‐物語集・十‐

>>181
それは、大瀧提督と初春が執務室で書類を整理していた時だった。

初春:何じゃ？
ん？もちっとゆっくり話さんか

どうしたのじゃ？
大瀧提督:どうした、初春？
初春:あぁ、港湾管理の方からの電話なんじゃが……、
大瀧提督:替わろう。
どうした？
港湾管理員:あ、大瀧提督。
今日は船舶による物資の搬入の予定は、確認出来ますか？
大瀧提督:え？物資搬入？
(書類をガサゴソ

)
初春。今日はそんな予定は、あったか？
初春:いや、記憶には無いがの？
港湾管理員:えっと、コンテナを満載した輸送船が三隻に、タンカーが一隻、横須賀鎮守府に入港許可を求めて来ているんですが……。
初春:どういう事じゃ？
大瀧提督:取り敢えず、港に行ってみるか。
初春。入港許可を出してくれ。
初春:了解じゃ。

……………………………………。

大瀧提督が、初春と当直の艦娘らとともに港に向かうと、合わせて四隻の輸送船が岸壁に接岸していた。

メリーランド:ホワット

この輸送船は？
雲龍:突然やって来たみたいですよ？
レーベレヒト・マース:何で横須賀鎮守府に来たんだろ？
グラーフ・ツェッペリン:船長に聞いてみるのが、早いんじゃなくって？

そこにヘリコプターが飛んできて、岸壁の一角に降りた。
そしてヘリコプターから降り立ったのは、神崎すみれだった。

すみれ:皆さん、ごきげんよう。
大瀧提督も、ご機嫌麗しゅう。
大瀧提督:こ、こちらこそ

しかしこの輸送船は、いったい……？
すみれ:事前にお知らせしませんでしたのは、お詫び申し上げます。
この輸送船は、先日の｢お詫びの印｣として、我が神崎財閥でご用意致しましたの。
陽炎:お詫び？
すみれ:はい。
先日のお兄様……。あ、もう｢お兄様｣ではありませんわね。
身内の者の働いた失礼に対する｢お詫び｣として、お爺様がご用意致しましたの。
初春:それが、この輸送船かや？
すみれ:はい。
燃料、弾薬、鉄鋼、ボーキサイト。
全てこちらでご用意出来る分を、お届けに参りましたの。
明細は、こちらの書類に。
あと、受領の判子を頂けませんこと？
初春:しっかりしとるのぅ

大瀧提督:では、物資の搬入を……。
すみれ:あ、この輸送船ごと提督どのに、差し上げますわ。
｢｢｢輸送船ごと

｣｣｣
ビスマルク:ど、どんな財閥なのよ

すみれ:あと、物資が足りなくなりましたら、いつでも私ども神崎財閥に一報頂ければ、すぐにご用意いたしますわ。
信濃:す、スケールが違い過ぎる

すみれ:それでは皆さん、ごきげんよう

皆が呆気に取られる中、すみれはヘリコプターに乗って去っていった。

……………………………………。

大瀧提督:どれだけの量の物資が、あるんだ？

初春:明細書じゃと、10万トン級タンカーの燃料と、三隻のコンテナ船に満載された物資の量を合わせても、向こう一年は補給無しでも充分じゃぞ

カリフォルニア:ワァオ……。
大瀧提督:まぁ、ともかく

我々は神崎財閥という｢後ろ楯｣を得たわけだ

初春:スケールがデカ過ぎて、頭が混乱しそうじゃわい

その後も神崎財閥は、横須賀鎮守府に対して何かと支援をして来るのであった。

続くよ～～