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Rリーマとリーランド 「おい。どこに行くんだ?お前達は」 突如現れた精悍な顔立ちの男がゴロつき達の首根っこを同時に掴むと、難なく持ち上げた。慌てて手足をバタつかせるゴロつき達を「静かにしろ」と軽く一喝すると、彼らは借りてきた猫のように大人しくなる。 「あ…リーランドさん。お久しぶりです」 「その節はお世話になりました」 「おお、君達だったか。なるほどカシム…いやカムア殿が来たという事だな」 リーマと同じく警ら用の制服を纏っている男は、丁寧に挨拶をするリオとアウルムに満面の笑顔で返した。ぷらーん状態のゴロつき達。 「リーランド隊長。こいつら私の事を失礼な二つ名で呼ぼうとしたんです!」 (あ、そこなんだ)苦笑するリオ。その隣でプンプン顔でリーマは直属の上司にチクっ…いや報告をしていた。 「加えて問題なのは、俺達の友人に対する迷惑行為だな。詰め所で話を聞こうか」 (優しいなぁ)リーマの私的なチク…報告を邪険にはせずに筋をきちんと通すのはリーランドの人柄を表していた。 「こいつらは俺が取り調べしておくから、リーマは彼女達を案内してやると良い」 「ありがとうございます。リーランドさん」 ゴロつき達をそれぞれ片手で持ち上げたままのリーランドは礼を言うリオとアウルムの言葉に少し照れながら、 「ああ、良いよ。そうだ。明日の予選会が終わったら祝勝会を催すから、あとで人数だけ教えてくれ」 「え、まだ予選を突破できるかは…」 「ん?出来ないと思っているのか?」 リーランドの言葉にリオとアウルムは、ブンブンと首を振った。 「そうだろう?じゃ、明日の祝勝会でな!」 颯爽と去って行く白聖騎…いや今は竜聖騎となったリーランド。 恩師の敵と思っていたKの真相を知り、彼を守る過程で成長した彼は、聖神と共にある聖竜の血を引く一族であった。事件中、恐らくは最強の刺客であったメリー・シープ・ヘヴンとの戦いの中で覚醒した彼は聖竜の力を行使する竜聖騎となったのである。 「リーランドさんって良い人だよねぇ」 その精悍な後ろ姿を何故か敬礼して見送るリオとアウルムはしみじみと呟いた。 「はい。とても立派な先輩です。全然未熟な私に優し…いや結構厳しいけど…指導してくれて…。リーランド隊に入れて私は幸せです」 本当に良かった。短い間ではあったがリーマと苦楽を共にしたリオとアウルムは心からそう思った。 「モグモグ。あー、やっぱりリーマさんじゃないですかー。モグモグ」 「本当なのです!リーマさんなのです!!モグモグモグモグ」 「良いからお前達は食べながら喋るの止めろよな…」 クレープ風やらたこ焼き風やら、リンゴ飴風やら綿菓子風なものを終始モグモグして歩いてくるのはルリカとリリーである。そしてこの二人の保護者風なのはティアであった。 「リン…いやリリーさんは相変わらず食べるの好きだね〜。ルカ…いやルリカさんは…相変わらず…ええっと」 「モグモグ。美少女ですかねー。そんなの言わなくてもーぐもぐもぐもー」 「うん、じゃあそれで」 ティアに「大変ですね〜」のアイコンタクトを取るリーマに「まぁな」と肩をすくめて応えるティア。ガールズトーク再び。 「そういえば… アイさん…アイシャさんは来てないんですか?」 「あー、シャネイは…」 かつてこの地に訪れた時はアイシャは淫聖衣(エロス)と名付けた露出度0の大型フルアーマーを纏っていた。「こうでもしないと人目につきますからね」この言葉が嫌みにならないアイシャの美貌は確かにここまでしないと隠せなかったのだ。 今回は身分を隠す必要はないのだが、かつての戦いで”勝利の女神”とか”美しき聖女”という二つ名がたくさん付くような活躍をしてしまったアイシャは「騒ぎになるといけないですからね」と観覧席が用意される本戦までは姿を見せない事にしたのだった。 「残念だな。私は本戦中は周辺警備だから会えないなぁ」 「いや、本戦に進めば居住区が用意されますからねー。試合外の時に会えますよー」 「あ、そっか。じゃあ非番の時に顔を出すね」 聖騎士見習いになって三ヶ月、基礎研修を終えたばかりのリーマは、初めての任務に緊張していた。大会のタイムスケジュール、警らシフト、非常時の連絡手段etc. 失敗が許されない重大任務に見習いでただ一人参加を許されたリーマは、推挙してくれたリーランドのためにも頑張ろうと奮い立っていた。故に余裕があまりない。 「もう少し肩の力を抜いた方がいいですよー。とりあえず予選後の祝勝会の事を考えていた方が健康的ですもぐもぐー」 小柄で少女にしか見えない見た目、おまけにモグモグしながらなのでやや説得力に欠けるが、ルリカは黒服団統括でもあり後進の指導には長けているのだ。 「ありがとう、ルリカさん。そうだね。まずは祝勝会か。…。あの…カシム君は…いやカムアさん、いやいや召喚術士K様…えっと…」 「呼び名はなんでも大丈夫だと思うよ。でもリーマさんにとってはカシム君…なんだよね」 何故かテンパってみえるリーマに優しくフォローを入れるのはリオである。 「うん… カシム君には色々とお世話になったからね。大会は危険だと思うから気をつけて欲しいなって」 聖騎士になろうと一念発起してウツロイシティに向かっていたリーマの危機を救ったのがKであった。呪いやら暗殺やらの関係で少年の姿でこの地を訪れたKは、父の名と母の旧姓を合わせてカシム・ファクサールと名乗り、アクシデント解決に向けて奔走したのである。 リーマはもうこれ以上無いだろうという体験をKと、彼を案じて駆け付けたリオ達とした。そしてこの出来事がきっかけとなって聖騎士見習いとなれ、今はその初任務中なのだ。 「それだけですかねーもぐもぐ」 「えっ そそそれ以外にいったい何が??」 モグモグが止まらないルリカの他愛ないツッコミにわかりやすくテンパるリーマ。 「…もう、ルリカは…。リーマさんが固まっちゃったじゃん」 リオはジト目でルリカを一瞥すると、何かしらを答えなければとマゴマゴしてしまっているリーマの肩に優しく手を乗せた。 「気楽に考えて良いんだよ。リーマさん」 「え、あ…はい。私はカシム君に無事にいて欲しい。それで良いですよね!」 リーマがマゴマゴから脱却した時だった。
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