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㉑ド・レインの日常風景〜 「さて、そろそろランチの時間ですね。では皆さん、どこかでランチを頂きましょうか」 周囲に声をかけ、そして石像と化しているリーマの前に立つと「リーマさんもお昼休憩出来ますか?良かったらリーマさんもご一緒に如何ですか?」優しく声をかける。 トントン、トントトトン。リオとアウルム、リリーにティアがリーマの肩や背中を優しくプッシュすると、リーマは息を吹き返した。 「あ…あの…はい」 出会った時はこんなんじゃなかったのになぁ…。リーマはKと出会った時を思い返す。絶体絶命のピンチから救われて、不安でいっぱいの冒険を助けて貰って、とてつもなく恐ろしいピンチを乗り越えていって…。取り返しが付かない最悪の罠に捕らわれて、破滅しかなかった運命から救って貰った。 そりゃあ、こうなるかぁ…。ランチへ向かって歩きながら、リーマは思わず苦笑した。 お昼ご飯。皆で入ったのは、あの冒険者ギルド内にあるサロンだった。 懐かしの…といっても数ヶ月ぶりでしかないが…冒険者料理を頂く。皆でワイワイと。 (リオさんもアウルムさんも、リリーさんもティアさんも、ルリカさんはいつもだけど。みんな楽しそう。そうだよね。カシム君はカシム君…だもんね) 楽しい食事風景を見て、自分の心の揺らぎの理由に何となく合点がいったリーマに思わず笑みがこぼれた。 「あ、リーマさん。食べないなら私が貰いますよー」 ルリカの手がリーマの冒険肉に伸びる。それを反射的にはじき返すリーマ。 「この肉はお仕事の原動力ですからね!あげません!」 「もぐもぐー、それは残念♪」 リーマが笑顔になったのを確認したルリカは、すぐさまリオの肉を狙いに行き魔導弾で吹き飛ばされ、懲りずにティアの肉を奪いに行ってサブミッションをキメられた。 「ギブーギブですー。タン!」 ぺしぺし!残った手でルリカの頭を叩くティアは満面の笑みを浮かべていた。 「私の事を呼ぶなら麗しのティア様とお呼びなさい?」 ド・レインでの日常、楽しい時間をリーマは羨ましく思った。 こういう時間が過ごせるのは、ド・レインの一人一人が真っ直ぐに歩んでいるからだろうとリーマは思う。数ヶ月前の事件だって、仲間を思う彼らの強い気持ちが勝利を呼んだのだ。そして− (きっと今回の大会だって、無事に突破してくれる!) その根拠は目の前の風景。それだけで十分だとリーマは思った。 「あ!ルリカさん!それはリリーのなのです!」「おやおや、じゃあリリーには僕のをあげましょうね」「もうルリカは…」「ここのお料理のレシピをシェフにお聞きしましたので、ド・レインに戻ったら作ってみますね」「よし!ルリカ確保!」「ぎゃああああああああああああ、助けてリーマさん!暴力振るわれてますー」 ド・レインドタバタ劇場。 「無事に突破してくれる…と良いなぁ」 大規模で危険が伴う大会の予選会間近だというのに緊張感の欠片もない。そんなド・レインの日常風景に、リーマは少しだけ不安になった。いや、それはいつもの風景か。 召喚術士技量競技大会・予選会、その前日の風景である。
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