしらね・・)
ワンはゆっくりと虫のように這いつくばりながら、先ずはルリカに近づこうとするが・・・急に背中を踏みつけられその動きを止める。
【アリス】
「あら、貴方ってあの吸血鬼の眷属じゃなかったかしら?いつから芋虫になったの?」
アリスは踏みつける足に体重を乗せながら、見下すように喋り続ける。
【ワン】
「貴方はあれね・・・あの断とい女と一緒にいた・・・闘技場では女神と言われてるのに・・・汚い言葉遣いなのね・・」
【アリス】
「あら?表の顔も知ってくれてるのね。ありがとう♪」
そういうとアリスは足を上げ・・・・・・思いっきり踏みつけると、ワンの背骨や肋骨を砕いて。
少しの悲鳴も上げずに、咳き込むと、ワンはゆっくりと口を開く。
【ワン】
「・・・・で・・・貴方はあの2人を助けに来た・・・ヒーローってことかしら・・?」
アリスは苦い顔をして、頭をかくと、隠していた角を生やして。
【アリス】
「う〜ん・・・それならカッコいいんだけど・・・断に頼まれて保険として最初から見てただけだから」
そういうとアリスは角から雷を発し、手に巨大な雷球を作り出す。
【ワン】
「そう・・・・・なかなか卑怯なのね・・・・」
そういって目を瞑るワンからアリスは足を退けると。
【アリス】
「確かに、試合ならルール違反だし、決闘なら卑怯者かしら・・・」
そういうと、アリスは雷球をワンに落とす・・・ワンの身体は傷つき、発火し、消し炭になっていく。
アリスは気絶した2人の元に寄り、肩に担ぐと。
【アリス】
「戦争にもルールってあるのかしらね・・・」
ぼそぼそとつぶやきながら、2人をガリルに引き渡そうと、ガリルを探して歩き回る。
〜〜〜続く〜〜〜
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[17]第16話『断VSシーズ@ 魔法』
眷属と戦闘班の戦闘と時を同じくして
”元迷い家”の廃屋にて
シーズは棚の上に置いた水晶で静かに、最後の眷属が撃破された様子を除いていた。
不意に床板を踏み鳴らす音をが聞こえると。
【シーズ】
「遅かったんじゃないかしら?」
【断】
「無茶を言う出ない、遠いのだ」
断はシーズの部屋へ入ってくなり、魔力の残滓が残る水晶に目をやると。
【断】
「見ておったのか?」
【シーズ】
「ええ、しっかりと・・・」
シーズは水晶に目をやると話を続ける。
【シーズ】
「グラは駄目・・・少なくともあの鳩と勝負に出ては勝てないわ。逃げるべきだった・・・・ローランは相手の狂気と怒りに飲み込まれたわね」
シーズは水晶に布をかけると、断の方を向き直って。
【シーズ】
「ワンならもしかして・・・とは思ったのだけれど・・・囲まれては駄目ね。その辺は鼻が利くのね・・・流石だわ」
断はアタッシュケースを開けると、脇差を取り出し、腰を落とし居合の構えをとると。
【断】
「聡いの・・・では理解できておるであろう?いくら妾の血を啜ろうとも、妾とお主の差は、黒服と眷属以上であることも・・・」
【シーズ】
「うふふ・・・やってみないとわからないわよ?・・・・でも、その構え・・・見たこと無いわね」
シーズは両手を合わせて、広げると、どす黒い西洋剣を取り出し、片手に構える。
ゆっくりと剣を上にあげて、断の目の前まで歩いていくと。
【シーズ】
「振り下ろせば確実に真っ二つになるこの間合いで、まだ剣をしまったまま・・・・・」
クスクスと笑いながら、断と目を合わせると。
【シーズ】
「どんな魔法を使うのか・・・・みせてもらいましょうか!!」
断は静かに目を瞑り・・・・・・・シーズは剣を振り下ろす。
〜〜〜続く〜〜〜
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[18]第17話『断VSシーズA 先手と後の先』
振り下ろされるシーズの腕・・・・肩を目掛けて、断は腰と腕の動きで脇差を加速させ抜刀する。
断にシーズの剣が触れるよりも早く、シーズの肩に触れた脇差は肉に侵入し、骨を断ち、寸分狂わず反対側から飛び出し、シーズの右手を切断する。
【断】
「・・・・・」
無言でよろつくシーズを躱すと、体を半回転させ、刀に付着した血をはじく。
【シーズ】
「・・・・どういう魔法かしら・・・・」
流石にすぐさま腕を再生させることはかなわず、ゆっくりと傷口をふさぐように皮膚を再生させながら、シーズは左手で剣を拾い上げる。
【断】
「魔法ではない・・・鍛錬の結晶であるぞ」
そういうと断は脇差に”気”を纏わせる。
【断】
「貴様のような吸血鬼モドキより、あのワンという女と語らい、斬り合ってみたかったの」
そういうと今度は断から動く、一瞬でシーズの懐に飛び込むと、密着するほどに近づき、ピタリと動きを止める。
【断】
「ふふっ・・・貴様はここからどう動くのかの?」
【シーズ】
「・・・吸血鬼に接近すると危ないわよ?」
ニヤニヤと笑いながら、自分より少し背の高いシーズを上目遣いで見上げる・・・・シーズが断の首元に嚙みつこうと口を開けた刹那。
【シーズ】
「がぁぁぁっ!!」
断は膝に”気”を集中させ、膝蹴りで”気”を上に飛ばすと、そのまま口の開いたシーズの顎を砕く。
倒れこむシーズを躱すと。
【断】
「食いしばっておらんと力が出せんであろうに・・・・」
ゆっくりと脇差を上にあげ・・・・
【断】
「しょせん吸血鬼モドキ・・・しょせん力を得ただけ・・・それでは二流であるの」
そのまま、シーズの首目掛けて脇差を振り下ろす。
【断】
