監禁生活 | 自由歓談・小説・日記・イラストなど

とりあえず妹を監禁してみました。
というのは、えっと、妹が警察に捕まらないようにするためです。
そして妹が意味不明だからです。
両親は健在です。
妹よ、なんでこんなことするようになったんだ…とか、いろいろと聞いてみたけど、全部「わかんない。いつの間にかこうなってた」っていうのと「とりあえずお兄ちゃん監禁してよ」とか、やっぱりよくわからない言葉を並べるばかりだった。
いつの間にかこうなっていたっていうところがだな。

そう思って妹を病院に連れて行った。
そしたら妹、病んでた。
病んでたっていうか、病んでた。
とりあえず医師の診断通りに俺なりに頑張って考えて整理してみて知った。
あの包丁、たぶん、どっかで小動物を殺したとか。
あるいは、自傷行為、と思ったけど、体に傷はなかった。
だけど小動物どうこうは立派な犯罪だ。
という推論しか、俺には何も。
どうしようとしか、言えない。
本当にどうしよう。
とりあえず、優しく楽しい監禁生活というマニュアルが必須だなと思った。

妹が俺に監禁された。
らしい。
らしいっていうのは、そのままの意味だ。
俺は監禁した覚えはないぞ。
だが、妹いわく、俺が監禁しちゃったことになっているらしい。
よくわからん。
わからん話だが、とりあえず言っておく。
妹はニートな二十歳。
俺は大学院生。
ここまでは健全だよな。
親も健在だ。
それがなんで監禁しろとかってなるんだよ。
って思っていた。
妹の「お兄ちゃんに監禁されちゃったのだー！」という宣言から始まった監禁生活から一週間後。
妹が血のついた包丁を持っていることに俺は気づいた。
どういうことなんだよと質問してみたら、答えはこう。
「ん？私、人を殺したかもしれない。
わからない。
でもこれって本物だよ。どうしようかな」
だった。
なんなんだよその淡々とした感じ。
ていうか被害者はどこだ。
そんでその包丁どうたらはどうなるんだ。
どう始末するんだ、こういう話。

というのが、俺と妹の監禁生活だ。
監禁生活、しないと、今度は、妹が警察に捕まるだろ。
そういう話になってしまったようにも思う。