【怪奇譚M】『異常者』





黒服団が出会う奇妙な事件や、伝承にまつわる事件。

新黒服団員現る!?

彼女の入団テストとその先にある結末は…

ルリカ

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[1]第1話『テスト』
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昼食後/黒服団詰所/ルリカの執務室


ルリカは自分のテーブルへと腰掛ける断を見上げると、自らもテーブルへと飛び乗り、資料を広げ説明を始める。
【ルリカ】
「フォスターさんと入れ替わりで幹部になる人の話ですが…」
【断】
「黒服が広がりながらも練度かまだまだ。そのための各地へと講習だったかの…大変よのあの男も」
【ルリカ】
「1番黒服として真っ当な仕事をしていたのがフォスターさんですからねー」

ルリカは1枚の資料と数枚の束ねられた資料を断へと手渡す。
【ルリカ】
「それがテストして欲しい女性と、そのテストとなる“秘匿事件”の概要になります」

断は手渡された資料に目を通しながら、煙管を咥え火をつける。
【ルリカ】
「断さんなら危険はないとは思いますが、一応もう1人同行者をつけます。その方が査定はしやすいでしょう」



続く

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[2]第2話『新人宅』
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翌日/ルブル市内/アリシア宅/アリシアの部屋


【断】
(金持ち……かの…)
アリシアの自宅に招かれた断は部屋を隅々まで見渡す。
家具から小物、用意されたティーカップに至るまで、素人目にもわかる高級品の数々…

【アリシア】
「貴女が断さんだね?」
その高級品に包まれた部屋のソファに座り込むのは耳をピコピコと動かす笑顔の女性…
【アリシア】
「よく来たよく来た!まぁ、座りたまえよー」
【断】
(人のことを言える性格ではないが…テストというのに随分とまあの…)

断はアリシアに促されるままにアリシアの正面の椅子に座り、早速テストの話をしようとした時…
【ゲパード】
「遅れましたー。ステアーがこれないそうですー」
ゲパードが小さなカバンを下げて入ってくる。



続く

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[3]第3話『早速のお怒り』
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【アリシア】
「ほむ!可愛い男の子!!さぁさぁ、ここに座って!!」
【ゲパード】
「えっ?俺?可愛いお姉さんの誘いは断れないなー♪」
アリシアがポンポンと勢いよくソファを叩くと、ゲパードはアリシアの隣へと座り込む。
【断】
(こやつら……)

断は何とか怒りを押さえると、煙管に火をつけ煙を燻らせる。
【断】
「早速だが事件の説明をの…」
【アリシア】
「ねぇねぇ、金貨いくらで全お触りOKだい?」
【ゲパード】
「別にそういう仕事はしてないんだけどなー……でも、お姉さんタイプだし食事をしながらどっか行く?」
【アリシア】
「お〜♪可愛い子からのお誘いとは♪」
【断】
「…………」

断は煙管をテーブルに置くと、荷物から脇差を取り出し、ゆっくりと鞘から抜き、イチャつく2人の間に振り下ろす。
【断】
「おい貴様ら!!正座せい!!」
大きく息を吸い、怒号をぶつける。



続く

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[4]第4話『元拷問官』
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断の怒号に気圧され床に正座したアリシアとゲパードは、断に渡された資料をめくり、事件の概要を頭へ入れ込んでいく。

【断】
「その資料にある女こそ、ルリカやイズマッシュのような者へと暗殺の依頼が届く、いわゆる表に出ない事件と言うやつじゃの」

断が煙管に火をつけるとゲパードは手を挙げる。
【ゲパード】
「拷問好きの殺人鬼でしょ?なんで表に出せないのさ?」
【断】
「書いてあるであろう?元国の雇われ拷問官だと……」
【アリシア】
「ほむほむ…検閲のない手書新聞などで記者と言われる人々が力を持つ今、元国の人間の不祥事など大々的に表に出せないと…」

断は自分で言おうと思っていた事が、アリシアの口から言われると、少し目を丸くしながら、ゆっくりと煙を吸い込み吐き出す。
【断】
「魔法学校の講師だったかの…流石に聡いではないか」
【ゲパード】
「なるほどねー…これをハントすればいいんだね?」

ゲパードは正座に疲れて脚を伸ばすと、以下にも面倒くさそうと相手の女の顔でも想像しているのであろう…少し上を向く。
【断】
「相手は異常者であるが、ただの拷問官…アリシアの入団テストも兼ねておるゆえ…」
【アリシア】
「異常者の狂気に耐えれるかかい?…望むところだねー」

3人は資料を丸めると、早速出かける準備に取り掛かる。



続く

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[5]第5話『暗殺開始』
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深夜/ルブル郊外/犯人の自宅


【断】
「邪魔するぞ」
断は扉を切断すると、切れた扉を蹴り飛ばし、堂々と正面から家の中へと入っていく。
【アリシア】
「ほむほむ、これが強者の余裕というやつだねー」
【ゲパード】
「いや、暗殺でしょ?こんなに派手にしちゃっていいの?」

