【怪奇譚I】『土地神』





黒服団が出会う奇妙な事件や、伝承にまつわる事件。

ルブルの北に存在する精霊公、その最北端に存在する村。

過去にいくつかの村が合わさり出来た新しい村に伝わる、村の合併に至る言い伝え。

そして発生する行方不明事件……断に導かれドライゼ、ギルス騎士団(※1)そしてアリスの母親(※2)までも巻き込む大きな事件へと…

※1 ギルス騎士団は別スレの黒服団員以外の登場人物を参照ください。
※2 アリスの両親についても別スレの黒服団員以外の登場人物を

ルリカ

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[4]第1話『出発』
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黒服団詰所内・ドライゼの部屋


【断】
「勝手にじゃまするぞ」
【ドライゼ】
「うひぁ!?」
目が覚めてぼーっとしながら着替えようとシャツを脱いだところに、断が扉を蹴り開け、部屋へと入ってくる。
【ドライゼ】
「断さん!!いきなり入ってこないでください!!」
ドライゼは恥ずかしそうに、いそいそと着替えを済ませる。

断は近くの椅子に腰かけると、煙管に葉を詰めて火をつけ煙を吸うと。
【断】
「男の裸ぐらいいくら見られても減るものではなかろうて・・・・まぁ、随分と筋肉はついたものよの」
【ドライゼ】
「貴方の価値観は狂ってますよ・・・全く・・・」

ドライゼは断の分と自分の分のお茶を用意するとテーブルに運び、断の正面の椅子に座り込む。
【断】
「それにしてもの、着替えを見られたり、攫われたり・・・お主はどこぞのお姫様かえ?」
【ドライゼ】
「・・・・・・・で、用事は何ですか?」
【断】
「うむ、怪物退治じゃ。準備ができ次第出発する故」
【ドライゼ】
「・・・いつも急ですね・・・それにしてもなんで俺に?」
【断】
「お主と他の主力戦闘員の力の違い・・・それを埋める故・・・」
【ドライゼ】
「経験を積ませる・・・ってやつですか?」

断はふーっと煙を吐くと、ゆっくりと煙管でドライゼを指して。
【断】
「正確にはの・・・・死線をくぐらせるのじゃ」
断の言葉に嫌な感覚を憶え、苦い顔をするドライゼに断は話を続ける。
【断】
「はよう準備をしたまえ、下に馬車を待たせておるからの」
【ドライゼ】
「馬車?馬車が必要な場所・・・?」
【断】
「うむ、今回は北へ向かう・・・精霊公の北の端・・・小さくも奇怪な村じゃ」



〜〜〜続く〜〜〜

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[5]第2話『不可解な依頼』
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精霊公へ移動中

馬車の中


初めて乗るが思ったよりも馬車の中は快適だった。
対面でもくもくと甘いものを食べる断にドライゼは本題を切り出す。
【ドライゼ】
「今回の依頼はどんなものに・・・?」
【断】
「うむ、先ずはこれを読んでみよ」
断がドライゼに手渡したのは、精霊公の北の村に伝わる言い伝え、とあるシスターによる神を鎮めた話・・・・
【断】
「この昔話の伝わる場所はの、実際に十数年前に5つの村が1つに統合され村として存続しておる」
【ドライゼ】
(意外と最近の話・・・・・)
【断】
「この村から最近になってのギルドに依頼が来るようになった・・・・ちいさな村で若い男の行方不明者が続出しておるとな」

断はドライゼに依頼書を渡すと、食べ物を片付け、お茶を一口飲むと話を続ける。
【断】
「本来は違う人物にまわってきた依頼であったが、妾が平和的に頼み込んで変わってもらっての」
【ドライゼ】
「変わってもらった?それは・・・」
【断】
「すでにギルド側からも数名の行方不明者が出ておる・・・本来であれば実力者を複数人編成して調査すべきであるが・・・」
断は違う資料を取り出すと、その資料を見ながら。
【断】
「拒否されるのじゃ・・・・女が混じっておると」

