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「フン!微弱な結界だな!」 散開後、館へと近づくにつれ、自らを拒む結界が強くなる事を感じたショハムは、それを一笑に伏した。恐らくは”道具の所持者”が張った聖石での結界であろう。それを張れば闇の魔力に属する自分達を弱体化出来ると考えているのだ。しかし、魔石器の加護のある魔石将には、その効果は微々たるものだった。 「さて、大きな反応がいくつかあるが…」 館が視認出来ると同時に魔力感知を行う。魔物のSALONというだけあって、中からいくつもの魔力反応があるが、その殆どは気にするほどでもない。 「恐らくは最上階だな… 魔力の流れがそこに向いている」 元はDと呼ばれた伯爵位の召喚術士が魔物の召喚に特化して建てた館である。魔素の多い森の、更に魔素が湧き上がる位置に建てられた館は、その最上階に魔素が集中する要素を持っていた。 それを魔力感知で見破ったショハムの頭に二つのプランが浮かんだ。一つは正面扉から入り、魔物達を打ち倒しながら術士に迫る案。もう一つは… 「頭を潰してからの残党狩りが確実!」 手足たる魔物達をむしっている間に、頭たる術士に逃げられたでは笑い話だ。 なんと!ショハムは跳躍により3階まで飛び上がると、防御結界の掛かっている召喚部屋唯一の明かり窓に向けて”呪雷”を放った。 バリッッッ! 呪いの属性を纏った雷光は、防御結界なぞ無きに等しいとばかりに突き破り、窓を破壊する。そこからショハムは飛び込んでいった。 「さて!術士の首を頂こうか… ん?」 そこは、真っ暗な空間だった。 いや、光蘚が放つほんのりとした灯りと発光オーブによる照明はある。だがその光は儚くて。空間そのものがぼんやりとしており、虚無の如き空虚さが漂っていた。 「ここは…」 広さからいって、館の三階とは思えなかった。一体、ここは…?? 「ここは特別室《魔》を実装している空間です。館を壊されるのは困りますし、うちの子に怪我人が出るのはもっと困りますので、こちらへ案内させて頂きました」 「!?」 ショハムが振り返ると、そこには漆黒の衣を纏った術士がいた。 「初めまして。異国の戦士…ですかね?僕がここの主のKです」 常闇の衣のフードを取り、涼しげに挨拶をするK。 「ほぉ…大した魔力だ。しかし相手が悪かったな!」 ショハムの体が発光した。 一瞬− その一瞬で、その空間中に禍々しい陣が敷かれていた。 「呪雷陣− 雷光の速さで、この空間全てに陣を敷いた。これでお前は召喚陣を展開できない。俺は黒王陛下の騎士にして”トパーズ”を守護石に持つ魔石将のショハムだ。お前の首、貰うぞ?」 呪雷陣はその名にあるように、呪いの属性をもって相手の魔法を封じる。故に術士たるKの能力の殆どを封じたとの宣言であった。 「…名乗りより早くに術式の展開ですか?」 あきれ顔でKがこぼす。 「生憎だが、俺は決闘に来たわけではない。術士の始末に来ただけだ。しかし…」 周りを見渡す。どこにも魔力反応がない。 「配下の魔物も0か…。張り合いがないにも程があるな。だったら…」 ショハムの周りにいくつかの陣が発生した。その中から、ショハムと類似の鎧(魔石器)を纏った兵士が浮き上がってくる。その数四人。 「殺れ!」 ショハムの命を受け、四人の魔石兵がKを取り囲んだ。そしてその凶刃がKに向かって振り上げられた時である。 ”バタッ バタバタバタッ” 声もなく、魔石兵が倒れた。 「な!?」 魔力反応はなかった。召喚陣も展開されていない。一体…何が起こった?? 「ショハムと言いましたね?騎士を名乗るのであれば、もう少し思慮と分別を持った方が良い…」 「!!!」 Kが言葉を言い終わる前に、ショハムは動いていた。全身に”呪雷”を纏っての突進!ランスの切っ先はKの心臓に向かっている。 「呪雷槍! 呪雷を纏った俺に魔法攻撃は効かん!どんな絡繰りであろうと無意味!」 その切っ先がKの胸元に! ”カッ” ショハムの神速の突きがKの胸に迫った時、その切っ先をKはロッドの柄で受け…いや受け流した。体を反転させ、同時にショハムに足をかける。ロッドの先端部でショハムの後頭部を殴打すると、足をかけられた状態のショハムはそこにお辞儀をするような姿勢で座らされていた。 「”ガハッ” な…なん…だと!?」 「動かないように。動けば…首が落ちますよ?」 ショハムの喉元に刃があった。死神の鎌(デスサイズ)の漆黒の刃が。 Kが持っていたのは、魔法発動用のロッドにあらず。前衛で戦う時に用いる”死神の大鎌”であったのだ。 「貴様… 召喚術士ではないのか?」 「召喚術士ですよ?ショハム。貴方は思慮と分別を持つ事と…あと思い込みは止めた方が良い。」 退魔師の曾祖父と死神の特性を持つ神族の巫女たる曾祖母を持つKは、その曾祖父母が開いた独特な召喚術=煌仙術を受け継いでいる。そのため、前衛で魔と渡り合うための体術も会得しているのだ。 煌仙術では戦闘術式は主に対人用・対獣用・対妖用に分類される。先程のは対人戦闘術”空蝉”から”断頭”への連携混合技である。 「さて不本意ではありますが、”強制契約”をさせて貰います」 すぐに断首をせずにいるのは、このショハムから黒き王やその組織について聞き出すためである。勿論、簡単に口を割らないだろうと予測できるので、強制契約によってそれを成そうというわけだ。Kはそもそもは魔物相手にも強制契約を強いる事はない。しかし… リオから聞いたクリスタルパレスとその一族の話。そして感知し得た今回の襲撃。 ルリカ達黒服団の働きと、事前に配備・配分していた”友達”の活躍によって事なきを得ていたが、一歩間違えたら…。そのために容赦はなかった。 「こ…いつぅぅ!!」 ショハムが怒気を含む発声をするや、魔力が大きく膨れ上がった! ”ビュッッッ!!” 「くっっ!」 Kが仰け反るように飛び退いた。ショハムの背部より鞭状のものが呪雷を帯びて襲いかかってきたのだ。”飛行(フライト)”で空中で踏ん張るK。ショハムは前屈みの体勢のまま上目でKを睨むと、 「お前は許さん!灰すら残さん!!焼き尽くしてやるっっ!!!!」 =解放だ!!=
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