コピー
M聖王騎と妖女 聖王国パルナ王都− ここには国王の親衛隊ともいえる特記戦力が居を構えている。聖王騎と呼ばれる彼らは、全て災厄戦で活躍した勇者達である。災厄の魔王を倒したパルナ誇る英雄達、いずれは四大公さえも凌駕する存在になるだろうと国民は期待と賛美の声を送った。 しかし数ヶ月前、その一角が崩れた。聖王騎アイビー・メレンネイトが教皇の護衛中に心神喪失状態になったのである。虚空を見つめる瞳に光は無く、弱々しい呼吸と共に掠れた悲鳴を発し続けていると噂され、このままでは家名が汚れるとメレンネイト家はアイビーの弟であるリウトに聖王騎を継がせたいと国王に懇願した。 聖王騎とは災厄戦で活躍した勇者の称号であるが、それを栄誉としてでなく使命として精進するならば良いだろう。国王はそう言い、リウトの継承が決まった。 「ねぇシレーナ、今度の大会だけど…大丈夫かなぁ?」 豪華絢爛な法衣をぎこちなく纏うのは新聖王騎リウト・メレンネイトである。その傍らには人間より一回り大型の…聖女がいた。 「フフ、可愛らしいリウト様。貴方には私がついているではありませんか」 神に仕えし修道女をコンセプトにしているような清楚なドレスを着こなしているのは、ニュズ・シレーナという。 「そうだね、シレーナは僕よりもずっと強いから…。でも僕は姉様のようには戦えないから心配で…」 メレンネイト家は代々魔術に長けた家系であった。リウトはその中でも優秀な魔術師の素養を持っていたが、姉のアイビーは魔術に加えて武芸にも長け、信仰深い事から神聖術まで行使出来たのである。災厄戦においても、後方で前線補助をしていたリウトに対して、アイビーは災厄の魔王を討つという偉業を成したのである。 「ああ、リウト様。お姉様は確かに凄い方だったのでしょう。でも貴方はそのお姉様より凄いのですよ?」 俯くリウトの頭を抱き、ニュズ・シレーナは優しく話しかけた。 「確かにお姉様は文武に優れた御方のようですね。でもリウト様こそがメレンネイトの家名に相応しい力をお持ちです。歴代の当主達の中に、今のリウト様以上の召喚術を用いた者がいるのでしょうか?」 その声はビロードのようになめらかで、リウトの不安は次第に薄れていった。 「それは…いないと思う。もっとも昔は召喚術自体が注目されていなかったからかもしれないけど。でも…姉様が教皇様から賜った聖鎧(ホーリィ・プレート)を継承してからは確かに優秀な魔物の召喚に成功し続けて…いる」 「そうです!全てリウト様の実力です。私を召喚出来たのだって、そうでしょう?」 優秀な魔物に自らを臆面もなく重ねるニュズ・シレーナはリウトを抱っこする形で抱きしめた。 「シレーナは僕が本来召喚出来る魔物…いや人ではなかったよ」 「フフフ、ご存じでしょう?実力以上の魔物が召喚出来るのは…相性が良いからですよ」 ニュズ・シレーナの唇がリウトの頬や額を優しくタッチする。リウトは恍惚の表情で彼女の胸に抱きついた。快楽?いやそれとは異なる陶酔にリウトは堕ちていた。 「シレーナ…」 「フフ、ニュズとおっしゃって?リウト様。私が貴方に勝利を差し上げますから」 「うん…ニュズ、僕も頑張るよ。国の…いや君のために」 すり替わっていく戦う理由。完全に脱力しきっているリウトを抱きしめながらニュズは、彼にはみせなかった邪悪な笑みを浮かべていた。 「ええ、私のために…頑張って下さいませ。リウト様」 聖王騎リウト・メレンネイトとニュズ・シレーナ。得体が知れない妖女は大会で何を企むのか。Kと同じ聖王騎の称号を持ち、魔術家系においても随一の召喚術を誇る青年がどんな魔物を使役するのか。絶望という名の暗雲が大会に立ちこめていくようであった。
スレッドに戻る
妄想日和(グラビア掲示板)
掲示板カテゴリ検索
写メ/待ち受け
動画/ムービー
音楽/エンタメ
雑談/その他
趣味/スポーツ
無料レンタル動画まとめ
e-Movie
無料レンタルBBS
ebbs.jp