ドライゼは黙って断の話を聞きながら、真剣な顔つきになりぎゅっと汗をかく拳を握る。
【断】
「お主には向こうで依頼を受けてきたギルドの人間として振舞っておいてもらおう」
【ドライゼ】
「・・・・断さんは?」
【断】
「妾は身を潜めながら、村で調査を進める・・・・」

断は煙管に火をつけると。
【断】
「言い伝え通りの事があったのか、それとも言い伝えに何か嘘があるのかをの・・・」



〜〜〜続く〜〜〜

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[6]第3話『洞窟』
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依頼先の村・言い伝えの洞窟にて

【ドライゼ】
「これが例の洞窟ですか?」
ドライゼは村長の案内の元、洞窟に通してもらうと、洞窟を塞ぐ岩を軽く叩きながら話しかける。
【村長】
「ええ、此処の穴が開いて以来、行方不明事件が発生していまして・・・」
村長が指さす先は、洞窟を塞ぐ岩と洞窟に出来た・・・人一人がギリギリ通れそうな穴。

ドライゼは穴を覗き込むと、奥は真っ暗で何も見えず。
【村長】
「調査をしに来た人々もそこから入ったきり出てこずに」
【ドライゼ】
(これじゃ大型の装備や荷物を持ってはいるのも無理・・・)

ドライゼはしばらく穴を覗き込むとゆっくりと立ち上がる。
【村長】
「若い男連中ばかりが被害にあっておりまして、街との交易や働き手が減っておりましての・・・」
【ドライゼ】
「確かにそれはお困りでしょう・・・では・・・」
ドライゼは魔力を手に固めると。
【ドライゼ】
「俺の友人を呼ばせてもらいます。優秀な魔法使いで昔の同級生を・・・・」
ドライゼは魔力を空へと飛ばす・・・・あくまで援軍を呼んだフリ・・・・
【ドライゼ】
「”彼”は補助魔法が得意ですから、多分お役に立てるかと・・・」

村長は魔力を目で追うと、ドライゼに視線を戻して。
【村長】
「なるほど、それは助かりますな。それでは宿をご準備してますので案内しましょう」

そのまま踵を返して歩いていく村長にドライゼはついていく。
【ドライゼ】
(やっぱり穴は塞がない・・・・)
ドライゼは後ろをちらっと振り返ると、穴を少しだけ見て。
【ドライゼ】
(あそこが危険なのは明らか、でも一時的にも塞ごうとする気配はない)
ドライゼは村長の後ろを歩きながらじっくりと考える。
【ドライゼ】
(現状でこの人を100%信用は出来ない・・・後は断さんの持って帰ってくる情報・・か)



〜〜〜続く〜〜〜

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[7]第4話『調査』
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依頼先の村にて


【断】
「もし、そこの若人よ」
【青年】
「はい・・・・旅の方ですか?随分と珍しい格好をしておられる・・・」
断が村で畑作業をしている青年に声をかけると、怪しむ様子は特になく返答を返してくる。
【断】
「うむ、吟遊詩人をしておっての・・・ほれ、こういう派手な衣装を纏っておる方が目立つであろう?」
【青年】
「なるほど・・・最近よく男性の旅行者の方が来られるのですが、女性1人というのも珍しく・・・腰の武器も護身用で?」
【断】
「うむ、何かと女性1人では危険も多くての・・・」
【青年】
「なるほど・・・でもご安心ください、この村は”平和”ですので」
【断】
(平和ときたか・・・それにギルドからの派遣も旅行者との・・・)

断は青年と会話しながら周囲を軽く見渡す。
子を遊ばせる母親、畑作業にいそしむ男性・・・・
【断】
「時に村の言い伝えについて尋ねたいのであるが・・・」
【青年】
「シスター様の言い伝えですね。自分も小さなときにお世話になった方ですので・・・」
【断】
(なるほど、言い伝え自体は事実・・・)

