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㉜救済をする者 「!?」 サイアの視界に黒一色の人間が映った。それも自分と青年の間に! Kだった− 「ぐっ」 繰り出された拳は最早止められない。このままKを打ち抜くのか? 力を抜き術式も解くが、それでも人間一人を消失させる事が出来る破壊力と熱量は急には消失しない。 「なっ!?」 気がつけば、いや一瞬でサイアはKと青年ジャイアントを越えた場所にいた。 まるでそこに誰もいなかったかのように、必殺の拳を空振って。 「K!貴様、何をした!何故、邪魔をする!!」 邪魔をされた事に激昂したサイアは拳を握りしめてKを問い詰める。 「あの…ひさしぶりです。サイア君。あの…もうやめたげて下さい。ね?ね?」 ふら〜っとサイアに歩み寄ってきたKがサイアの拳やら腕やらを手の平でタッチしたりしながら懇願する。 「や…やめろ!気持ちの悪い。お前はどうしてこうなんだ」 興がそがれたといった感じで拳を降ろして後ずさるサイアは、内心では青年ジャイアントにトドメを刺さないで済んだ事にホッとしていた。戦士として倒さねばという心と、生かしてやりたいという心が葛藤していたのだ。 「で?やめたとしてどうするんだ?おまえは」 「それはですねぇ」 Kが説明しようとした時だった。 「は〜い、カムア君〜。連れてきたわよ〜」 元気なハスキー声が近づいてきた。執事服をお洒落に着こなしている長身の麗人だ。 「はい、ごめんなさいね。道をあけてね〜」 麗人が声をかけると群衆がさっと道をあける。これはカリスマだから!という事ではない。彼が持っているものに理由があった。 「貴様はKのグレーターデーモン!なるほど、貴様も出るのだな?この大会に」 「あら、サイア君じゃないの?元気にしてた?私はただのカムア君の付き添いよ〜」 朗らかな会話…だろうか。一人は三体の魔物を一人で倒してしまった巨人族の戦士、そしてもう一人は…。 「よいしょっと♪」 ドスン− 持っていたものを地面に降ろす。 「あれって!?」リオが本日何度目かの驚愕の声をあげた。 「先程逃げたトカゲ男と猫ちゃんですねー。流石はセコムンさん。一人で捕まえたんですねーもぐもぐ」 すっかり観戦モードになったルリカがいか焼きを食べながら答えた。 「はい、貴方たちは静かにイイコにしていなさいね」 セコムンが降ろしたエルダーリザードマンとホークキャットに微笑みかけると、二体は震えながら縮み上がって頭を縦に何度も振った。 「ありがとう。セコムンちゃん。…残りの三人は危ないなぁ…。サイア君が大人げないから…」 「おい、K。喧嘩売ってるか?」 「売ってませんよ。それより…手当をしませんとね」 取り急ぎ"仕立て屋ピクシー軍団”に手当を指示し、自らはどこから出したのかヒールポーションやエリクサーを出すと、倒れている三体に与え始めた。 「おい、カムア。何をしてるんだ?」 事態が落ち着いて来たため、聖騎士隊に戦闘配置から警戒配置に指示を変えたリーランドがやって来てKを問いただす。 「ええっと、救急治療…ですが」 「正気か?こいつらは契約不十分状態で暴れたんだぞ?こちらで確保させて貰う」 「うーんと…出来れば僕の方で保護してあげたいと言いますか…」 そう言いつつ立ち上がり、キョロキョロと周囲を見渡すK。 「気持ちはわかるが、こういう事は規定通りにやらないとだな」 「あ、いた!」 Kが指さした先には、先程青年ジャイアントに拉致された召喚術士がいた。 「セコムンちゃん、確保!」「らじゃ!」 Kが指示するとセコムンが綺麗に手入れされているネイルをその術士に向けた。そして指先をチョイっと捻る。 「うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」 叫び声が近づいてきて、あっという間に術士はセコムンに首根っこを持たれた形でぷらーんとぶら下げられた。
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