抜き身の脇差を肩に担いだ断の後ろを2人は、それぞれの思いを口に出しながらついて行く。
【断】
「後処理までは任されておらん。処理は全て後に任せればよいが…ふむ…」
【アリシア】
「留守のようだね。それにしても…至って普通の部屋だ」

アリシアが部屋を見渡すが、部屋の中は至って普通…書物は綺麗に棚に収められ、家具も掃除されたばかりというような綺麗な部屋。

断は棚の書物を手に取り調べ始めると、ゲパードは食器を手に取り調べ始める。
【断】
「ふむ…ゲパードよ?そちらはどうじゃ?」
【ゲパード】
「使った様子がないねー」

何を話しているのか、首を傾げるアリシアへと断は顔を向けると…
【断】
「調査は間違っておらんとすると、この部屋自体はダミーの部屋じゃの」



続く

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[6]第6話『ダミー』
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【アリシア】
「ダミー?」
【断】
「うむ、人を招き入れる用のダミーの部屋である。その証拠に食器だけでなく、書物にも読んだ形跡はないが…」
断は目に見える書物を片っ端から床に落としていくと、本棚の奥から、読み込まれたであろうボロボロの書物が姿を表す。
【断】
「拷問道具…解剖学…医学書…人を拷問せしめて殺すのが好きな犯人らしいの…」
断は1冊の本をペラペラと捲り始める。

【ゲパード】
「どっかに隠し部屋があるよね、多分。何処かの部屋の床下かな?」
断は書物を棚に戻すと、脇差を鞘に戻し、柄に手をかけながら、床を足で叩き始める。
【断】
「子供…女…戦闘力のない男……被害者を見るに相手の戦闘力は大したことはないが、戦闘準備はしておくに越したことはないの」
【アリシア】
「流石の推察力だ!!やはり強者というのは頭も切れるんだねー!!」
アリシアはテンションをあげると、別の部屋へと走り出す。

【断】
「ちっ…誰も手分けするとは言うておらんのに…ゲパードよ。あれを監視しておけ」
【ゲパード】
「はーい。でも部屋を出た途端に静かだねー。ひとりの時はマトモなのかなー?」

ゲパードは断とひとしきり意見を共有すると、アリシアの後を追い部屋を出ていく。



続く

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[7]第7話『穴』
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【ゲパード】
「断さーん。穴みつけたよー」

ゲパードが穴を見つけたという報告に、断はゲパードが穴を見つけた部屋へと移動する。
【断】
「ふむ、ぽっかり…といった感じじゃの」
断とゲパードは床の半径1メートル程のきれいな円形の穴を見下ろすと、ゲパードは穴の縁へと足をかける。
【ゲパード】
「今にも開けた穴って感じだね…それっ」
ゲパードが穴の縁を蹴り上げると、床板に見せかけた長方形の軽いボードがめくれ上がる。

【断】
「という事はこの穴はアリシアが開けたものであるか、なかなの魔法よの」
【ゲパード】
「でどうする?もちろん行くでしょ?」
【断】
「無論。しかし、これだけの魔法を使えるのであればもう終わっておるかもしれんがの」

断とゲパードが穴へと飛び込もうとしたその瞬間…
【アリシア】
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

穴の奥からアリシアの悲鳴がこだまする。



続く

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[8]第8話『犯人』
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深夜/ルブル郊外/犯人宅地下室


【断】
「ほうほう、これはまた…」

穴の下に広がる地下空間。
断とゲパードが飛び込み、壁にかかるカンテラの先に広がっていたのは、磔台に拘束されるアリシアとそれを見つめる1人の女性。
【ゲパード】
「断さん、予想外したねー」
【女性】
「誰?」

断は脇差を抜き放つと、足元の小石を蹴り上げ女性へと蹴りこむ。
蹴り込まれた小石を女性は造作なく払う、その何気ない行動によって断の頭には疑問がわいてくる。
【断】
(あれを払った?単純な隙を作るためのあの小石を……)

目の前の女性…まぎれもなく狂気的な人物だが、襲ったのは戦力のないものばかり。
【ゲパード】
「断さんどうするの?距離的に僕がやる?」
【断】
(何かあの女に秘密が…?出なければアリシアの戦力分析に間違いが……)

ゲパードを手で制しながら、もう少し周囲の状況を確認しようとした最中…
【アリシア】
「逃げろ!!!!」
アリシアの叫び声が響くと、断とゲパードを戦闘モードに移行する。



続く

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[9]第9話『違和感と不信感』
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断は脇差を納刀すると、じりじりと鉄球を構えるゲパードへとすり寄る。
【アリシア】
「くっ…かなりのピンチだね…」

アリシアの言葉聞き、犯人へと威嚇の様に目を細めて睨みながら、ゲパードに小声で喋りかける。
【断】
「ゲパードよ。何を言っても怒らん、この状況をどう見る」
【ゲパード】
「…お姉さんが捕まってる。後、あの女が怖すぎて僕好みじゃないね」
【断】
「ふむ…」
【アリシア】
「放せ!!離さないと後で後悔することになるぞ!!」

断は女性に軽く“気”を当てると、犯人は少したじろぎながらも、拘束したアリシアを口に猿轡をかませる。
【断】
(何故魔法を使わん……魔法使いであるなら拘束などほぼ無意味…それほどまで危険な敵か?)
【ゲパード】
「断さん?やっちゃう?」
ゲパードは鉄球をポンポンと弄びながら、何時でも投げれる体勢をとっている。
【断】
(ゲパードの戦い方は、その警戒心をもって安全圏から投擲…)
断は余裕そうなゲパード、拘束を解こうと暴れるアリシア、そして凶器に手を伸ばそうとする犯人を見比べる。
【断】
(ゲパードが余裕という事は、しょせんその程度の相手……ならなぜあそこまで拘束され不利に陥る?)

