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㉘不正疑惑 『えー、ここで召喚術士Kさんのゴールについて疑義が発生しましたので、判定委員会からKさんに質疑が行われますー』 「え?なんで?」 意外なアナウンスに再び顔が引きつるリオが声を上げる。 『ええっとですね、この競技はフライトを使おうと魔物を何体出そうとOKなんですけど、テレポートだけは認められていないわけでしてー』 どうやら判定委員会は、地中を移動したというKの話に疑念を持ったようだ。 「そういうわけだ。我々としても大変遺憾なのだがね」 仰々しい程の護衛を引き連れた険しい顔の男が、護衛達にKを囲む群衆を広場の隅まで追いやらせると挨拶もないまま本題に入った。 「なっ なんて失礼な!マスターがそんな反則をするわけがないじゃないか!」 ムキーッと怒りを露わにするリオをとりあえず暴行罪に問われないようにとルリカが止める。 「あの位置からここまで、地中を進むというのはね、あるとしてもこれ程の時間ではあり得ないだろうというのが我々の見解なのだ。違反をしていない証明をして貰えると助かるのだがね」 言葉選びは丁寧だが明らかな敵意をKに向けている初老の男は険しい表情を更に険しくしながら話した。 「んー、そうですねぇ。ではちょっと失礼します」 当事者のKは意に介さずといった感じで東門まで歩いて行く。 「おい!質問に答えないか!」 男の側近らしき者の怒声にKは「まぁまぁ」と窘めるように手を振ると、 「インフィニット君、あそこの噴水の方に出してあげなさい」 やんわりとした指示を出した。 《ギィィィ♪》 ”にゅるん!にゅるるん!にゅるるんるん!” 触手が蠢く。そして− ”ぼん!ぼぼん!ぼぼぼんぼん!!”インフィニット君の触手の口らしきところから、飛び出す物があった。 ”ざぶーーん”噴水の池に落ちてきた物は、いや者は、人間と魔物だった。 「ぐえぇぇ」「ぎゃああああ!」「食べられるぅぅぅぅぅぅぅうぅ〜」 「ぶむううううううう!?」「溶けるぅぅぅぅ!!」「死にたくないーーーっ」 阿鼻叫喚再び。 インフィニット君が射出したのは、スタート地点でKを襲ったり、ゴールを目指すも草原の魔物に狩られそうになった残りの予選参加者であった。 「水で洗い流せば大丈夫ですが、溶けかかってる人もいるようですので…」 Kは"仕立て屋ピクシー軍団”を召喚し、怪我をした者達の手当を指示する。 「聖騎士の、それもベテランの域に達した者に対する修練の場です。生半可じゃ命を落としますからねぇ」 「…なるほど。よく分かった」 険しい顔の判定委員は、それだけ言うと踵を返した。 目の前の小憎たらしい術士は、自分を暗殺しようとした者も含めて救命活動もしていたのだ。これ以上の追求は自らの沽券に関わる。 「おや、ご理解頂けたのなら何よりです」 もしこれでも不足と言われたら、インフィニット君の全貌を見せるか、彼か彼が信頼する人をインフィニット君でスタート地点まで送らせてまた戻らせてとするとか。そのような方法で証明しなくてはならないかとKは考えていたが、どうやら判定委員は愚かではなかったようだ。 『それでは改めましてー、召喚術士技量競技大会・予選会の一位突破は召喚術士Kさん!そして二位通過は召喚術士マイトさんでしたー!』 トクファが予選結果を発表し、予選会は無事に幕を…降ろせなかった。
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