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㊵ゾルゲイの決断 「どうだ?ゾルゲイ隊長。我らの覚悟を聞いても胃の痛みは変わらんか?」 「ははは。これでは誰が隊長かわからんな」 ニトゥープ達の前に立ったゾルゲイは感謝を敬礼で表すと、本戦へ向けての話を始めた。 「さて諸君。今大会でいきなり難敵に当たったわけだが、サイアが言うようにいずれは巡り会う定めだっただろう。我らとしては祖国のために結果を出すだけである」 どれどれと、サイアも立ち上がりゾルゲイと並んだ。今のサイアは人間族の施設に入るため、ほぼ人間大のサイズに体を縮めている。それでもちょっと燥げば床や壁はボコボコになるのだが。 「主催の方からは、試合内容の希望を打診されている。団体戦の星取りか勝ち抜きかだ。細かい要望があれば対戦者が受ければOKという事だが、何しろ相手が召喚術士Kだ。下手な策は打たずに正攻法でいこうと思うが、諸君の意見も聞きたい」 「俺としてはニトゥープの意見を聞きたいな。お前は俺と違って戦略にも長けるからな」 ゾルゲイの説明を聞き、真っ先にニトゥープに話題を振ったのはサイアである。サイアからしたら、Kと対戦出来るだけで満足であるが、国の代表として来たからにはゾルゲイが言うように結果を出さなくてはならない。そのための作戦となった場合、立案はゾルゲイを除けば中隊の指揮権を認められているニトゥープが適任と考えたのだ。 「そうだな。次戦を気にしながら、そして外国の諜報を気にしながら勝てるほど生易しい相手ではない。ゾルゲイが言うような正攻法、勝ち抜きよりは星取りが良いだろう。一人一殺、検討すべきはオーダー内容…出撃順だな」 「なるほど。皆が星取りの選択で異論が無ければ、俺の考えたオーダー順を聞いて欲しい」 ゾルゲイは契約をしているチームメンバーの実力を熟知している。それを対戦相手に併せてオーダーするわけだが、今回は相手がKなのが災いしていた。何しろ災厄戦で倒した魔物達と悉く契約を結び、その後も交流を続けているというKがどんな魔物をエントリーしてくるのか。 (災厄戦時にKの初期メンバーだった七体のガーゴイル、そしてそれに潜んでいた規格外のグレーターデーモンやライオンヘッド。それらが加わる可能性もあるわけか…) 予選会後の混乱の中で再会したKはセコムンを連れていた。彼が参加して喜ぶのはサイアくらいだろう。参加するとして何戦目にエントリーするのか? そして更にゾルゲイを悩ませたのが星取り選択時の追加ルールだった。 (星の数を取り合うとはな。主催者はゲームかなにかと勘違いしているのではないか?) 各参加者には総数15の星が渡され、それを各オーダーに振り分けるのだ。 デフォルトは先鋒1次鋒2中堅3副将4大将5とされ、この数値を最低数を1として自由に変えられるのである。そして手持ちの星の数が総数30の半分以上を取った方が勝者となる。 「恐らくKはデフォルトのままでくると考える。我々もそれで受ければ良い。もしグレーターデーモンが出るとして、この設定数であるならば副将か大将だろう」 ゾルゲイは全星を先鋒にかけるなどの奇策は避けた。その上で総力戦をしかける事を決めたのである。 「では発表しよう」 北の大国の選抜者達は、全てが軍と関わり訓練をしている。その中心にいるのが契約術で彼らの存在を明確化しているゾルゲイだ。災厄戦においても中心となってアウェイの魔界で生き残れたのはゾルゲイの機転や判断によるものが多く、選抜者は厳格なニトゥープも含めて信頼を寄せていた。 「面白いな。俺に意義はない」 発表されたオーダーを聞いて、まずサイアが喝采した。ニトゥープやその他の選抜者も手を上げて賛成の意を表した。 恐らくは本大会で一番の実戦部隊がKとの戦いに気持ちを一つにして挑もうとしていた。偉大なる祖国のために。
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