断が考え込む中、犯人は鉈を手に取る。
【ゲパード】
「なんか知んないけど、流石にね」
ゲパードは女性に向けて鉄球を投げ込む。



続く

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[10]第10話『解決?』
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ゲパードの動きに女性は反応はするものの、回避は出来ずに鉈を握る手に鉄球が直撃し、骨が砕ける音が部屋へと響き渡る。
【ゲパード】
「直撃したね。じゃぁもう一丁」
ゲパードは素早く振りかぶると、次は犯人の頭へと向かって投げつける。
先ほどと同じく、もちろん避けれる訳もなく、犯人の側頭部へと骨が砕ける音と共に鉄球がめり込み、女性は意味不明な言葉を吐きながら、その場に倒れこむ。

【ゲパード】
「死んだ……かな?」
【断】
「あれだけ頭部が陥没しておれば死んでいるであろう」
断は脇差を抜くと、疲れたのか大人しくなったアリシアを括り付けるロープと猿轡を切断する。

【断】
「おっと、大丈夫かへ?」
【アリシア】
「…あぁ、別に…」
倒れこむアリシアを受け止め、安否を確認する。
ケガはないようだが、どこか先ほどまでの熱が去っている。

【断】
(恐怖で竦んだ…というふうには感じんの…むしろ逆)
アリシアの表情は、何故か不服そうに歯を噛みしめている。
【断】
「なんじゃ?磔にされて悔しかったかの?」
【アリシア】
「うーん…まぁ、練り込んだ魔力を無駄になったね」
そういうと、アリシアは拳を強化し、磔台を素手で握ると、磔台の一部をむしり取る。
【断】
(あの魔法…あれを使えば拘束を解くことはおろか……)

断が再び考え込む中、ゲパードの声が響き、3人はその場を後にする。



続く

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[11]第11話『アリシアという女性』
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2日後/昼/黒服団詰所内/フリースペース


断は用意されたお茶を1口飲むと、アリシアについての質問を口にする。

【断】
「マサダよ……なんだあの女は?」
【マサダ】
「アリシアですか……」

マサダは断の質問に言葉を選びながらも答え始める。
【マサダ】
「彼女は時折、英雄を演じたがるのです」
【断】
「……意味がよくわからんが?」
【マサダ】
「真剣な時は至って真面目な女性なのですが、どうも余裕がある時はその傾向が強く出てしまって…」
【断】
「ということは、今回の事件はアリシアにとっては余裕だったということかへ?」
【マサダ】
「…恐らく。わざと捕まり、断さん達が駆けつけるタイミングも測り、断さん達の前でピンチになりながらも最後には劇的に勝利する…そうしたかった可能性があります」
【断】
「理由は?」
【マサダ】
「この事件がアリシアの入団テストだったから…見せたかったのでしょう、自分の勇士や実力を」
【断】
「……………お主の考えでよい…危険か?アリシアは?」

断は煙管を取り出し火をつけると、マサダは困ったような顔を浮かべる。
【マサダ】
「アリシアは魔法学校では2人しか使えない特別な魔法を持っています。魔法学校の教授陣も、危険性を度外視しても能力の方が勝っているという見解です」
【断】
「めんどうなのがまた増るの…」
断は煙を燻らせると、空気にとけゆく煙を眺める。



続く

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[12]第12話『こちらもまた曲者』
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夜/黒服団詰所内/ルリカの執務室


【断】
「雇っても問題なかろう」
【ルリカ】
「そうですか…それなら手続きと、マウザーさんに服も用意して貰いましょう」

断の一言を聞くや否や資料の準備を始めるルリカの元へと、断は歩み寄っていく。
【断】
「ルリカ…お主知っておったのであろう?あの女の性格を」
断はルリカのテーブルに腰掛けると話を続ける。
【断】
「今にして思えばステアーの急用というのも怪しいものよ…妾とゲパードで試したのであろう?」
【ルリカ】
「ええ、そうですよ」

予想外の回答だったのだろう…面食らう断にルリカは話を続ける。
【ルリカ】
「元々から雇うつもりでしたからねー」
ルリカは立ち上がると資料を手に取る。
【ルリカ】
「それではアリシアさんに採用の報告と採寸に行ってきますね」

【断】
「どやつも怪奇よりも達の悪い……」
ルリカが部屋を出ていくと、断はぼそりと呟く。



〜〜〜異常者・完〜〜〜

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