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㉟麗人クレリア 「まったくルリカは…」 中央広場への道を歩きながら、リオは転がるルリカを思い出して思わず呟いた。 「それにしても…ほぼ同じ量を食べているのに、リリーさんはいつも通りなんだよねぇ」 ルリカと食べまくり友のリリーは、ルリカと同等の食事量にも関わらず体型は維持され可憐さが揺るがない。もしかしたらリリーはカロリーをエナジーに完全変換出来るのかもしれないとリオは考えた。 「よぉお姉ちゃん、一人かい?」 「俺らと遊ばないか?美味しいクレープのお店知ってるんだ」 ゴロつきAとゴロつきBが現れた! 「…また?もう…」 リオはゴロつき達をジト目でみた 「なぁ〜」「良いだろう〜?」 ゴロつき達はリオを誘った! しかしリオには効かなかった 「あ…」「うわ…」 ゴロつき達は逃げ出した! リオは経験値0と0ゴールドを手に入れた 「あれ?なんで?」 ゴロつき達は後ろ歩きで遠ざかっていく。こちらをポーっと見ながら。 「君、少し良いだろうか」 リオの背後から澄んだ声がした。振り返ったリオはゴロつき達の逃走理由を理解した。 「え…あ…はい」 これしか話せなかった。目の前に立つ黒髪の麗人はニコッと笑うと、リオの目線まで姿勢を落として話を続けた。 「私は中央広場まで行きたいのだが、恥ずかしながら道に迷ってしまってな。道を教えてくれないか?」 「え…あの…僕も中央広場まで…行くです。一緒に…行きますか?」 「そうか!それは助かる」 麗人の満面の笑みにリオは思わず赤面する。 (この人…人間だよね?なんでサキュバスである僕が…) リオが考える通り、これは異常事態だった。どんな美人であったとしても、種族的に人間はサキュバスの魅力には敵わない。なのに目の前の女性は…。 「あの…どちらからいらっしゃったんですか?」 「私か?私は東の方から来た。家が古くからの銀竜公の縁者でな。今回はそれが縁でこちらに参ったのだ。今居住しているのは東門の外の銀竜公の駐屯地でな」 感じの良い話し方。綺麗なのに凜とした佇まい、そして颯爽と歩く姿は見る者を魅了する。その気高き姿は神々しくもあり、並の男など近づけないだろう。 (なるほど…こりゃあ逃げるよね) 振り返るとゴロつき達が数人、こちらを物陰に隠れながら見つめている。その距離10m程、麗人のオーラに気圧されて恐らくそれ以上は近づけないのだ。 「あ、あそこです。中央広場」 「おお」 麗人の魅力的なオーラに慣れてきたリオは、無事にミッションをクリアした。 「あ、その…良かったらお名前を。僕はリオと言います」 「ああ、すまなかった。名乗らずにお願いだけしてしまって。私はクレリアという」 麗人クレリアはリオに非礼を詫びると、リオの目を見つめて尋ねた。 「君は綺麗な瞳をしているな。サキュバスのようだが、とても清楚で可愛らしい」 「えっ 清楚で…可愛らしいって?ぼ…僕が」 クレリアの美顔がリオの目の前にある。そして紡がれる甘い賛辞の言葉にリオは再び頬を赤らめた。 「そして君は、召喚術士K殿と契約をしているね?」 「!?」 リオは一瞬で間合いを取り、Kから貰ったエルダー・ゲイザリオンを構える。 「クレリアさん、貴女はいったい…」 「フフフ…あはははははっ」 真剣な眼差しのリオに対して、大爆笑のクレリア。 「え?」キョトン顔のリオ。 「いや…ハハハ…すまない。君の反応が、とても素直で可愛らしかったものだから」 「ええっと…」 「この大会で色んな魔物や魔族も来ているようだが、サキュバス族にして清楚なイメージの君を見てピンと来たんだ。きっとK殿所縁の子なのだろうとね」 広場に吹く風がクレリアの黒髪をなびかせる。笑う様子や詫びる感じにもクレリアの人柄がにじみ出ているようだった。 「マスターの事、知ってるんです?」 「ああ、災厄戦で共に戦った。とても素晴らしい人だ」 マスターの戦友、よくSALONに来る破戒僧ムーアや閉鎖した魔界とのゲートの警備する魔法戦士エリスと同じような災厄戦で絆を深めた仲間、彼女もその一人だった? 「じゃあマスターが所属していたっていうギルド軍にいたんです?」 「いや、私は…」 クレリアが災厄戦でのKとの出会いの経緯を話そうとした時だった。
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