【怪奇譚P】『覗く者』





黒服団達が出会う奇妙な事件や、伝承にまつわる事件。

ルブル市内にいくつも点在する魔法道具店。

魔法道具店での何気ない日常…いつも通りの日常…しかし、その日常はいとも簡単に崩れ落ちる…

ルリカ

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[1]第1話『魔法道具』
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「おっ? マサダじゃねぇ?」

「グローザ? 珍しいね。こんな店で合うなんて」

マサダ、グローザ…そして

「お久しぶりです」

「なんだ?デートか?」

マサダと一緒に買い物に来ていたのは、畳んだ日傘を片手に持ち、オシャレをしている様子のエリザ。

「違うよ。エリザはうちの生徒だからね。日傘を杖がわりにしてるけど、そろそろちゃんとした杖を…と思ってね」

「ふぅーん……そうだ、あたしの杖も選んでくれよ」

「グローザさんは剣士ですよね?杖なんて使うんですか?」

「一応…多少だけど炎も使えるしなー。持っとこうと思って」

「なるほどね。なら選ぼうか、グローザなら種類を選ばず使いこなしそうだけど…」

3人は棚に綺麗に並べられた杖へと手を目を落とすと、来客が多く賑わいをみせる中、杖を選び始める。



続く

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[2]第2話『???』


今日の場所はかなり人が多い。

昨晩の酒場やこの前の冒険者ギルドもかなり賑わっていた。

ただ、ここは何か少し違う……そうだ、魔素が濃い。

いや、単純に空間内の魔素が濃いというのではなく、体に魔力を溜め込んだ人間が多い。

なるほど……



続く

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[3]第3話『杖とは?』
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「なぁマサダ?魔法道具屋って何件もあるけど、自分で作ったりはしねぇのか?」

「自分で作る人もいるけど、グローザの刀だって専門の人が作るだろ?」

エリザが棚に目を落とし、無言で真剣に杖を選ぶ中、グローザは気になっていた質問をマサダへとぶつける。

「まぁ確かにあたしは刀鍛冶は出来ねぇな」

「ここは販売に修理、持ち込んだ素材を使って上位の杖も作ってくれる。いわば作り手のエキスパートが揃ってる」

「お抱えの……的なのもいるだろ?」

「アリシアとかそうだね。ここはお抱えやパトロンなんかのいない、魔法使い見習いみたいなお客が多い店かな」

「へぇ、エリザみたいな客が多いってことだな。なぁ、エリザ」

グローザが呼びかけるが、エリザは2人の会話も耳に入らない様子で真剣に杖を選び続ける。



続く

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[4]第4話『????』


なるほど、ここは杖や魔法道具を扱う店だということか…

となればここに来る客は少なからず体内に溜め込んだ魔力が多く、それが周囲に漏れることで魔素も濃くなるというわけだ。

危険といえば危険…しかし、それを超えて得られるリターンは限りなく多い。

しかし危険性は魔法学校やギルドよりは極めて少ない。

あの眼鏡の男の言うことを真に受けるのなら、今から鍛錬を積むというものが大半なはず……

そして、魔法道具や杖が揃ってしまったら此処に来るのはかなり後のことになるということだ。

素早く食して、素早く魔力を取り込む。

後は一旦逃走…プランとしてはこれでいいはず。

さて、行動開始とするか……



続く

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[5]第5話『悲鳴』
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エリザとグローザは何本か候補を決め、握りを確認するとマサダの意見を聞こうとしたその瞬間……

「きゃぁぁぁ!!!」

ひときわに大きな悲鳴が店内に響き渡り、3人は素早くそちらの方向へと振り向く。

「あれ………」

振り返ったエリザが、震えながら指さす先に広がるのは異常な光景。

腹が裂けた、新鮮な血が勢いよく飛び出る……だが人々の視線は微かにその男性から外れている。

その男性の腹の上で、クチャクチャと行儀の悪い咀嚼音を立てながら、男性の死体を貪る女……

いや、それを女と呼称していいのか……



続く

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[6]第6話『視線の先』
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異常に白い肌…サラサラとした綺麗な髪…
しかし、人の身であるのは首の上まで。
首から下は無数の青い触手が畝り蠢き、器用に移動しながら男性の死体を食している。

何処からか雄叫びが聞こる。
それと同時にその化け物に向けて雷撃が落とされる。

「……すまない取り乱した……なんだあの化け物は…?」

グローザ達の後方にいた1人の中年の男性が小さな杖を化け物に向け雷撃を放つ。
冷静さを瞬時に取り戻したのか、男はさらに数発の雷撃を化け物へと放つ。

「無理もありません。あの光景は日常に飛び込んでくるには些か異様すぎる…エリザ、大丈夫かい?」

「ええ、何とか…」

異様な光景に腰を抜かしそうになったエリザにマサダは優しく声をかけるが…

「っ!?まだだっ!!」

経験によるものか…それとも才覚か…それともその両方か…
気配を感じたグローザは片手で素早く刀を抜くと、一直線に飛来する化け物を弾き飛ばす。



続く

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[7]第7話『異常な硬さ』
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グローザの言葉に周囲のものは弾き飛ばされた化け物を見直し、魔力を込め直したり、武器を構え戦闘態勢にはいる。

