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H魔族戦争の再来 普通なら− 軍事関係の話が出た時点で大会企画は白紙に戻っただろう。完全に通常の競技会の範疇ではないからだ。ところが企画は止まらなかった。むしろパルナやリフォール、そして北と東の大国も巻き込んでの拡大を見せたのである。 普通なら通らんだろう企画が通り、パルナやリフォールからも積極的な提案が出される。まるでタチの悪い流行病のように大陸中に蔓延していったのだ。 「今回の流れでワシが最も懸念しておるのはな」 ロロスはK殿もわかっておるだろう?と訴えかける。 「魔族戦争の再来…ですか?」 Kの回答に、ロロスは何度も頷いた。 「あの時は天妖の魔王の策略で、主に西の聖教国家群と東の大国が信仰心や忠誠心を操られてしまし、人間は混乱の中で破滅への道を突き進んだ」 その時はまだKは生まれていない。祖父であるカミナが活躍したと曾祖母マナから聞かされたくらいである。 「今回の大会に、そしてパルナやリフォールその動きを感じると?」Kの問いかけに今までで一番強く頷いて応えるロロス。 「そうなると厄介だ。ジャスティが熱くなっているような技量比べでは終わらん。何しろ国家戦力になる魔物がたくさんやってくるのだ。いかに四大公の警備といえど、間違えが起こらない保証は何処にも無い」 「しかし僕が出たところで事態が変わるとも思えませんが?」 緊迫した社会情勢になる可能性についてはKも充分に理解している。 「いやいや、K殿は…」ロロスはブンブンと首を振った。 「災厄戦での活躍をワシも間近で拝見させて貰っておる。倒した魔物の悉くが配下となっていったのは我が目を疑ったよ」あり得ない光景。敵地である魔界での戦力差が気がつけば逆転していた。 「いや、配下にしたわけでは無いんですが」 Kが災厄戦で倒した魔物にした事は、ここド・レインでキャスト募集をした事とあまり変わりなかった。相手の要求と自分達の要求のすり合わせ。よって戦後、仲間となってくれた魔物達の保護のためにKは奔走している。 「そうでしたな。弱き種族達には生活する場を与え、強き者とは友情関係を結ぶ…。いやはや、我々の常識の遙かに上をいっておるよ。K殿は」一般的な契約術とは、それを結んだ魔物を隷属させるのに近しい。ところがこの黒き衣の術士は、まるで人間同士の友好条約のような契約で魔物達を統率して見せたのだ。 「災厄の魔王の片腕とされた魔爵…大公位のハートレスを盟友としたのにも驚かされたよ。国王から”聖王騎将”を授与されるのも納得の活躍でした」 「ヴェナ…ですね。彼女はハートレスと呼ばれるのを嫌いますから、ご注意ください」 戦後、ヴェナは召喚部屋にやってきた。災厄戦中はハートレスと呼称していたので、そのつもりで対応したKだったが、ヴェナはその二つ名を嫌っているらしくご機嫌な斜めになってしまったのだ。 災厄の魔王にして御しにくかった大公ヴェナは、その心臓を地獄へと封印された。それをKが取り戻した事により、ヴェナはKと契約を結んでギルド軍へと与したのだった。 「ふむ、気をつけよう。それでワシが言いたいのはな、K殿。貴方には魔物を見る目があるという事なのです」ロロスの真剣な眼差しがKを射貫く。 「この度の大会で懸念される事のうち、警備に関しては四大公を中心とした警備局に任せするしかありますまい。ただ!魔物による何らかの企てがあるとするならば、それを防ぐにはK殿の協力が不可欠とワシは考えておるのだ!」 「うーん、そうですねぇ…」ロロスの視線を躱すように天を仰いだKは、ゆっくりと数を数えるように懸念事項を復唱する。「大会はリフォール発案で… 大陸の国家も参加… パルナ国王が国賓で、四大公が警備担当と… ふむ」 「どうだろうか?K殿」不安げに覗き込むロロス。 Kは傍らで不安げに見つめているアウルムの頭を優しく撫でると、 「うん。わかりました。参加する事にしましょう」と快諾した。
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