コピー
G大会の経緯 「嘘…です。リフォールがそんな事…」生じた沈黙の中、やっとの思いで絞り出されたアウルムの消えそうな声。 「ふむ…ワシも信じられない。それもあってのマスターKへの訪問だったのです」 そう答えながらロロスはアウルムの蒼白になった顔を心配そうに見つめた。祖国を愛する純真な娘にはかなり酷な真実である。 「アウルム、ここからは僕が先生とこの件について少しお話をしますね」 Kは席を立つとアウルムの手を取り、自身の横に座らせた。「きっと大丈夫ですから」優しく囁くと視線をロロスへと戻す。 「まずは今までの流れと、そして先生の見解を聞きたいですね」 この大会がリフォール発信となっていた事は、いつかは知られる事だから黙認をしたKだったが、想像よりも傷ついたアウルムを想って少し口調が固くなっていた。 「すまなかった。君は誇りにしているのだな。父親を…祖国を」 ロロスはまずアウルムに謝罪をした。その言葉にアウルムは深く頷く。 「君の祖国が今回のような大会を企てるはずはない。ワシはそう思っておる」 老練な魔術師は鋭い目でKに語りかける。 「では、別の誰かが?」 「わからん。まずは大会開催までの経緯を話しておこう」 ここでロロスは魔術師ギルドの本部を預かる者として自分が知っている経緯を話した。 まず、魔術師ギルドの西方聖教合同支部がリフォール支部の発案として大会を企画した。この時は合同支部レベルの大会規模だったという。 ところがこれを知った他の合同支部も興味を示した。災厄戦以降、召喚術が注目され研究が進んだが、大きな成果が出ていなかったからだ。大きな大会を開いて、その研究成果を競い合う。魔術師ギルドの目的はそこにあった。 「ここまではギルド主催の競技大会であったのです。ところが大会規模の拡大の流れの中で、各支部が所属している諸国もこの大会に興味を示し始めました」 魔術師ギルドは各国に最低一つは作られている。そして交流の大きなエリア毎に合同支部が作られ、所属している魔術師の研究や冒険をサポートしているのだ。その地に根ざしているわけだが、それ故に各国とのコネクションもしっかりと作られている。 そのため大会の基礎要項とリフォール発案による事が広まった。厳密にはリフォール支部の発案であるが、リフォール王国が積極的に関わっていると誤解された可能性もあるとロロスは語った。 「もしかするとリフォール王国が中心となって、西方の聖教国家群が魔物による軍事強化を目論んでいるかもと勘ぐったのかもしれません。思惑は様々あったでしょうが、結果として大陸中の諸国が国家推薦者も参加させて欲しいと魔術師ギルドの各支部を通して要望してきたのです」 そして大会は合同支部をとりまとめた大陸規模で開催する事となった。 ここで大きな変更になったのは大会参加者の条件である。当初は低レベルでも参加出来たが、各国の推薦者及び軍事にも対応出来る魔物が出るとなると実力差から危険が生じると考えられたからだ。 もっとも明らかな強者は北と東の二大大国とリフォール、そして支配体系が変わったとされる黒の大陸、そして魔術師ギルドで把握している数人の精鋭などに限られる。そこでこれらの強者を本戦シードとし、それ以外は予選によって篩い分けをする事になった。 「ここまでは支部レベルの競技会が、全大陸規模に順当に拡大したという解釈でも良いのかもしれません。それでも諸国の軍事関係者が参加するのは懸念されるべき事ですが」 ここからロロスがもっとも不安視する流れが生じてくる。会場場所と判定委員会、会場警備などの案件である。 「課題となっていた大会会場ですが、これはパルナからウツロイシティはどうかと打診があったのです。こちらからしたら渡りに船でしたが、諸外国の要人も来るかもしれない流れでよく提供してくれたと驚きました。実はこれがリフォール王国からの相談によるものだったのですよ」 更にパルナが誇る四大公に会場警備と周辺に対する保安対策を受け持たせ、大会をパルナ国王自ら見守るという破格の提案があり、それに呼応するようにリフォール王国からは判定委員会を参加国の大臣クラス以上にしようと発案された。 「下手な諜報活動をされるよりは安全かもしれませんが、要人暗殺などの危険もある諸刃の剣でもあるように思う。先程お嬢さん方が考察されたようにな」
スレッドに戻る
エンタメ情報 @ 神楽
掲示板カテゴリ検索
写メ/待ち受け
動画/ムービー
音楽/エンタメ
雑談/その他
趣味/スポーツ
無料レンタル動画まとめ
e-Movie
無料レンタルBBS
ebbs.jp