化け物は触手で壁に張り付くと、その無機質な目をギョロギョロと動かしながら、周囲を確認する様子をみせる。

(距離を測っているのか?……人間と同じような形をしているということは、それだけ知識を持っているということか…)

化け物を見据え、相手の力量を測ろうと軽く魔力を練り込むマサダの肩をグローザが叩く。

「最初から全力でいったほうがいい……握りの悪かったあたしも悪いけど…」

マサダがグローザの方を振り返ると、真っ先に目がいくのはヒビのはいった刀。

「刀だけじゃねぇ。指もヒビいってるわこれ…あたしは守りに回る…後は頼むわ?」

マサダは再び化け物を向き直すと、両足につけた皮のホルダーのボタンを外し、2本の短い杖を取り出す。

「エリザや他の客もいんだ…秒殺で頼むぜ」



続く

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[8]第8話『異形』
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なんだ?あの男とあの大きな女は?

秒やら何とか言っているが、私を秒殺ということなのだろうか?

あの男…確かに優れた魔力の質を感じるが、魔力の量は少ない、横の少女の方が量的には多い。

しかし、質は良さそうだ。食料としては十分……

あの男だ。あの男を喰って逃走出来たのなら、体を得れるかもしれない。

化け物は触手を畝らせ、曲げ、一気にマサダの元へと飛び込む。



続く

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[9]第9話『異形vs天才』
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「グローザ、俺は攻撃までは専門じゃないから…」

マサダが魔法壁を展開すると、化け物は構わずに魔法壁へと突撃してくる。

「ちゃんとトドメは頼むよ」

マサダの展開した魔法壁は化け物の突撃の勢いで、大きくたわむ…いや、たわむというより化け物の当たった所を中心に、布のように凹むといったほうか正しい…

「トドメってもな…」

「大丈夫、ちゃんと動きは止めとくから」

固ければ破られていただろう…
しかし、マサダの魔法壁は粘り気の強いゲル状の柔らかさをもち、単純な打撃では破れることはない…

そして、魔法壁はゆっくりと回転を始める。



続く

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[10]第10話『柔らかく』
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回転を始めた魔法壁は、布が石を包み込むようにどんどんと化け物を包み込み、その動きを奪っていく。

「どうなってんだ、それ?」

「硬いだけの魔法壁はすぐに壊れるから…こんな正体不明の生物には向いてない」

グローザは予備の刀を抜くと、捕縛された化け物の元へと近づき切っ先を魔法壁に当てる。

「これ刀は通るのか?」

「そこは大丈夫…打撃には強いけど、斬撃には弱い魔法壁にしてあるから」

「おっけー」

グローザは手に力を込めると、ゆっくりと切っ先を魔法壁に沈め、中にくるまれている化け物に接触すると、刀を亜竜化させる。

「やっぱり硬ぇ…でも動かねぇなら…」

グローザはその切っ先で皮膚を突き刺し、骨を貫通させ、脳まで届かせると、化け物の悲痛な金切り声が店内へと響き渡る。



続く

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[11]第11話『圧倒的逃走?』
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「ちっ…最後の最後までなんなんだよ」

グローザは化け物を踏みつけると、力を込め一気に刀を抜く。

マサダは魔法壁を解除すると、化け物に近寄り、しゃがみこむと、髪を掴んだり、触手を掴んだりして念入りに観察する。

「ちゃんと死んでんのか?」

「これだけじゃ分からないね……んっ?」

触手が少し動いた…
そんな感触を感じとったマサダは素早く立ち上がり、即座に魔法壁を展開させると、化け物は素早く跳ね上がり、奇声をあげ飛び跳ねながら、窓ガラスをぶち破り外へと逃げていく。

「逃げた……いや、あたしは確かにトドメ刺したからな?」

「うん、見てたよ…後の処理をどうするかだけど……」

マサダは再び動き出した化け物に腰を抜かしたエリザへと手を差し出し、ゆっくりとエリザを起こす。

「目撃者はいっぱいいるし、ひとりふたり減っても……グローザ、とりあえずエリザを家まで送ってあげてくれるかな?」



続く

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[12]第12話『友人からの手紙』
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我が友マサダへ


先の化け物の件の報告が衛兵の方へも上がってきたので、その報告の手紙だよ。

化け物…呼称は人頭。

捜索の結果、森で死体が見つかり即座に医者による解剖を行ったが、結果として人間の頭部と何ら代わりがないと。

人頭の下半身にあたる触手は類似する生物が見つからず、人工的なキメラという可能性も低い。

人頭の唯一の被害者となった男性が何かに感染していたと唱える論者も存在するが、人頭のサイズが腹から出てくるなどとは到底考えられない。

発生から解決まで多数の目撃のいる事件だが詳細が不明。

怪奇的な事件だが、これ以上の進展は望めないという結果で捜査は終了なった。


P.S.

グローザ様に指の怪我はお大事にと。


ザルマン・シェベス 



〜〜〜覗く者・完〜〜〜

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