断は青年との会話を続けながら村の雰囲気を見渡す。
【断】
(とても連続失踪事件が起こっておるような雰囲気には見えん・・・村自体が隠蔽・・・それとも・・・)
「一つ良いか?」
【青年】
「はい?なんでしょうか?」
【断】
「そのシスターとは言い伝え通りの素晴らしい人物だったのかえ?」
【青年】
「ええ、昔の記憶ですが、素晴らしい人物でした。しかし・・・・」
【断】
「うん?」
【青年】
「シスターのいた教会なんですが、維持費やらの問題で統合の時に無くなってしまって・・・かといって洞窟近くは立ち入りが禁止になっていまして・・・」
【断】
(祀られてはおらんということか・・・何ともちぐはぐな話よの)

断は青年から色々と話を聞くと、村の散策に行くと村を歩き回る。



〜〜〜続く〜〜〜

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[8]第5話『秘密の打ち合わせ』
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村の宿舎にて


ドライゼがお茶を飲みくつろぎながら考え事をしていると、天井の板が外れ、そこから断が静かに飛び降りてくる。
【ドライゼ】
「うぁっ!!・・・断さん、驚かさないでくださいよ・・・」
【断】
「妾は招かれた客ではないからの、しょうがなかろう」

断は着物の汚れを掃い、ドライゼの正面に椅子を運び座ると。
【断】
「して、どうじゃった?」
【ドライゼ】
「怪しさ半分・・・いや怪しいところの方が多かった感じですね」
【断】
「ほうほう」
【ドライゼ】
「一番は洞窟内が危険なのに一時的にでも穴を塞ごうとしない事・・・とりあえず援軍を呼ぶフリをして帰ってきましたが」

ドライゼの話を聞き終わると断はお茶を一口飲んで。
【断】
「こちらもの・・・村を見て、話を聞いて回ったが・・・怪しさ満載よの」
断は煙管に火をつけて一口吸うと、煙を吐いて。
【断】
「村は正常そのもの、平和平和の平和の象徴のような村よの」
【ドライゼ】
「行方不明になった人は・・・?」
【断】
「少なくとも妾が聞いた範囲では行方不明事件など起こっておらんかった・・・ギルドから派遣された人間も旅行者と認識されておるようじゃの」

断は煙管の葉をもってきた消火用の缶に落とすと。
【断】
「洞窟を塞いでおる岩には触れたかの?」
【ドライゼ】
「ええ、なんの変哲もない岩でしたが・・・」
【断】
「・・・・・なるほどの」

断もドライゼもしばらく黙り込み考えると、ドライゼが先に口を開く。
【ドライゼ】
「で?どうするんですか?明日には援軍も来るっていっちゃいましたし・・・」
【断】
「・・すべての答えはおそらく洞窟の中よの」
断は立ち上がり、お茶のおかわりを淹れながら。
【断】
「その洞窟に光を入れようではないか」



〜〜〜続く〜〜〜

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[9]第6話『正面突破』
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翌日

言い伝えの洞窟にて


ドライゼと村長は昼過ぎに洞窟前へと再び集合していた。
【村長】
「おお、ドライゼ殿、援軍の方はおこしになられましたかな?」
【ドライゼ】
「ええ、姿はまだ隠してますがすでに」
【村長】
「隠す・・・?」
【ドライゼ】
「それでは早速洞窟に入らせてもらいます・・・・」

ドライゼが数歩後ろへと下がると。
【ドライゼ】
「正面から、堂々と」
ドライゼと村長の間を鋭い斬撃が通り抜けると、岩は綺麗に真っ二つに裂けて。
【断】
「ふむ、堂々との」
茂みから断が脇差を振り回しながら現れると、断の脇差の動きに合わせて、どんどんと岩は小さく切り刻まれていく。

断はドライゼの腕を引くと、洞窟の入り口の細かくなった岩を蹴り飛ばす。
【断】
「ドライゼよ、これが何かわかるかえ?」
【ドライゼ】
「これは・・」
洞窟の入り口にあるのは、恐らくギルドから派遣されたものの足跡と、洞窟の奥へと延びる何本もの何かを”引き摺った”痕跡。
【断】
「お主の見立て通り、侵入できる唯一の穴からでは、こんな跡が付くような荷物は入らん・・・人の引きずられた跡であろうの」
断はしゃがみ込むと、一つの”引き摺った”後へと指を伸ばす。
【断】
「この筋だけは他に比べて古いの・・・すっかり固まっておる」

