【怪奇譚J】『幽霊馬車』





黒服団が出会う奇妙な事件や、伝承にまつわる事件。

日常に突如として現れる非日常。

その馬車の行く先とは…

ルリカ

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[1]第1話『偶然の出会い』
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午前10時/ルブル/暁甘味処付近

【マウザー】
「だーちゃん?今日はちゃんとお金持ってきた?そろそろ返してくれないともう貸さないよ?」
【ダネル】
「だいじょ〜ぶ」
ダネルはマウザーを見上げながら、へなっとしたブイサインを向けると。
【ダネル】
「今日は〜持ってきたし〜後で返す〜〜」

マウザーとダネルは暁甘味処へと平和な会話をしながら歩いていると、ダネルがマウザーの袖を引く。
【マウザー】
「どうしたの?」
【ダネル】
「あれ〜おかしいよ〜」

ダネルの指差す先・・・2匹の馬が引く馬車
【マウザー】
「あの馬車が?・・・・・・!?」
馬車自体はいたって普通に見える、しかし、馬車に通行人がぶつかりそうになった瞬間、ダネルとマウザーの視界は非日常へと誘われる。
通行人は馬車をすり抜け、何事も無かったかのように歩き続ける。
しばらく観察しているとそんなことが何度も何度も繰り返されて・・・・・・

【ダネル】
「ねぇ〜〜おかしいでしょ〜〜」
【マウザー】
「確かに・・・あっ・・・」
2人が不審な目で見つめていると、馬車から御者が降りてきて、2人の下へと近寄ってくる。
マウザーはとっさに構えるが・・・
【御者】
「ちょ、ちょっと待ってくれたまえ!!お嬢様方!!」
御者は焦ったように頭からローブを外すと、手を上げて近寄ってくる。
【御者】
「生きてる人で”幽霊馬車”が見える人が珍しいから、ついつい近寄ってしまっただけだよ」

マウザーとダネルは顔を見合わせると…
【マウザー】
「とりあえず…どこかのお店でも入って、お話をお伺いしても?」



続く

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[2]第2話『質問』
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昼前/暁甘味処/奥の個室


暁は後で話をすることを条件に、簡単に奥の個室を3人に貸してくれた。

3人はお茶と菓子を受け取ると、マウザーが口を開く。
【マウザー】
「えぇっと…何から聞くか迷うんですが・・・あれはいったい?」

御者はお菓子を食べお茶を一口飲むと口を開く。
【御者】
「幽霊馬車、文字通り死人を運ぶ馬車だよ。普通は生きてる人には見えないものだが・・・・・・」
御者は夢中で和菓子を食べるダネルの方を見ると。
【御者】
「そちらのお嬢さんは不思議な身体をしている・・・そのせいだろう」

【マウザー】
「質問を変えますが、あなたも死人なの?」
【御者】
「いやいや、私は雇われた普通の人だよ・・・・・・あぁ!!気にしないでくれ、仕事上よく間違われるんだよ」
失礼なことを聞いたと思い、顔を伏すマウザーに焦るように御者はフォローをする。
【御者】
「危険度の割には待遇が良くてね。少し制約は多いのだが・・・・・・」
【マウザー】
(雇われ…制約…待遇……霊を運ぶ仕事?)

【マウザー】
「……一体どこへ向かってるの?」
不味い質問かと思いながらも、気になって聞くと、御者の男は案外軽く口を開く。
【御者】
「”何処にも”向かっていない……正しく言うなら”巡回”しているともいえる」



続く

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[3]第3話『暁の推測』
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部屋の外で御者と暁が話している声も耳に入らず、マウザーは考え込む。


部屋の襖が開くと暁が入ってくる。
【暁】
「ありがとうね〜新しいお客さん連れてきてくれて♪2人の今日の御代はタダにしとくよ♪」
暁はだらーっと手を挙げて喜ぶダネルの頭を撫でると、ゆっくりとマウザーの正面に座りこむ。
【暁】
「気になるんでしょ?あれの答え・・・」
【マウザー】
「わかるの!?」
のんびりとお茶を飲む暁に、テーブルに手を着き攻め寄る様にマウザーは身を乗り出す。
【暁】
「残念だけど、死後の世界があるか?という問いと同じく、答えは死んでみないとわからないね〜」
【マウザー】
「そう・・・ですか」
落ち着いて座りなおすマウザーに、相変わらずニコニコと笑いながら暁は見つめると、口を開き始める。
【暁】
「でも、推測することは出来るね〜♪断と違って学問の類は苦手だけど、そういうのは得意だよ♪・・・だから聞かせてよ・・・君が彼に聞いたこと」

マウザーは彼に質問したことと、彼からの回答を暁に伝えると、暁は少し考えるように黙り込み、そして口を開く。
【暁】
「ねぇ?君はまだ生たい?」
【マウザー】
「へっ?・・・まぁ・・・それは・・・」
【暁】
「そういう時に死んじゃった・・・未練のある霊が、あれには乗ってるんじゃないかな?」

もぐもぐと和菓子を食べ続けるダネル……マウザーは暁の話を真剣な目つきで聞き続ける。
【暁】
「そういう霊を甘言で誘ったり、無理やり載せて、オーナーはそういう霊を見て楽しんでいるんじゃないかな?」
【マウザー】
「楽しむ・・・っていうのは・・・?」
【暁】
「人はいつまでも死者にかまっては生きていけない。自分がいなくても正常に動く日々を馬車の中から見てもらうって感じかな〜?」

そのときダネルがぴょこっと手を挙げる。



続く

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[4]第4話『ダネルの推測』
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【ダネル】
「そうなると〜すり減らし〜だね〜」
【マウザー】
「すり減らし・・・って?」

ダネルはお茶を飲んで一息つくと。
【ダネル】
「”未練”にすがりつき〜。例えば〜もっと生きたい〜なんて思って〜馬車に乗っても〜」
暁は興味深そうにお茶を飲みながらダネルの話を聞き続ける。
【ダネル】
「直ぐに気づく〜ただ霊として〜人生が〜間延びしてるだけ〜」
ダネルはお茶を飲み干して再び口を開く。
【ダネル】
「そうなると〜後は精神のすり減らし〜発狂〜憔悴〜抜け殻〜」
マウザーは生唾を飲みながら、ダネルの次の言葉をタダひたすらに待つだけ・・・
【ダネル】
「これは〜呪術〜そうやって〜抜け殻になった霊力を〜回収する為の〜」

マウザーは目の前のお茶を一気に飲み干すと。
【マウザー】
「だーちゃん?それだと凄く回りくどくない?」
【ダネル】
「これは〜趣味と実益〜。暁の言うとおりに〜変態趣味と〜霊力回収用の〜」

【暁】
「僕からもいいかい?」
暁は先ほどのダネルを真似るようにぴょこっと手を挙げると。
【暁】
「仮にそんな趣味がなかった場合、呪術としては効率悪い?」
【ダネル】
「そんなこと〜〜ないよ〜〜…セーフティ〜、霊力収集は危険だけど〜〜これなら完全セーフティ〜…でもね〜」
【マウザー】
「でも?」
【ダネル】
「呪術や〜呪いは〜対策してないと〜自分に返って〜くるよ〜」


マウザーとダネルは仮定ながらもいやな話し合いを終えて、暁甘味処を後にする・・・



〜〜〜幽霊馬車・完〜〜〜

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