「・・・・思うにの、妾とそなたでは力自体はそこまで変わらんかったと思うのじゃがの・・・」
シーズの首を切り落とし、手を拭くと、持ってきた松明に火をつけシーズに近づく。
【断】
「戦闘経験の差と・・・練度の差じゃの、悪く思うなよ」
そのまま、松明をシーズの身体に火をつけると、次は廃屋に火をつけ始めて。
【断】
「このぐらいでよいかの・・・」
何か所かに火をつけると、断はトランクケースを手に取り、松明をシーズの身体に投げ捨てて廃屋を後にする。
〜〜〜続く〜〜〜
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[19]第18話『エンドロール Light side』
シーズたちとの闘いから4日後
街の病院前にて
【マウザー】
「あっ、ルリカちゃん」
ドライゼの見舞いに行こうと、病院に来ると、ちょうど入り口前でルリカを見つけて。
【ルリカ】
「マウザーさん、お見舞いですかー?」
ルリカは大きな手荷物を持ちながら、今からドライゼの所へ向かおうとする、まさにそんなタイミングで。
【マウザー】
「ルリカちゃん、それはお見舞いの?」
ルリカの手荷物を覗き込みながら、訪ねてみると。
【ルリカ】
「ええ、まだ固形物は食べれないのに、グローザさんとステアーさんが”肉もってけ”なんて・・・」
呆れたようにため息をつくルリカに、マウザーはやさしく微笑んで。
【マウザー】
「お肉なら、サロンの冷蔵庫借りて保管しておきましょうか?戻ってきたときに皆で食べましょうね」
柔らかく微笑みながら言うマウザーに、そうしましょうと頷いて。
【ルリカ】
「それにしても・・・ドライゼさんには早く戻ってきてもらわないと仕事が進みません」
【マウザー】
「そうね・・・私じゃマッチ君とユーちゃんの区別もつかないし・・・かといってイズマッシュさんはほとんどしゃべらないし・・・」
顎に指を当ててしゃべるマウザーにルリカは驚いたような表情を向けて。
【ルリカ】
「えっ!?ほとんどって・・・・私、イズマッシュさんが喋ってるところ見たこと無いんですが・・・・」
病院に入り、マウザーとルリカは互いのお見舞いの品を見せ合いながら。
【ルリカ】
「そういえば・・・断さんが”あんな連中に負けるとはまだまだであるな、故に帰ってきたら鍛えなおしてやらんとな”なっていってましたねー」
【マウザー】
「ふふふ♪ドライゼ君大変だね」
2人は病室前に着くと、静かにドライゼのいる部屋の扉を開け、中へと入っていく。
〜〜〜続く〜〜〜
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[20]第19話『エンドロール Dark side』
シーズたちとの闘いから5日後の明け方
とある墓地にて
とある墓地の一角、身元の分からない死体や骨が埋められている一角で、土が急に吹き飛ぶと、地面の中から長い黒髪の女性が姿を現す。
女は完全に地面から這い上がると、日の光から逃げるように、近くの木の根元に腰を下ろしてひと息つく。
【ワン】
「殺されてから・・・いや、完全に殺される前に吸血鬼に成れた・・・ということかしらね・・・」
ワンはグラやローランと違い、無駄なことなどせず、最低限の活動しかしていなかった・・・・・それは表立っての事である。
始まりはシーズの指示によって廃屋を作り変えていた時・・・・見つけてしまったのだ、シーズの飲み残した断の血を・・・・
それ以来は、シーズの指示以外は表立って動かず、廃屋で力の残滓を探し、血を探し、本人も気が付かないうちにシーズの力を超えていた。
街の散策を命じられれば闘技場へ赴き、清掃員のふりをしては闘技者の血もいただいていた。
【ワン】
(アリス・・・あの子の血もなかなかの力だったわね)
ワンは試しに木陰からそっと手を出してみる。
【ワン】
(ちりちりとはするけど・・・明らかに再生の方が上回っているわね)
手に伝わる感触を確認し、日光が効かないことを悟ると、すっと手を引っ込める。
いずれ来るシーズを狩るもの・・・その際はシーズを自分が喰らおうと思っていたが完全に失敗。
失敗の要因は先に狩るものを処理しようとしたことと、狩るものの戦力の大きさ。
【ワン】
(点が大きくてもダメ・・・もっと面を広げるだけの戦力が無くては・・・)
ワンは反省点を考えながらも、人に見つからないように森の少し奥へと引っ込むと、また座り込み。
【ワン】
(でも流石にいつもでも日光を浴びたり、夜にしか動かないのもいけないわ)
ワンは暇なときに読み込み、聞き込み、覚えた街の地図と情報を思い返す。
【ワン】
(墓地の形的には・・・・近場にスラム的なところがあったはず・・・そこなら人が消えようとも・・・)
ワンは1日中木陰に潜みながら、次はどこへ行き何をしようか考えていた。
今なら何をするも自由、高揚する感情・・・・・・こういうのをわくわくというのだろうか・・・
礼儀正しく生き、親の言うとおりに魔法の勉強をし、最後には吸血鬼の眷属になり果て・・・・でも今は自由・・・
そんなことを考えるワンの頭からは、グラやローラン・・果てはシーズの事も抜け落ちていって。
【ワン】
「アリス・・・ルリカ・・・アキュラ・・・断・・・運のいい男の子・・・全員楽しそうね」
闇が支配する夜になると、ワンは立ち上がり、世闇の中へと消えていく・・・
〜〜〜百鬼夜行に続く〜〜〜
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