断は指についた砂をこすり落とすと。
【断】
「これだけはもっと昔に出来た痕跡であるの・・・しかし、依頼は最近・・・」
断は立ち上がり村長にに近寄りながら。
【断】
「なんの跡であろうかの・・・例えば・・・怒れる土地神の贄にされたシスターが引っ張られた跡・・・とかの」



〜〜〜続く〜〜〜

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[10]第7話『化け物』
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【ドライゼ】
「うぉっ!?」
断は言い終わった瞬間に”気”を練って、軽くドライゼを殴り、吹き飛ばすと・・・次の瞬間に断を中心に円形の透明な壁が生成される。

断は透明な壁に触れると、ゆっくりと中心に戻り座り込む。
【断】
「半分ほど当てずっぽうであったが・・・正解ということでよいのか?」

うつむいていた村長はゆっくりと顔を上げると、急に笑い始めて。
【村長】
「せっかくの封印がの・・・今までは満足いくまで若い男を喰わせておけば止まったものを・・・」
【ドライゼ】
「喰わせておけば?詳しく聞かせてください」
素早く体勢を立て直していたドライゼは村長の背中に槍を突き立てて。
【村長】
「儂の話を聞く前に逃げるのを勧めるぞ・・・お主ぐらいのは”あれ”の好物だからの」
【ドライゼ】
「”あれ”・・・?」
【断】
「ドライゼよ、洞窟の方をみい・・・その男にさしたる危険はない故にの」

3人が洞窟を見ると、けたたましい叫び声と共に現れる、奇怪な物の怪。
5メートルほどの体躯の蜘蛛の化け物・・・・しかし・・・
【ドライゼ】
「女・・・性・・・?」
上半身は目を布で覆った裸の女性、否、頭頂部から太もも辺りまでが生えているといった感じか。
【断】
「なるほどの、喰うとは直接な意味ではなく、性的な意味も含んでおるのか」
【ドライゼ】
「へっ?」
【断】
「わからぬのか?あの化け物、バランスが悪くなるにも関わらず、生殖器を露出しておるではないか」

断とドライゼ話していると、蜘蛛の化け物は下半身からボトボトと別の化け物を生み出し始める。
人型ではあるが目は完全に退化し、顔の半分は口で覆われている。
人型の化け物は、3人を無視すると一目散に村へと降り始める。
【ドライゼ】
「くっ!!」
【断】
「まてっ!!」
人型の化け物を追いかけようとするドライゼに断は大声で止めに入る。
【断】
「ドライゼ、主はこの痴女をぶち殺せ・・・下はすでに手を打っておる故にの」



〜〜〜続く〜〜〜

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[11]第8話『喰らう』
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断が断言するのだから嘘ではないだろう、そして背中に迫りくる蜘蛛の脚の気配を感じ取ると。
【ドライゼ】
「おらっ!!」
目一杯に槍を振り、カウンターの一撃で脚を迎撃。
弾くことには成功したものの、脚が壊れる様子は微塵も感じ取れずに。

ドライゼは構え直すと、周囲に風を纏い辺りの小石を浮かせながら。
【ドライゼ】
(カウンターで全力で迎撃してもびくともしない・・・なら)
ドライゼは浮かせた小石をどんどんと蜘蛛の化け物の上半身・・・・むき出しになった人間の部分へと撃ち込んでいく。

蜘蛛の化け物は飛んでくる小石を脚で弾きながらも、捌ききれずに上半身に小石が命中するとけたたましい声を上げながら、ドライゼに脚を繰り出す。
【ドライゼ】
(よし、もっとこっちを・・・)
脚による連撃を器用に槍で捌きながら、ダメージにもならない程度の小さな一撃を入れ続ける。
そして、大ぶりの一撃を誘い出すと・・・・
【ドライゼ】
(回避っ!!)
ドライゼは槍を地面にひっかけて地面をえぐり取りながら大振りの一撃を回避すると、すぐさま風魔法で抉り上げた土や砂を巻き上げる。

