12年前の通り魔殺人被告に接見



服役中の男が関与を告白したことを契機に、発生から11年後の2017年10月に容疑者の逮捕へと急展開した川崎市宮前区の通り魔殺人事件は、23日で発生から12年を迎えた。
今年3月に殺人罪で起訴された被告の男(37)は神奈川新聞の接見取材に定期的に応じ、自らの関与を改めて認め、当時の状況を説明した。
偶然路上で見かけた女性を追い掛けた後、「とっさに刺してしまった」と話し、謝罪の言葉も口にした。

報道陣のカメラに向かって中指を立て、激しい怒りをあらわにした逮捕時の目つきとは一変した印象を受けた。
5月上旬の横浜拘置支所(横浜市港南区)。丸刈り頭に無精ひげを生やした被告は、時折穏やかな笑みを見せ、ゆっくりとした口調で最初の接見取材に応じた。

事件は06年9月23日、川崎市宮前区梶ケ谷のJR貨物駅直下のトンネル内で発生。近くに住む女性=当時(27)=が胸と腹の2カ所を刺されて死亡した。
神奈川新聞はこれまでに十数回の接見や約30通の手紙のやりとりを通じて、事件の真相や獄中から告白した理由などを被告に聞いた。
女性の殺害を認めた被告は、今後開かれる公判でも起訴内容をおおむね認める意向を示した。

被告によると、事件当日、被告は車で帰宅中に徒歩で交差点を渡る女性を偶然見かけた。
所持していた包丁を手に車を降り、トンネル内で女性の腹を正面から刺した後、包丁が刺さったままの状態で1度は逃げようとした。
指紋の残る包丁を回収するためすぐに現場へ戻ったが、女性に抵抗されたことに逆上し、今度は胸を刺したという。

被告は胸を刺した際の殺意を認める一方、腹を刺したときの殺意は否定。
「とっさに(腹を)刺してしまった。なぜ刺してしまったのか、自分でもよく分からない」と振り返った。


■「出所したらまたやってしまう…」

2016年1月、厳しい寒さが続く冬の朝、捜査本部のある宮前署に届けられた1通のはがきの差出人を見た捜査員の体温は一気に上昇した。
《黒羽刑務所 鈴木洋一》。同じ宮前区野川の路上で当時40歳の別の女性が背中を刃物で刺された殺人未遂事件で懲役10年の判決が確定、栃木県内にある黒羽刑務所で服役していた男だ。捜査は一気に進展した。
「女性に虐待されたことがあり、刺したい気持ちになった」「(英国の連続殺人犯とされる)切り裂きジャックに憧れていた」「出所したらまたやってしまうと思い、警察に行こうと思った」などと“告白”に至った動機を語ったという。

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emoji[clock]2018/09/24 07:38emoji[house]

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