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㉒予選会発表会場へ 召喚術士技量競技大会・予選会 当日− 「やあ、ウツロイ晴れだねぇ〜」 この日、ウツロイシティは雲一つ無い晴れだった。早朝に宿屋の窓を開けて大きく伸びをしたリオはとりあえずジョギングをしに出かけた。予選会には自分が出場するわけではなかったが、なんかそわそわして…いてもたってもいられなくなったからである。 既に起きて食堂のシェフに調理法を習いに行っているアウルムは、皆の朝ご飯の用意も同時にこなしている。予選会にむけて万全の準備をするのです!と今日もやる気満々である。 「よ〜し、これでチャンピオンですよームニャムニャ」 「これは美味しいのです!もぐもぐむにゃむにゃ」 夢の中で何かしらを成し遂げたらしいルリカと、何かしらの美味しいものをお腹いっぱい食べている夢をみているリリーは寝言で夢の内容を絶賛配信中であった。 「…なぁ…なんでKはいないんだ?」 「いや、僕は何も知らないムマ」 ティアは早朝に抜けがけでKと遊ぼうとしたが、部屋にKの姿はなく、備え付けの机に置かれていたラピスラズリをブンブンと振ってナイトメアを召喚?した後、何故かメアに尋問風の愚痴を聞かせ始めていた。 場所は変われど、いつもと変わらない朝を迎えているド・レインのお嬢様達。 「どうでした?」 「いまのところハズレです。となると…”アタリ”ですかね」 ド・レインにあるKの私室、それに似通った感じの部屋にKとアッシュがいた。 「そうですか…。では大事にならないように、予定通りにやるしかないですかねぇ」 Kの声はやや暗かった。対するアッシュはKを元気づけるように明るく応える。 「人の心が関わる事ですからね。こればかりは仕方ない。まだ三カ所残っていますから必ずしもですが」 「あとどのくらいかかりますか?」 「一カ所はテッド達が向かっています。もう一カ所は俺の伝手を使いました。最後の一つは俺がいきますから、三日といったところでしょうか」 闇夜の月と二つ名のテッドは厳密には白服ではないが、今回はアッシュの配下になって貰っていた。アッシュの伝手についてKは何も聞かないのは、それが傭兵時代の仲間と想像しているのか、それとも…。 「なるほど、では順調にいって本戦一回戦くらい…ですね。トーナメントの組み合わせにもよりますが、なんとかなりそうですね」 「それより、予選会も気をつけて下さい」 「ん?何かありましたっけ?」 とぼけるKにアッシュはグッと顔を寄せる。 「貴方は…。予選会でまともなのは一人しかいません。あとは不完全な召喚術を何かしらの手段で補完して臨む奴と、あとは…」 未だに懲りないKの暗殺を企てる奴らが送ったなんちゃって召喚術士達だとアッシュは調査結果を口早に語った。 「その数は締め切り時で三十四人です。予選会の詳細は本日の正午ですが、たった一日でこの人数をふるいに掛けるとなると、バトルロイヤルのようなスタイルが考えられるわけですから…」 もしバトルロイヤル形式だと、まずは強者たるKが暗殺云々抜きにしても狙われるだろう。それを案じるアッシュにKは笑顔で応える。 「アッシュは心配性ですねぇ。ありがとう。気をつけます。大丈夫ですよ」 Kは優しく話すが、アッシュからしたら緊張感の欠片もないわけなので、全く心配が拭えない。 「全く貴方は…」 「僕よりもアッシュやテッド、そして伝手の皆さんの方が危険度が高いですよ?今までのがハズレなら、残りの三つには厄介な警備システムがあるかもしれませんからねぇ」 自分の危険よりも、周りの心配か…。相変わらずだなとアッシュは苦笑した。 「わかりました。貴方の予選会は心配しない事にします。その代わり、こちらの事もご心配なく」 敬礼をしたアッシュは、部屋の扉を開けて出ていった。 「さて、間もなく正午ですか」 Kもまた部屋を出る。すると− 「あ、マスター!どこにいってたんです?正午になりますよ!」 宿屋の部屋から出てきたKに話しかけるリオ。宿屋の部屋? そう、Kはそこから出てきた。 「はい、では参りましょうかね」 既に常闇の衣を装備しているKは準備万端であった。 「あ、マスニー見つかりましたか?」 失格になったらどうするのかと、割と生真面目なルリカに叱られ、ティアに手を引かれてKは予選会の内容発表会場である中央広場へと向かった。
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