すぐさまドライゼは固有スキルの”黒の世界”を発動させ、蜘蛛の化け物はドライゼを認識できなくする。
【ドライゼ】
(えーっと・・・心臓なんてあるのかな・・・とりあえずは頭を・・・)
ドライゼはゆっくりと蜘蛛の化け物に近寄り頭を貫こうとする・・・・しかし・・・・
【ドライゼ】
「っぅぅ!?」
蜘蛛の化け物が再びけたたましい鳴き声を上げると、周囲にショックウェーブのように衝撃が走り。
ドライゼは衝撃にぶつかると、槍を落とし、膝をついてしまう。

強烈な衝撃と音に平行感覚を失いながらも、何とか立ち上がろうとするが。
【ドライゼ】
「っ!!」
ドライゼに鋭い蜘蛛の脚が襲い掛かる。
何度も何度も切りつけ、皮膚ごと衣服を切り裂きながら、ドライゼの体力をどんどんと削っていく。

【ドライゼ】
「はぁはぁ・・・っぅ・・・」
ドライゼが仰向けに倒れると、蜘蛛の化け物はドライゼに覆いかぶさる。
上半身の女性の部分がドライゼにぐっと近づくと、ゆっくりと両手の指を絡めていく。



〜〜〜続く〜〜〜

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[12]第9話『クロ』
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【村長】
「あの少年なら、よい供物になってくれそうだな。悔しいか?お嬢さん?」
光の壁の中で座り込む断に、村長は光の壁に近づき話しかけると、断はすーーっと村長を指さして。
【断】
「後ろ・・・」
【村長】
「うん?」
【クロ】
「しっつれ〜♪」
村長が振り向くよりも先に、160真ん中程の背丈に、背中まで伸びたきれいな金髪の女性が村長の後頭部を掴み、光の壁へと叩きつける。

少し場違いな、紅いショートドレスを着たその女性は、まるで壁など無いかのように、断の元へと歩いていく。
【断】
「お主がアリスの呼んだ援軍で・・・間違いなさそうじゃの」
【クロ】
「ええ、アリスちゃんのママのクロよ〜♪よろしくね〜♪」
クロは断の元へしゃがみ込むと、断の両手を取りぶんぶんと振り回す。
【断】
(母親と娘は似ても似つかん時もある・・・という訳かの・・・・・)

クロは手を手を離すと立ち上がり、ドライゼの方を見ると。
【クロ】
「ところで、あの子・・・・あのままだと犯されて殺されちゃわない?」
【断】
「踏ん張りどころじゃの・・・あれは修行故」
【クロ】
「死にかけたことはあるけど死線は超えたことがない・・・あの子はそのレベルってことね?でも、犯されるのはかわいそうじゃない?」
【断】
「・・・確かにの・・・戦闘中の凌辱は屈辱中の屈辱よの」
【クロ】
「まるでそういう目にあったことのあるいい方ね・・・・ねぇねぇ♪どんな事されたの〜?」
からかいながら断の頭を指でこずいていると、断は一閃、居合を放つ。

【クロ】
「触れられたくなかった?・・・まぁいいわ。私は村の方に行ってくるからまた聞かせてね〜♪」
いつの間にやら翼を展開し、飛び上がっていたクロは、また壁を無視して村の方へと飛び去って行く。

【断】
「・・・・・また、面倒な女狐が増えてしもうたの」
飛んでいく黒を見上げながら、断はゆっくりと立ち上がり、光の壁へと歩いていくと。
【断】
「あまりやり過ぎては、またルリカやマウザーに怒られるの・・・・妾もそろそろ行くとするかの」
光の壁に手を当てると、軽く”気”を当てて、光の壁を粉々に砕くと、ゆっくりとドライゼの元へと歩いていく。



〜〜〜続く〜〜〜

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[13]第10話『強者×強者』
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依頼先の村

人型の化け物襲撃中


蜘蛛の化け物がまき散らした人型の化け物は、村に入り込み、手あたり次第人に襲い掛かっていた。
戦闘能力はそこまでなく、村人でもなんとか追い払える程度だったが問題は外皮の固さ。
いくら剣を振り回して追い払おうが、村人では傷一つ負わす負わすことは出来ずに、何度も何度も襲撃され続けるが・・・

化け物の集団に豪風が吹き込むと、アッという間に化け物はばらばらに・・・・
【ギルス】
「アカ、リナ、外皮が相当固いぞ。空いた口を狙って撃破しながら、住民を一か所に集めろ」
【アカ・リナ】
「はい!!」
ギルスの号令の元、アカとリナは村へと散っていく。

【ギルス】
「ルーク、お前は好き勝手にさせてもらう方がいいだろう?」
ルークは銃に火薬と弾を詰めながら。
【ルーク】
「ギルスこそ”上の”と話したいくせに」
【ギルス】
「・・・あぁ・・・ルーク、アカとリナをみてやってくれ、2人とも”この手の”化け物相手は不慣れだろうからな」
【ルーク】
「ええ、では行ってきますわ」
陽気な返事に、軽く敬礼をするとルークはアカとリナを追って村へと飛び込んでいく。

ルークと入れ替わるように、紅いショートドレスを纏った女性がギルスの前へと降りてくる。
【クロ】
「あらら?大きな塊があると思ってきてみたら・・・・普通の人間?」
【ギルス】
「君こそ人間っぽいが人間ではないな・・・・しかし、悪意もない」
2人が顔を見合わせていると、人型の化け物が2匹姿を現す。

【クロ】
「ということは、標的は同じね」
クロが手に込めた魔力を化け物にぶつけると、化け物は空間ごと捻じれて、バキバキと折りたたまれていく。
【ギルス】
「あぁ・・”彼女”から頼まれた”住民を守る”ことだ。」
ギルスが剣を振るうを、何の抵抗もなく化け物は真っ二つに。

【クロ】
「破壊と防衛ね・・・うふふ♪お互い頑張りましょうね」
【ギルス】
「あぁ」
2人は拳をこつんと合わせると、クロは飛び上がり化け物を空から排除し始める。



〜〜〜続く〜〜〜

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[14]第11話『死線』
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ドライゼは両手の指をしっかりと絡められれると、蜘蛛の化け物は脚を使い、器用にドライゼのズボンを脱がしていく。
【ドライゼ】
「っぅ!!」
同時に体液を傷口に垂らされ、痛みで身体が跳ね上がる。
【ドライゼ】
(落ち着け・・・・そうだよな・・・男を無理やり食うなら・・・体液には媚薬効果も・・・)

蜘蛛の化け物は体液を流し込もうと、女性の顔の部分をドライゼの顔にゆっくりと近づけてくる。
近づいてきた瞬間、ドライゼの脳内には吸血鬼たちに犯され、殺されそうになった瞬間がフラッシュバックする。
【ドライゼ】
「うぁぁぁぁぁっ!!」
ドライゼは叫びながら迫りくる顔に自らの額を全力でぶつける。
化け物は叫び声をあげ、ドライゼから少し離れる。
【ドライゼ】
(やっぱり!!吸血鬼よりは脆い!!)
ドライゼは咄嗟に手首を外向きに回転させると、化け物の指を折り。
【ドライゼ】
「とどめ!!」
手が解放された瞬間に、素早く化け物の顔を両手で掴むと、180°化け物の首を回転させる。
ボリボリと骨が砕ける音が聞こえ、蜘蛛の化け物はドライゼにのしかかるように倒れこむ。


【断】
「ふむ、どうやら犯されずにすんだようじゃの」
【ドライゼ】
「断・・・さん」
現れた断は、ドライゼの脇に手を入れ、ずるずると化け物の下敷きになるドライゼを引きずり出すと。
【断】
「動けるか?後、発情しておらぬか?」
【ドライゼ】
「・・・・動けないです・・・・発情は・・・・・まぁ、媚薬を入れられたので・・・・」
【断】
「うむ、ではお主の負けじゃの」
【ドライゼ】
「??」
不思議そうな顔をするドライゼに向かい、蜘蛛の化け物は素早く脚を伸ばす。
しかし、断の居合によって脚は切断され、宙を舞う。
【断】
「あれぐらいでは死なんということじゃ」
断は納刀すると、ドライゼを背負って。
【断】
「ほれ、一旦逃げるぞ」
【ドライゼ】
「うぁ!!」
断はドライゼを背負ったまま獣道を素早く村へと駆け下りていく。

標的を見失った蜘蛛の化け物は、気絶している村長に飛び掛かると、体力を少しでも回復させようと、その体を貪り食い始める。



〜〜〜続く〜〜〜

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[15]第12話『ヒロイン?』
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依頼先の村

断到着少し前

【クロ】
「すご〜い♪あんなことも出来るのね」

人型の化け物たちはルークの策でアカ、リナを追いかけている間に誘導されて一か所に集められていた。
【ルーク】
「これがアカちゃんの必殺!!性質変化ってやつかー」
集まった地点はアカの魔法によって地面の性質が変化させられ沼の様になり、化け物たちはそこにハマり動きを封じられていた。
【アカ】
「必殺とかやめてもらってもいいですか?恥ずかしいんで・・・」

ギルス騎士団が動きの止まった化け物を囲い、それをクロが空から見ていると、ドライゼを背負った断が姿を現す。
【断】
「流石よの、妾ではここまでうまくは出来んの」
【アカ】
(この女が断・・・まだ臨戦体勢?ひりひりする・・・)
【断】
「そこの女よ。少し持っておいてくれ」
【アカ】
「えっ?・・・・うあぁっ!!」
断がアカにドライゼを投げ渡すと、アカは何とか地面に転ばさないように、仰向けに寝転びながらもドライゼをキャッチする。
【ドライゼ】
「す・・すいません・・断さんが乱暴で・・」
【アカ】
「え・・えぇ、大丈夫だけど・・・・」
(ちょっと可愛い顔・・・でもなんでほぼ全裸?)

アカがしばらく抱き留めながら、ドライゼの顔を凝視していると。
【断】
「何を発情しておるのだ」
【アカ】
「は!!発情なんてしてません!!」
アカはドライゼを素早く下ろすと、とりあえずゆっくりと背中に担ぎながら立ち上がって。
【断】
「それよりも来るぞ・・・そろそろな」


【クロ】
「あら〜降りてきた降りてきた・・・ってすごい早いわね〜」
クロは村へと猛スピードで降りてくる、蜘蛛の化け物を見ながら、手に魔力を集中させていく。



〜〜〜続く〜〜〜

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[16]第13話『断』
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【アカ】
「何・・・あれ・・・・」
【リナ】
「ほらー、やっぱり怪獣大戦じゃないですかー」

蜘蛛の化け物は素早く、クロが空から放つ魔法を避けながら断達に迫ってくる。
【断】
「何をしとる。とっとと当てんか」
断は空を飛ぶクロに大声で叫ぶと。
【クロ】
「馬鹿言わないでー早いし、無鉄砲に撃っちゃうと色々危ないでしょ〜」

【アカ】
「それじゃ私達が足止めを・・・・ドライゼさん、降ろしますよ?」
ドライゼを降ろそうとするアカの肩をルークがポンと叩く。
【ルーク】
「大丈夫大丈夫・・・多分こっちまではこれないさ」
【アカ】
「多分これ無いって・・・・」
怪訝な表情を浮かべるアカの元にギルスが歩み寄ってくると。
【ギルス】
「見てみろ。断が既に戦闘態勢だ」
アカが断の方を見ると、断は居合の構えを取りながら、じりじりと蜘蛛の化け物へとにじり寄っている。

【断】
「さぁ、いつでもきたまえ」
蜘蛛の化け物は高速で断に向かい脚を振り下ろすが・・・・断の身体に触れることなく切断される。
【断】
「遅いの・・・・全部斬るぞ」
断は納刀せずに身体を捻り、蜘蛛の化け物が体勢を崩すよりも先にどんどんと脚を切断していく。
脚をすべて切断された蜘蛛の化け物は地面に突っ伏し完全に動きを封じられる。
【クロ】
「じゃぁ遠慮なく〜♪」
クロは動かなくなった蜘蛛の怪物目掛けて魔力を放つと、空間ごと蜘蛛の怪物が捻じれ、噴き出す体液や血すらも捻じれていく。

蜘蛛の怪物は捻じれながらも、上半身が千切れ這いつくばり、何とか攻撃を逃れ逃走しようとするが。
【断】
「こっちが核であるな」
断は這いつくばる化け物の背中を踏みつけると。
【断】
「終わりにしようかの」
手に空間が捻じれて見えるほどの高密度の”気”を練りこむと。
【断】
「ふぅっ!!!」
そのまま拳を化け物の頭へと振り下ろす。



〜〜〜続く〜〜〜

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[17]第14話『戦力差』
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大量の土埃が風に流され、断が作ったクレーターが露になると、断は服の汚れを掃いながらギルス達の方へと戻ってくる。

【ルーク】
「すげーな、どこでどう斬ったのか全く見えなかったわ。なぁアカちゃん」
【アカ】
「・・・・・・・・えぇ・・・・・・・・」
アカは唖然とした表情で、ルークに何を話しかけられたのかもわからない様子で。
【断】
「重かろう、そろそろ降ろしてはどうじゃ?」

アカは断に話しかけられたことで、ハッと我に返るとドライゼを背負っていたことを思い出して。
【アカ】
「大丈夫ですか?歩けますか?」
【ドライゼ】
「えぇ、何とか・・・・」
ドライゼはアカから降りると、断の用意した予備の服を着始める。

【ギルス】
「断嬢、とりあえず事件のあらましを教えてもらえるか?」
断はギルスに事件のあらまし、言い伝えの嘘と黒幕について語り始める。
【ギルス】
「・・・なるほど・・・とりあえず村の人々への説明は俺達がした方がいいかな?」
【断】
「うむ、そうしてもらえると助かるの・・・というよりもお主等が適任であろう」


ギルス達が住民を集めて説明をすると、今日は村でもてなしてくれることが決まった。



〜〜〜続く〜〜〜

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[18]第15話『クロと断』
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深夜

依頼先の村・戦闘跡地にて


ギルス達の説明によって、シスターを無理やり生贄にした関係者が拘束され、近々、新しい上役が選出される運びとなった。
解決に関わった断・ドライゼ・ギルス騎士団・クロは盛大にもてなされた・・・・・そんな日の深夜。


【クロ】
「いや〜美味しいものばかりだったわね〜♪」
【断】
「うむ、シンプルながら美味い食事であったの」
クロと断は人気のない深夜、荒れた戦闘跡地で会話をしていた。

【クロ】
「で?聞いちゃっていいかしら?」
【断】
「うんっ?何か気になることでもあったかえ?」
【クロ】
「アリスちゃんとの仲よ」
断はその場に座り込むと。
【断】
「仕事仲間・・・喧嘩友達・・・・うむ、どれも少し違うかの・・・」
断が考え込んでいると、クロは断の後ろに回り込み。
【クロ】
「こういう仲じゃないの?」
【断】
「うんっ!?・・・・んっ・・・・」
クロは断を後ろから抱きしめ、頬に手を当てると、唐突に唇を重ねる。

しばらくの沈黙・・・断は力を込めてクロを振り解くと。
【断】
「なっ・・・お主・・・・なにを・・・・」
断は呆気にとられた表情で、少し頬を赤らめながら、あたふたとしていると。
【クロ】
「あら?そういう表情もするのね〜♪可愛いわ〜♪」
そういいながら、手に魔力を込める。
【クロ】
「このクレーターも捻じ曲げるのよね?多分肉片は残ってないと思うけど・・・・」

断は急いで立ち上がると、クロを無視して急いで立ち去ろうとするが。
【クロ】
「覚えておいてね〜♪アリスちゃんにぴったりの相手か・・・・先ずは私が確かめに行くから〜♪」
【断】
「・・・・・・狂っておるな」
【クロ】
「ええ、悪魔の席を奪った女よ。狂ってて当然♪」

いそいそとその場を後にする断を眺めながら、クロは最後の仕事に取り掛かる。



〜〜〜土地神・完〜〜〜

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